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【恋愛系集約】VS ~ 代償 ~  作者: 邑 紫貴
恋愛Sim★comp

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69/75

別世界……


俺たちは経験する。

これは、本物の恋愛。

他の人と全く同じじゃない恋。俺たちの恋愛物語。

普通じゃない?

普通であってはいけない。

うん、トラと文一ちゃんも俺たちの恋と同じじゃない。

同じ恋の物語は存在しない。

この先……俺の恋は、何を経験するのか。

みんなと同じ……経験?

俺に心を赦して……キスを受け止める。俺に応え、反応する比名琴……。

手をつなぎ、指を絡めたら……

想像しただけで動悸が激しくなった。

実際に触れ、君が拒まなかったら……ゾクゾクする。

激しいキスも想像した。

軽いキス・吸い付くキス・角度を変えて、強く押さえた。

何度も繰り返し、味わうキスは甘く……酔いしれる。

貪欲に、どこまでも底なしの欲求。

舌を入れたら?絡めて、吸い付いたら……

はぁ……興奮する……



次の日、俺は寝不足だった。

「ふ……ぁ~~。」

眠ぃ……

「何だ?妄想のし過ぎで、眠れなかったのか?」

ニヤニヤしたトラ。何だか、すっきりした顔。

訊くのはウザイが、小説のネタだ。

「……いい事、あったのか?」

俺の質問に、気持ち悪いぐらいに緩んだ表情。

「くふふ。知りたい?……でも、むふふ……恥ずかしいし。」

ウザさの頂点。

「言わなくていい。」

「待てよ!訊きたいんだろ?いいぜ、くふっ。実は……」

押し退ける俺は、まとわりつくトラに拳を握った。


「うそっ!!」

大きな、比名琴の叫び声。

……?

初めて聞いた。

「あぁ~~あ。フミ、コトちゃんに言ったんだ。くふふ……あの反応だと、お前はまだだな♪」と、優位を示すような態度。

……??まだ?

「トラぁ~~。おはよう♪」と、文一ちゃん。

比名琴は、後ろで顔を真っ赤に固まっている。

……??まだ??

イチャイチャする二人を先に行かせ、道を戻る。

俺が距離を縮めると、後退った。

……?!

俺の足を止める。

「……比名琴?」

【ビクッ】

……身を小さくし、俺を見ない。

?!!何だ?あの二人が何をした?何を聞いたら、こうなるの?

はっ!!俺の昨日の妄想?いや、知られるわけが無い。よね??


【始業の鐘の音】


沈黙に、開いた微妙な距離で教室に向かった。

授業どころではない。

比名琴は、俺の視線を感じるのか……落ち着かない雰囲気。

トラと文一ちゃんは、授業中なのにウザイ雰囲気。

授業が終わると、二人はどこかへ消えるし。

比名琴も、俺を避けている。

俺は、シュウちゃんを捕獲した。

「……幾久くん?何……かな?」

何故か、赤面で訊く。

「トラ達、何があったの?どうして、比名琴は俺を避けるのかな?」

俺の質問に、涙を零して。

「知らない……ですぅ。お願いです、私に訊かないで……恥ずかしくて死にます!!」

何が?!!

「柊規!……お前。何、泣かしてんだよ!!」

おぉ!!修羅場っぽい!!

体験したことの無い場面に遭遇し、初めての体験にメモを取る。

俺の胸座にある手が緩む。

「……柊規、これ……コトちゃんの?」

「うん。コトが避けてるの……。例の話よ。」

俺は、殴られなくて済んだが……

「あぁ、シュウちゃんの彼氏さん?はじめまして、蓬来 幾久です。」

俺の自己紹介に、二人はため息を吐いた。

……?普通は、難しいようだ。

「はじめまして。夏梅生なつめき みことです。……柊規、外してくれる?」

「うん。」



屋上。

次の授業を、初めてサボった。何だか、ドキドキする。

「なぁ、俺までいいのか?」

「あぁ。作品の意見に、必要だと先生に伝えたらOKだったよ。」

俺の笑顔に、また……ため息。

「夏梅生くん。どうして、比名琴は俺を避ける……はっ、別れ話?!」

俺は、青ざめる。急に、血の気が引いたのを感じる。

そんな俺に、今度は苦笑い。

「無いよ!二人には。」

俺達には?

「ふっ。ホントに、普通じゃないよ。……羨ましいけどな。別れから始まって、恋愛を始めるなんて最強だ。最近、文一が別れたのは聞いた?」

「……あぁ。今はトラと付き合っている。」

何だろう、この会話も俺の世界が変わる。

トラと違った感化。

「俺は、この関係がいつか壊れるのか不安な時がある。傷つけて、嫌われたらどうしよう?って……」

壊れる時のこと?嫌われるかも……は、よく考えるけど。

「へへ……俺、あの本読んだ。泣いた……んだ。柊規も泣いた。俺は、自分のこと。でも、柊規はコトちゃんの悲しみに泣いた。……あれ?何が言いたいのか分からなくなった?とにかく、お互いを知るのに時間は足りない。求めるものが違ったりする。……君から学んだ。コトちゃんが逃げてるのは……」

夏梅生くんの言葉が止まる。

……?

「……え……?」

俺の目から涙が零れた。

感覚なく流れ続ける。彼の戸惑う様子が霞む。

「……ごめ、ちょっと待って。ははっ、嬉しい……比名琴のことが気になるのに。変だな?」

人として、欠けた何かを得た。

俺は、足りない感情を描いてきたことを後悔した。

狭い世界に、誰かの言葉を借りて共感もなく綴った文字……

出会いに感謝した。


落ち着いた俺に、言いにくそうに夏梅生くんは口を開いた。

「……言うタイミング、間違えたな。はぁ……。文一ちゃんは、トラくんと……その……お泊りをしちゃった……わけですよ。こほっ……あぁあ~~、何か俺が恥ずかしいのは何故だ!!」

顔を真っ赤に、座り込んで視線を逸らした。

……お・泊・り……??二人で~~??


【携帯の着信音……火サスのテーマ曲】


携帯の画面を見ることなく、サイドボタンで着拒!

夏梅生……ミコトと友達になり、屋上で別れた。

俺は、考えごとをしたくて屋上に残り町を見下ろした。


【同じ着信音】


そう、当然……“使えない”担当、嶋関。

ちっ!!いつも、邪魔するんだ!

「はい?何……」

「酷いですようぅ~~」

ウザさに、切りたくなった。

「スポンサーの方から、特別の招待で!!新設リゾートホテルの室内利用に、来ないかと!!」

「行かない。」

興味が無かった。

「うわぁ~~ん。待って、切らないで!!比名琴ちゃんの許可はもらったモンね!!」

……はぁ?いつ、比名琴の連絡先を?

いや、許可を取った??

「ちっ!!」

思いっきり、あからさまな舌打ちをしてやった。

……コロス、いつか!!

「お泊りだよ♪あ、もちろん部屋は別だけど。ふふ……くふふ。編集長が、比名琴ちゃんのお母さんに連絡してくれたんだ。沖縄だよ!!」

……。

沖縄・お泊り・母親の許可・編集長……何か、仕組まれてるよね?

「編集長に訊くから、切る!……締め切り以外でかけてくるな。」

携帯を耳から離すのに、声が聞こえる。

「酷いぃ~~……」

【プチ!】

はぁ……




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