真夜中の公園で 第七話
天界人さんの言葉に、ぼくは首を傾げた。
「君を取り戻す為だけに、あれだけの魔獣を集めたんだよ?
かなりキテるね、彼」
ノアくんに視線を向けながら、口元を緩めている。
「無理ないか。
たいせつな君を奪われたうえ、
私に愛撫されて感じる君の姿を、さんざん見せつけられたんだものね」
「ニャッ!?(ちょっ!?)」
慌てて天界人さんの口を前足で塞ごうとしたけど、遠くてまったく届かなかった。
人聞きの悪いことを言わないでよっ!周りがひきまくってるじゃないかあ!
ただ、背中や顎を撫でられて気持ちよくなったから、ちょっと喉をゴロゴロ鳴らしただけ!
猫なんだからしょうがないよ!……ね?
前足としっぽを振り回し、天界人さんに猛抗議したけど、無視されてしまった。
「私が彼の立場でも、絶対に許さないね。
仮に相手が降参して、無事に君が手元に戻ってきたとしても……」
「気が済むまで、ジワジワといたぶるよな?」
「○○を×××するとか?」
「いやいや△△だね!」
「あの隊長だぞ?私達でも考えつくような、浅いことをやるものか」
「うおおっ!怖え~」
きらきら集団が、天界人さんの行動を勝手に想像して震えあがっている。
あの魔獣たちより、上司の方が怖いんだね……。
そんな危険人物に、ずっと抱っこされているぼくって?(遠い目)
「つまり、どっちにしても彼等との戦いは避けられないってことなのさ。
ということで、私達の盾になってもらうよ?」
天界人さんはそう言ってぼくの頭を撫でた。
ええ~?そんなあ。遠慮します!
天界人さんの腕の中でしゅんとしていると、ノアくんが近づいてきていた。
隣の狼の背中に片手を置いたままだ。
とても信頼しているように見えて、胸がモヤモヤする。
……これって、ヤキモチ?
ぼく、別にノアくんのペットじゃないのに……って、あれ?何か間違ってるような……?
混乱してきて、フルフルと頭を振った。
「もう一度言う。ミズキくんを渡せ」
黒髪のノアくんは、ちょっと低くてオトナっぽい声だった。
なんでだろ?
声も顔立ちも体格も違うのに、あんまり違和感がないのは。
すんなりと、彼はノアくんだと受け入れられるのは。
3年間ずっと一緒にいたから?う~ん、よくわかんないや。
ぼくは前足を組んで首を傾げた。
「獣の赤ん坊を渡したら、このままおとなしく魔界に帰るか?」
金のひとが、再び剣を突き出しながらノアくんに言った。(ひとの剣なので強気だ)
「……………………もちろん」
ノアくんが神妙な顔をして頷く。
『ウソだ!!』
ここにいる全員(魔獣含む)の、心の声が聞こえたような気がした。




