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12. FAMILY

わたしは女子校に通うのだから、今度こそ女の子の友達が出来るといいなぁと思っていた。


厭くまでも、わたしが欲しかったのは『友達』であって、『朱里様』なんて『様』を付けて呼ぶようなファンが欲しかった訳じゃない。


わたしは一日目の夏期講習から帰ると、ママにこっそり相談した。


だって、ママならこんな事になると予想してたみたいだし、何か上手い対処法でも知っているのかと思って。


しかし、


「あら、やっぱりね。いいじゃないの。朱里はちょっとボーイッシュなタイプだから、女子校では人気が出ると思ったのよ!日本の女子校っていうのは閉鎖された特殊な社会だから、虐められるよりはファンがいた方がいいわよ~」


・・・宛てにならない母親だ。


「それより、もっと自慢するべきよ!パパやお父様達やお姉様達にも報告しなくちゃ♪」


や、止めて!と思って必死で止めたが、わたしにハイテンションの母親を止める術はなく、その日の夕食時には成島家全員の耳に入っていた。


パパはその話を聞いてもいつもの無表情で動じず、玄は意味が判らないと言っていた。


グランパとグランマは「さすが、我が孫」と感心し、伯母さんも「あら、素敵ね」と笑顔で流してくれた。


だが、伯父さん、あなたはどうして夕食の席に居るんですか?


この前に続いて今日までも。


パパと言う、自分と同じ婿が居るからですか?


パパは伯父さんの事があまり好きな様には見えませんが。


伯父さんにニヤニヤと面白そうに笑われると何だか凄くムカつくんですが。


そして、蒼司!


何故、お前までもが此処に居る!


お前の住む家はここじゃないだろ!


蒼司もニヤついててムカつくが、家族の前では怒りを表に出せない。


ホントに伯父さんと蒼司は似てる。


顔だけじゃなく、腹が立つところが。


伯母さんはあんなに優しくていい人なのに、その大切な遺伝子を母親のお腹の中に忘れて来たんだな、きっと。


パパは見た目は怖いけど、中身は優しい人だ。


わたしもパパの様な人を見つけよう!






翌日も夏期講習は続く。


登校中に親衛隊の子に「おはようございます、朱里様」と挨拶をされ、周りに聞こえていないかヒヤヒヤするが、チラチラと視線を貰うだけで、わたし一人が顔を赤くしている。


「お、おはよう」


はっ、名前を聞いてない!


今更聞くのも失礼だろうか?


悶々と考え込んでいるうちに学校に到着してしまう。


クラス委員の秋山さんにこっそりと親衛隊の人達の名前を聞いてみると、夏期講習中の名前入りの座席表を作ってくれた。


本当に優しい人だ。


「ありがとう、秋山さん」


「どういたしまして。でも、親衛隊の人達の事は下の名前で呼んであげると喜ぶと思いますわ」


そ、そーですか。


「もしかして・・・秋山さんもそう思っていらっしゃる?」


確か、初めて会った時には苗字しか名乗って居なかったけど。


「どちらでも朱里様が呼び易い方で構いませんわ。わたくしは皆様からは『委員長』とよく呼ばれますから、そちらでも結構ですし、苗字でも、下の名前でも」


そう言われても、わたしは下の名前を知らないから、そっちで呼ばれたくないんだな、と考えてしまう。


「そうそう、ちなみに下の名前は知夏と申しますの」


それは『知夏』と呼べと?


昨日から、色々と他の生徒を見ているけど、流石にお上品なお嬢様が通う学校なだけあって、生徒同士では大抵が苗字に『さん』を付けている。


これが年上だと『先輩』と付くらしい。


ファースト・ネームで呼び合う程、仲の良い友達がいないのか?それとも作らないのか?


スタンスが読めない。


もっとも、この夏期講習に参加しているのは一部の生徒だから、新学期が始まれば、もっと違った光景が見られるんだろうか?






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