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真夜中の公園で 第十一話

「明日までに反省文の提出。それに加え14日間の外出禁止」


サム先生の非情な宣告に、ぼくは目と口を大きく開いた。

そんなあ。今度の外出日は、家に帰るつもりだったのに。

みんな、修学旅行のお土産を楽しみにしてるんだよ?


「旅行の間、魔石は必ず身につけているよう言われた筈だ」

「ミ…(う…)」


担任のマルディ先生に何度も言われました。

修学旅行のしおりにも、極太赤文字で書かれてました。

魔法学院生の身分を証明するだいじな物だって。

もし無くしたりしたら、罰則が待ってるって……。


「待て、厳しくないか?あれは無理矢理奪われたんだ」


うなだれているぼくの猫耳に、ノアくんの声が入ってきた。

「魔石を無くした生徒は、全員同じ罰を受けてきました。

『ひとりの生徒だけを特別扱いするのは問題』ですよね?」

「…………」


ノアくん、いいんだ。

ぼくは前足を突き出し、ふるふると首を振ってみせた。

シーツおばけ(実は天界人さん)に、ノコノコ近づいて行った自分が悪いんだもん。

天界に連れて行かれるよりずーっとマシだよ。



「さて、私は仕事を片付けてきます。魔獣達をお借りできますか?」

「構わないが……。何の仕事だ?こっちで何かあったのか?」

ノアくんの質問に、サム先生の目がスッと細くなる。

「最終馬車に乗り遅れた修学旅行生の回収ですよ。

毎年いろんなアクシデントで数名の遅刻者が出るんです。

たとえば、異界人とトラブルになってたり、ペンダントを紛失して移動魔法が使えなくなってたり」

うう…耳が痛い。

天界人さんに捕まっている間に、馬車出ちゃってたんだね。

「今年の回収当番は私で、臨時の馬車を走らせて迎えに来たのです」


臨時の馬車。

…………はっ!そうか!

ぼくはポンと前足を打った。

サム先生が手にしているのは、御者用の鞭なんだ!

なあんだ、いろいろ心配して損しちゃった。


「残りの生徒を捜してきますので、それまで発着所でお待ちください」

先生がお辞儀をしたので、ぼくもペコリと頭を下げた(つられた)

「それでは」

「待て」

歩き出そうとした先生を、ノアくんのからだが遮った。

「何か?」

「とぼけるな」

「………………」

無表情の先生と、こわい顔のノアくん。

ふたりの間に見えない火花が散った。

そして、

ぼくの身柄はサム先生からノアくんの腕に移された。



サム先生を先頭に、魔獣集団が木立の奥に吸い込まれていく。

最後の魔獣がいなくなると、広場にはぼくとノアくんのふたりだけが残された。


このままじゃ話もできないし、とりあえずひとに戻ろ。

迷惑をかけたことも、ちゃんと謝らないとね。

呪文を唱えようと、前足を合わせて目を瞑る。

……ん?待てよ?

この状態でひとの姿に戻るのは、まずいのでは?


「ナー、ミャオン?(ノアくん、おろしてくれる?)」

腕から身を乗り出してアピールすると、ノアくんは片膝をついて座り

ぼくのからだをそっと地面に降ろしてくれた。

ウーンと伸びをして、ノアくんの方を振り返る。

「ナー(ありがとう)」

お礼を言うと、ノアくんは黙ってぼくの頭を撫でた。

「ミズキくん。ごめん」

謝ろうと思っていたのに、先に謝られてしまった。

「驚いただろう?僕のこの姿も魔獣も。

ずっと君を騙していた。赤毛のノアール・フラムは仮の姿なんだ。

本当は……」

いきなりここでカミングアウト!?

ぼくはゴクッと喉を鳴らした。

ドキドキしてノアくんの次の言葉を待っていると、彼は苦しそうに目を反らした。

「僕の情報は、魔界のトップシークレットなんだ。

普通の中学生の君は、知らないままの方がいいのかもしれない。……危険すぎる」


ええ~?

そこまで言っておいて、それはないよ。

というか、気づかれてないと思ってるの?


最終試験の出来事。

天界人さんの言葉。

きらきら集団のコメント。

時折滲み出てくる支配者オーラ。

あれだけの魔獣を引き寄せる魔の力。

サム先生のあの態度。

さっきのトップシークレット発言。


…………マのつく職業(?)のひとだよね?




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