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15. FRIEND




腹黒い担任に指定された席は窓際の一番後ろだった。


クラス中に注目されて着席する。


前の席はクラス委員の知夏、隣は・・・


「よっ!朱里サマ!あたしは真鍋聡美!よろしくな!」


ポニーテールの初めて見る顔だった。


その気さくな喋り方にホッとする。


「よろしく!」


嬉しくて無意識のうちに笑ったらしい。


「おおう!やっぱ、間近で見ると迫力があるねぇ。プリンス・スマイルは」


そう言われて顔が引き攣る。


プリンス・スマイル?そんな事言われてるのか?


「あ、ゴメン。気を悪くした?」


「いや、別に」


プリンスだなんて・・・王子と言われて気を悪くしない女の子がいる?






ホームルームは担任からの連絡事項の通達の後、始業式の為に講堂に移動する事になった。


「始業式って何をするの?」


移動しながら知夏に訊ねると、知夏はいつものようにニッコリと微笑んで教えてくれた。


「各学期の始まりに、全校生徒が集まって講堂で校長先生のお話を聞いて校歌を斉唱するんですわ」


そんな事をする意味が判らない。


思わず首を捻ってしまったら、知夏は苦笑しながら説明してくれた。


「まあ、一つの区切りの儀式の様なものですわ。始業式と終業式、この二つが学期の始まりと終わりの合図になっているんです。その日は授業もありませんわ」


「朱里サマは帰国子女だっけ?向こうじゃこれと似た様な事はやってなかったの?」


隣の席の真鍋さんが話に加わって来た。


「うん、向こうじゃ新学期の始まりの日から授業があるよ」


へえ、今日は始業式だけで授業が無いんだ。


「へぇ、大変だなぁ」


思わずわたしが心の中で呟いた言葉と重なる様な真鍋さんの言葉に驚いて、そして嬉しくなった。


この人と仲良くなれるといいな。


「そうでもないよ、勉強のレベルはやっぱりこっちの方が進んでるし。正直、夏期講習に参加出来て助かったよ」


「あ~夏期講習ね。あたしも参加すれば良かった!一年からなんてタルイから参加しなかったけど、朱里サマが来ると判ってりゃぁね」


「その、『様』は付けなくてもいいよ。真鍋さん」


って言うか、付けて欲しくないホントは。


「へぇ?そんならあたしの事も『真鍋さん』じゃなくて『聡美』でも『ナベ』でも好きなように呼んで」


ニカッと歯を剥き出しにした笑顔を向けられてホッとする。


お嬢様学校と言っても色んな人がいるのは当たり前だけど、それでも彼女の反応は新鮮でありがたい。


「うん、じゃ『聡美』、よろしくね」


思わず右手を差し出せば、ギュッと握り返してくれた。


「こちらこそ、宜しく『朱里』」


「まあ、聡美さんなら大丈夫でしょうね」


それを傍らで見ていた知夏がニコニコと微笑みながら、表情とは違った冷静な声で告げる。


「大丈夫って、何が?」


知夏の言う事は、時々意味が判らない事がある。


「聡美さんはソフト部のエースで人気もありますから、朱里様を呼び捨てにされても嫉まれたり文句も言われないだろうと言う事ですわ」


え?なにソレ?


「ああ、ありがたいねぇ。あたしの無駄な運動神経も役に立つ事があって」


聡美も知夏の言葉に苦笑してる。


なんだよ、ソレ?


思わず眉を顰めたわたしに、知夏と聡美が顔を見合わせて苦笑している。


なんなんだよ!






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