4話
青空の下、新太は門壁沿いにブルーミングの中を進む。
門番の男に言われた、アガロなる人物と会うためだ。
「っても、アガロさんが誰か分からんが……」
見た目などは聞いておらず、会った人に訊けば分かる、としか言われていない。
ただ、訊けば分かるということは、結構有名な人なのだろう……と、出会った人に訊くことにしていた。
――結果、すんなりアガロは見つかった。
「おう、俺がアガロだ。なんか用か坊主」
そう名乗ったアガロは、金のモヒカンを持つ筋骨隆々の男で、着ている服はサイズが合ってないのかパツパツ。
しかも、転生した新太よりも(モヒカンを除いて)頭2つほど背が高く、目線を合わせようと少しかがんでくれているのが、余計に顔の治安を悪くしていた。
「あ、あの……これを、門番の人がアガロさんに渡せって」
「あぁん? ……なるほどなァ」
恐る恐る丸められた紙を渡せば、アガロはそれを荒々しく開き、ニヤァと笑う。
い、いったいその紙には何が書かれていたのか……と、新太がそれを問うよりも先に、アガロは新太の肩を叩いた。
「よぉーし、アラタ。今日から3日間、お前は俺の部下だ。キリキリ働けよォ?」
「え? は? 部下?」
「おうよ。さっきの紙な、タルギの野郎から、俺への紹介状なんだよ。金もなんも持ってねぇヤツが行くから、面倒見てやれってな」
なにやら知らないところで、話が進んでいる……。
そう心の中で頭を抱えていると、アガロはそんな新太の頭を丸めた紙で叩き「おら、行くぞ」と、背を向けた。
「ボサッとすんな、ついてこい!」
「……俺の心はガン無視みたいだな」
「アラタ! 聞いてんのか!?」
「あー、わかりました。今行きますって」
◇◇◇
「アラタ、お前の仕事はコイツをこの先の作業場に運ぶだけだ」
言いながらアガロは足下に積まれた石材を足で蹴る。
ゴッと中身の詰まったような音を響かせた石は、新太だと両手で抱えなければならないほどの大きさで……持たなくても分かる重量を感じさせた。
アガロはどうやら……これを100mほど先まで運べと、新太に言っているらしい。
「……どう考えても無理では?」
「何も手で運べとは言わねぇよ。その辺に使えるモンが転がってるから、好きに使え。運んだ分で金は出すからな」
「…………」
言うだけ言って離れていくアガロを新太は無言で睨んでみたものの、当の本人は全く気づくことなく、建物の陰へと消えていった。
「ハァ……やるしかねぇか……」
持ち上げるだけで身体が悲鳴を上げそうな石材ではあるものの、これを運ばないことには金を得ることが出来ない。
そして今現在、懐事情は寒いどころか極寒……金を得なければ、数日と持たず野垂れ死ぬことは明白だ。
……つまり新太には、この仕事を“何が何でも”こなして、金を得なければならない。
「ったく、リアルな没入シミュでも、もうちょっと優しいだろ……」
やっぱりゲームはゲーム……リアルとは違うんだと、大きく溜息を吐いて、新太は石材に手をかける。
そして、いざ持ち上げん! と、両腕に力を込めた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!! 見てろよ、アガロォ!! これが15歳、若さの力だああああぁぁぁ!!」
NEXT.石を運ぼう




