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大食い地獄  作者: 夏北 沖冬
お笑い芸人の場合
6/50

アフリカ(1)

 予定通り、アフリカへ出発する朝を迎えた。成田空港に集合した番組スタッフ3名と相方のシゲ、マネージャーの大山は、しばらく日本食が食べられなくなるからと、和食店へ入って行った。だが、俺にとっては飽食の国から脱出することができて、せいせいする気持ちだった。カレーの匂いがするフードエリアから離れて、出発ラウンジで雑誌を読み、搭乗までの待ち時間を過ごした。

 

 3度の乗り継ぎをし、丸1日を費やして、アフリカ東部の国に到着した。空港からは、現地に住む日本人コーディネーター加藤氏の運転するワゴン車で、悪路に揺られること5時間余りをかけて、サバンナ地帯の人口20万人の町に着いた。

 

 当着早々、明日からの野生動物保護区での撮影許可をもらうために、役所へ向かった。手続きを済ませた後、役所最上階の首長室で表敬訪問を行った。かっぷくのいい、首長さんに土産で持ってきた漆塗りの文書箱を渡し、雑談を交わした。その様子を、別の用件で役所に来ていた地元のテレビ局が撮影をし、我々に対してインタビューを求めてきた。

「あなた方は、何者か?」

「我々は、日本で最も有名なコメディアンだ。いや、アジアでナンバーワンと言っても過言ではない」 

 お調子者のシゲが答えたこのジョークが、我々の運命を変えてしまうことになろうとは、この時は予想だにしなかった。

 

 その後ホテルへ向かう途中、長い行列に出くわした。加藤氏によると、2年続けての世界的な干ばつの影響による食料価格の高騰で、小麦をはじめとする穀物類は、すべて配給制になっているとのことだった。貧しい世帯では、明日の食事にも事欠く状態で、配給の帰り道における略奪事件が頻発しており、治安が悪化し続けているらしい。それに対して日本では、近年の円高により輸入価格が相殺され、特に目立った影響は出ていない。

 その町で最高級のホテルにチェックインすると、夜に出歩くのは大変危険だということで、ホテル内で簡単な食事を済ませた。そして明日の撮影に備えて、早めに就寝することとなった。

 


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