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大食い地獄  作者: 夏北 沖冬
お笑い芸人の場合
2/50

いつもの撮影にて(2)

 マーボー丼、天津丼、炒飯などの御飯物と、ライスとスープがセットになった定食のゾーンに突入すると、男性陣6名の箸の動きが鈍くなった。出された料理の半分以上は、戸辺ちゃんが変わらぬペースで片付けてくれる。

 

 深夜3時の休憩で、シゲがトイレから戻って来るのを待って席を立った。この番組の開始当初は、2人連れ立ってトイレへ行っていた。

「お前、もっと食べろよ」、「こんな仕事、もういやだ」、「そんなこと言ったって、しょうがないじゃないか」

 ある時、つかみあいの喧嘩になったため、トイレへは一緒に行かないようにしている。

 トイレの個室に入ると、口の奥へ人差し指を突っ込みえづかせて、食べた物を吐き出した。ほとんど消化されていない肉の塊や、さまざまな野菜片を見ると、ますます気分が悪くなり、胃の中の物をほとんど戻してしまった。罪悪感にさいなまれながら、先日送られてきた封書のことを思い出した。それは、マネージャーから渡された5通のファンレターの中の1通で、他の可愛らしい封筒に雑じって、茶封筒に入っていた。


(私は、東北で畜産業を営む者です。主に豚を飼育して、30年になります。私と嫁、子供の家族5人は、おニ人が漫才コンテストのグランドチャンピオンを獲得してからの、ファンでありました。同じ東北出身者として、茶の間に楽しい笑いを提供されるお二人を、尊敬しておりました。出演されているテレビ番組はもちろん欠かさず見ますし、深夜のラジオ放送も録音して、養豚の作業中に楽しく聴かせてもらっていました。

 しかし「チャレンジ大食いレストラン」という番組が始まって以来、あなた方のことがしだいに嫌いになり、今では他の出演番組さえ見なくなりました。畜産を生業としている私どもとしては、「大食い」という愚行をどうしても許すことができないからです。番組で無理をして食べるために、豚や牛、鶏は育てられ、殺されているのではありません。あなたはガラス張りの部屋に入り、アフリカの飢えている人たちの前で、番組と同じ行為を見せられますか?。

 一日も早く番組を降りられ、以前のように楽しい漫才ネタを見せて下さることを願っております。)

 


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