7. UNIFORM
通う学校が決まって、購入する物をリストアップした。
まずは携帯!
ステイツでも日本でも必需品だよね!
パソコンは悩むけど、パパが買っておきなさい、と言ってくれたから『アキハバラ』で買うつもりだ。
オタクの聖地に行けると、期待していたのに、従兄の蒼司がこんな事を言って来た。
「僕の使ってたパソコン、型が古くなったから譲ってあげるよ」
ああ、わたしのアキバ巡りが、メイド喫茶が・・・
可愛いメイドさんに『お嬢様』って言って貰いたかったのに・・・
チクショウ!執事喫茶には必ず行ってやる!
そして、問題の学校の制服。
制服には、夏服と冬服があって、六月から九月末までは夏服着用との事だから、取り敢えずは夏服を用意するんだけど・・・
どうして通学時と授業中で制服が違うの?
通学時は白いセーラー服で、授業中はブラウスとベストとスカートって何?
それに、このブラウスのバリエーションの多さは何事?
色は白とビンクと薄いブルーの三色に、襟が丸い物とワイシャツタイプの物の二種類、計六種類もある!
有名デザイナーの手によるデザインだそうだけど、種類が多過ぎるよ。
だって、これは高等部の制服で、初等部と中等部はまた違うデザインなんだそうだ。
襟とかスカートのデザインが微妙に違うんだってさ。
それ以外にも体操服とか、カバンまで指定されているし、靴も上履きとか言って校内では履き替えるのだとか、体育館用のシューズとか、色々と色々と買う必要のある物が多い事にビックリだ。
だって、これ以外にも教科書とか副読本とか、辞書まで指定された物を買わなくちゃいけないんだよ。
これって私立の学校だから?
お金が掛かり過ぎじゃない?
サンプルを試着すると、一緒に来たグランマと伯母さんに見て貰う。
ううっ、恥ずかしい・・・案の上、似合ってないよ!
「まあ、素敵よ!朱里ちゃん!」
「ホント!よく似合ってるわ」
お世辞は良いです、お二人とも。
わたしは背が高いから、大きい物を出して貰ったんだけど、それでも丈が少し小さい。
胸周りはブカブカなのに・・・
「でも、サイズは合っていないわね。オーダーにしましょう」
え?そんな、あっさりと。
「オーダーですと、二週間程お時間を頂きますが、宜しいでしょうか?」
デパートの店員さんがそう訊ねると、グランマは「ええ、ついでだから冬服も一緒に作っておいて頂戴。二着ずつね」とあっさり。
ええっ、そんなに?
パパがわたしにクレジットカードを作ってくれて、それで支払いをしようとしたら、グランマに止められた。
「あたし達と一緒に居る時に朱里がお金を出す必要はないのよ」
ええ?それは、ちよっと困ります。
「でも、わたし、父からちゃんとお金を貰ってます」
これを聞いたらパパは怒るんじゃないかな?
「朱里達はずっとアメリカに居たでしょ?今まで出来なかった事を色々としてあげたいのよ」
笑顔を押し切られてしまった・・・パパにどう報告するべきかな?
「入学金や授業料はちゃんと朱里のお父さんから出てるから、心配しないで」
そういわれてもなぁ・・・パパに黙っている訳にはいかないよなぁ。
ちょっと憂鬱になりながら、わたしは「ありがとうございます」とお礼を言った。
しかし、グランマと伯母さんとの買い物は、これだけでは終わらなかったのだ。
洋服は試験の前にも買ったのに!
一体、何枚の洋服を買えば二人は満足してくれるの?
デパート中の服を買い占めるの?って言う勢いで、二人は私に似合うと言っては服を買い漁って行った。
そして支払いはゴールドカード。
お金持ちって・・・やっぱり金銭感覚が違うのね。
以前、制服の採寸のバイトをした事があって、とある私立の女子校で通学用と校内用で制服が二種類ある学校に行った事があります。
親の財布は大変だぜ、と思いました。
そして辞書を指定されたのは私の経験談。
高校って金が掛かる。
もちろん、私立だと『寄付金』ってヤツもあるのでしょう。
高校の授業料は無料化されたそうですが、私立の場合、公立と同額分以上の差額は負担する必要があるとか、収入によって負担額が増減するそうですし、その政策がいつまで続くか判らないので、特に明記はしませんでした(どっちにしろ払う事にはなるんだろう)