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8. PART TIME JOB


グランマ達とお買い物に行った次の日には、蒼司が古いパソコンを持って来てくれた。


古いと言っても三年前に買ったデスクトップだと言う。


使うのに不便はなさそうだけど、やっぱ日本の学生は最新機種が好きなのかな?


「さうしさ・・・いや、ごめんなさい」


蒼司って言い辛い名前だ。


「呼び易い言い方でいいよ」


にっこり笑ってそう言ってくれたので、遠慮なく『蒼』と呼ぶ事にする。


敬語も止めて欲しいと言われたので六つも年上だけどタメ口で。


「蒼はパート・タイム・ジョブとかしてるんでしょ?どうやって探したの?」


大学生だし、一人暮らししてるし、バソコン新しく買ってるし、当然だよね。


折角の長期休暇なんだも、働いて小遣い稼ぎをしなくちゃ!と思ってたのに。


「朱里、バイトするつもりなの?」


バイト?って何?


首を傾げるわたしに、蒼は「ああ」と頷いて。


「英語ではパート・タイム・ジョブだったっけ?日本ではドイツ語のアルバイトって言い方が一般的だね。略してバイト」


へぇ。


「でも、朱里。バイトは出来ないと思うよ。校則で禁止されてる筈だから」


ええ?校則?


「大学だと規制はあまりないけどね。高校、それも私立だとバイトは禁止されているところが多いよ。特に朱里の行く学校はお嬢様学校だから、無理じゃないかな?」


「そ、それじゃ、お小遣いってどうやって稼ぐの?」


「みんな親から貰うんだよ」


ガ~ン!ショック!


「む、向こうじゃ親から小遣いなんて貰わないのが普通だよ」


日本人ってそんなに甘やかされてるのか?


「へえ?朱里も働いてたの?どんな事して?」


珍しい物を見るように好奇心旺盛な目で見られても。


「別に普通だよ。休みの日にビーチに行ってレモネード売ったり、ベビーシッターしたり、芝刈りしたりしてさ、みんなやってたよ」


そりゃセレブな家の子は働いたりしなかったけど、公立学校に通っている様な子はみんなそうやって小遣い稼ぎをするのが当たり前で・・・日本は違うのか。


「叔父さんはお小遣いを出してくれないの?」


多分、出してくれないと思う。


頷いたわたしに、蒼は「う~ん」と考え込んでくれた。


「だって、日本の学校に通うって事で、随分散在させちゃってるもん」


渡航費でしょ?学費でしょ?それに滞在費はどうなってるか知らないけど、タダって訳じゃないと思う。


これ以上、お金を出して!とは言えないよ。


「お祖父様やお祖母様から貰ったらダメなの?」


わたしは俯いたまま首をブンブンと振った。


昨日だって一杯洋服を買って貰ったし、制服もカバンも靴だって買って貰ったのに、これ以上なんて無理だよ。


「じゃあさ、この家の庭の草むしりとかは?家の中の掃除とか、洗濯とか?家事を手伝うってのはどう?」


「・・・家の手伝いでお金は貰えないよ」


お世話になっているんだし。


「そうかな?聞いてみれば?何もしなくたって二人はお小遣いを出してくれると思うけど」


そうなりそうだから、嫌なんだけどな。


案の定、グランパとグランマはわたしが「お小遣い」と一言言っただけで財布を出して来た。


必死で断ったけど、前途多難だ。


わたしは蒼に貰って配線したパソコンでパパにメールする事にした。


国際電話は高いし、時差もあるし、それにね、携帯電話のメールが定額なのは国内間だけで、通話もメールも海外はメチャ高なんだよ?


契約した時、携帯電話会社のお姉さんにちゃんと聞いたんだから。


次の日、パパからメールの返事が来てた。


その内容は・・・ええ?日本に来る?どうして?






よく見ていたアメリカのホームドラマなどでは上流階級以外の家庭ではお小遣いは貰えていなかった筈。

衛生管理が甚だ怪しいレモネードを十にも満たない子供達が道端で売っていたりしてました(怪しげなもので割ったりして)

ベビーシッター・ペットシッターも中学生から高校生のバイトの定番だったような気がする。

情報としては古いので、今ではどうか知りませんが。


子供を長期間預かって貰うなら、例え親戚でも親が事前か一緒に来て挨拶するのが普通では?と思います。電話で済ませる人もいるかもしれないが。

次回は目付きの悪い893のようなパパの登場です。


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