真夜中の公園で 第八話
金のひとと銀のひとが、顔を見合わせた。
天界人さんは「ね?」と、ぼくの猫耳に囁いた。
きらきら集団、および魔獣たちは沈黙を守っている。
「えーと、それ、本当?」
銀のひとが、頬をポリポリ掻きながらノアくんに尋ねた。
「そんなこと言って、この子を取り戻した後に報復しちゃおっかなーとか
考えてないよね?
まさかそんな卑怯なことしないよね?どっかの誰かさんじゃあるまいし……はははは」
「答えろ」
金のひとが、ノアくんの顔に剣先を向けた。
ドキッとしたけど、本人は目をそらすこともなく平然としている。
代わりに隣の狼がグルルと唸り、ノアくんは宥めるようにその背中を撫でた。
……いいなあ。
ノアくんのような凛々しい男の子には、あんなカッコイイ獣がお似合いだよね。
ぼくみたいに、からだも心もちまちましたヤツなんかじゃなくてさ。
「どうしたんだい?ミズキくん。ため息なんかついて」
天界人さんが、ぼくの前足を弄びながら聞いてきた。
「ウナ…(なんでもありません…)」
「何か心配事?よかったら相談に乗るよ?」
ぼくの猫耳すれすれまで唇を近づけてくるので、息がくすぐったい。
「…フミ、ウニャニャ(…いえ、お気持ちだけでけっこうです)」
「いいかげんにしろ」
落ち込んでされるがままになっていると、
ノアくんのひくーい声が聞こえた。
ぎらぎらした目で、ぼくたちを睨みつけている。
「僕の前で、よくそんないやらしい真似ができるな。絶対に許さないぞ!!」
金のひとと銀のひとが「あ~あ」と、同時に額に手を置いた。
「お子様には刺激が強すぎたかな?」
クスクスと天界人さんが笑い、ノアくんの表情がますます険しくなる。
まったく意味不明の会話だけど、このひとわざとやってるよね?
「今のは君を試したのさ。ふふ、もう少しで騙されるところだったよ」
苦笑して首を振る天界人さんに、ぼくも部下のひとたちも特に何も突っ込まなかった。
ノアくんだけが『チッ、しまった』という顔をしている。
いや、ノアくん、あのね?………………ううん、なんでもない。
「困ったな。相手をしてあげたいけど、ここではまずいんだ。
人間界を巻き込んだりしたら大変だからね」
そういえば、天界人の仕事は人間の守護だと聞いたことがある。
だから、こうやって隊を組んで人間界のパトロールをしているんだね。
「日と場所を改めて、というのはどうかな?今日は忙しかったので部下たちも
クタクタなんだ。只でさえ異界人の出入りが激しい時なのに、
君達の仲間が面倒ばかり起こしてくれてね。そうだ。君、学院の上層部に顔利くよね。
修学旅行の時期をずらすよう、頼んでくれる?」
異界人さんの提案と要請に、ノアくんの目がますます吊り上る。
「ふざけるな!さっさとミズキくんを渡さないか!」
「でもねえ、渡しても攻撃するつもりなんだろう?」
「あたりまえだ!」
ぼくはオロオロしながら、ふたりの顔をかわりばんこに見ていた。
これじゃあ、堂々巡りだよう。
ぼく、どうなるの?




