表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を効率重視で生きていく ~能力“異世界入門書”って、なんですか?~  作者: 眠ウタラ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/7

5話

 結論、無理だった。

 新太が思い切り力を入れたところで、石は数センチほど浮くだけ。

 たとえ、もっとしっかり持ち上げることが出来たとしても、数歩で力尽きることは明白だった。


「クソッ! こんなん無理に決まってんだろ」


 悪態と共に感情のまま石を蹴飛ばしてみても、石は微動だにせず……新太が痛みにのたまうだけだった。

 ならいっそ、アガロに無理って言いに行くか?


「……いや、やめとこう。顔怖えし」


 そんな、なんとも情けない理由でアガロの元に向かうのを諦めた新太は、先ほど蹴った石材の上に腰を落とす。

 空には嫌らしいほどサンサンと輝く太陽……しかし、その角度は次第にゆっくりとだが傾きを見せ始めていた。

 きっと、あと数時間もすれば日は落ちて、夜の闇が来るだろう。


「あークソ、なんか手は無いか?」


 アガロもわざわざ嫌がらせや悪意から、こんな仕事を俺に投げたわけではない……はず。 そんな希望的観測を頼りに、思考を巡らせる新太だったが、そもそもアガロは言っていた。 “その辺に使えるモンが転がってるから、好きに使え”と。

 そのことを新太が思い出したのは、視界の端にあった“背負子(しょいこ)”を見つけた時のことだった。


……

…………

………………


「ぐ、ぬお、……ぉぉぉぉぉぉぉッ!」


 積まれた石の段差を利用し、背負子に石を載せ……そしてそれを力尽くで背負い、立つ。

 まだ、たったひとつといえど、ついに新太は石を持ち上げることに成功した。


「う、ぐ……」


 しかし持ち上げたとて、気を抜けば一気に背へと持って行かれる重み。

 その緊張感に新太は顔を引きつらせながらも、ゆっくりと歩き出した。


「へ、へへ……へへへ……」


 数歩、また数歩と肩に痛みが奔る。

 だが着実に歩を進めていく新太の口からは、なぜか妙な笑いが漏れ始めていた。

 ……正直、その顔はかなり不気味だったが、幸運なことにそれを見ていたものはおらず、新太の奇行が広まることはなかったのだった。


◇◇◇


「よぉ、アラタ。すぐ根をあげるかと思ってたが、思ったよりも運んだみてぇだな」


 あれから数個ほど石を運んだ頃、アガロはそんな言葉と共に新太の元にやってきた。

 そろそろ日が落ちることから、今日の仕事の終わりを告げに来たらしい。


「おかげさまでな。かなり肩が痛えよ」

「ハッ、そんなもんで済むなら、明日からも大丈夫そうだな」

「……マジかよ」

「期待してるぜ~、アラタ」


 言いながら新太の肩に手を回し、「おら、飯食って宿に行くぞ」と引っ張る。

 その強引な行動に肩の痛みが増すものの、新太はアガロに抱えられるまま、夜の街へと繰り出したのだった。



 NEXT.今日はしっかり寝よう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ