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大食い地獄  作者: 夏北 沖冬
お笑い芸人の場合
3/50

いつもの撮影にて(3)

 俺だって、こんな仕事は今すぐにだって辞めたいさ。でも芸人になって今年で15年、やっとつかんだ最初の冠番組を簡単に捨ててしまうわけにはいかない。この番組で知名度を得たおかげで、他局のレギュラー番組やテレビコマーシャルを何本もやらせてもらっている。俺達のような人気商売は、自ら仕事を選ぶことなんて許されない。この芸能界、俺達の代わりなんていくらでもいる。下積み時代が長かっただけに、仕事を失うことへの恐怖心が余計に強い。

 今回の手紙のように直接、俺達宛に来る物も多いが、テレビ局にも相当な数の苦情があるらしい。小・中学生の子供を持つ親が選ぶ、我が子にみせたくないテレビ番組のアンケート調査でも毎回、上位にランクインしている。

 学校の先生達からの抗議も多く、「食べ物を粗末にするな、命を大切にするように、と教えても説得力がなくなり困っている」といった意見が寄せられている。

 俺だって、半年前に産まれた長男が大きくなったら、大食いをしている自分の醜い姿を見せたくはない。

 様々な雑念が頭をよぎり、憂うつな気分になったが、口をすすぎ、冷たい水で顔を洗うと、おなかの方はずいぶんとすっきりして、まだ食べられるだけの余裕がでできた。

 

 席に戻り、撮影が再開されると、出されるメニューは麺類のゾーンへと突入した。同じラーメンでも、しょう油味、塩味、味噌味と一つ一つこなしていかなければならない。中華料理チェーン店特有の、化学調味料が舌に残り、どうしても水を多く飲んでしまい、胃が膨れてくる。



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