表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

真夜中の公園で 第四話

ペンダントは、天界人さんに取り上げられてしまった。

あれがないと、移動魔法が使えないよ。

ぼくは天界人さんの腕の中でしょんぼりとうなだれた。



「隊長」


天界人さんでもノアくんでもない声が、近くで聞こえた。

「全員揃いました。そろそろ……なんすか?そのちまっとした物体は」

「よく見ろ、アラン。獣の赤ん坊だ」

また別の声が、聞き捨てならないことを言った。

赤ちゃんじゃない!

ムッとして、声のしたほうを見る。

(ぼくはとある出来事のせいで、その単語に敏感になっているのだ。

トラウマになっている、と言ってもいいだろう)


そこには、きらきらした人物がふたり立っていた。

髪の色がそれぞれ金と銀。性別不明のおとなのひとだ。

初日に見学した街で、このひとたちによく似た彫刻や絵画をたくさん

見たような気がする。


離れたところに、同じようなきらきらのひとたちが整列しているのも見えた。

全員天界人に違いない。

オーラだけでも眩しいのに、黄金の鎧ようなものを身につけていて、きらきら度が

半端ない。

うぅ、眩しい!


「……隊長。その赤毛のガキは何者ですか?」

金色のひとが、腰の剣をスラリと抜いたのでギョッする。

銀色のひとも、いつのまにか弓と矢を手にしていた。


ふたりはその武器をノアくんに向けた。


「フギャアッ!!(やめて!!)」

「アラン、ジェローム、そんなものは仕舞え。この子が怖がるじゃないか」

ぼくがわめくと、凛とした声が響いた。

天界人さんだ。

『隊長』って呼ばれているから、このひとも軍人さんなのかな?

剣より楽器のほうが似合いそうだけど……。


「しかし隊長。このガキ、すごい殺気放ってますよ?

公園中に満ちている魔も、こいつの仕業では?」

剣はおろされたけれど、ぼくはその金色のひとをキッと睨みつけた。

ノアくんにそんなとんがった剣を向けるなんてひどい!


金色のひとがぼくを見て目を瞬き、フイッと逸らした。

「どうした?アラン」

「…いや、あの獣の赤ん坊、俺のことジーッと見てるんだ。懐かれたらどうしよう。

ほら、隊長って心が超狭いだろ?」

「シッ!聞こえるぞ!

それより、あの隊長が小さい獣を愛でてるなんて、ちょっと怖くないか?」

「ああ、あんな蕩けた顔してても、頭の中ではどす黒いことを考えてるんだろうな、

なんせ隊長だから」

金色のひとと銀色のひとはヒソヒソ声で話しているけど、

ぼくの猫耳はしっかりとそれをキャッチした。



ノアくん、助けて!!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ