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【恋愛系集約】VS ~ 代償 ~  作者: 邑 紫貴
恋愛Sim★comp

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63/75

別れも突然に……

幾久side。


俺は、家に帰りメモを広げる。

内容は醜い感情と、とても純愛小説では描けない欲望の塊。

吐けどころのない、汚れた自分が比名琴に触れる。

君は知らない。俺の中で、君の姿は口に出来ない姿。

この間の風が、俺の妄想に拍車をかけた。下着姿なんて、見たことがない。

夢に見る君は、現実にはいない。魅惑的で俺を誘う。

夢の中で幻に溺れ、死にそうだ。

這い上がることが出来ず、その泥沼に心地よさを感じるんだ。

擬似恋愛は、俺をどこまで堕落させる?

このまま……消えようか?そんな勇気も、消えうせて。気が狂いそうだ。

比名琴……比名琴……抱きしめたい。

君に包まれ、死を望む俺よりは……まだ暴走したほうが人間らしいだろうか?

感情に涙が溢れ、狂いそうな人格が幾つも浮かんでは消すのに必死。


「幾久くん、大変だよ!執筆中止だよ!!編集長が怒ってる!」

使えない担当、嶋関が叫ぶ。

俺は、想いを連ね部屋中を原稿で埋めた。

内容は覚えていない。が、編集長の怒りを買う内容だろう。

もう……どうでもいい。そっとしておいてくれ。

気を失う中、俺の目に君が映る。

重症だ。これが、恋の病か?ふふっ。確か、薬も治療方法もないんだっけ?


気がつけば、病院だった。手には点滴と、鼻には病院の香り。

あぁ……何日、寝ていないのかな?学校も、行っていない。

母さんと連絡を取っていない。今、住んでいるのは借家だ。迷惑をかけて、大丈夫だろうか?

比名琴、心配してくれるかな?


俺は、現実を知ることになる。

君との契約がほとんど残ったこの時期に、“別れ”なんて考えてもいなかった。


夢の中、君の涙を手の甲に受けた。

優しく包む手の温もりも……そして「さようなら」を聴いた。

夢だよね?さよならをするには、早いよ?だって、まだ二月。

春の桜。梅雨。初夏。真夏日。紅葉に冬景色。君との景色は、まだ沢山あるよ?

君の誕生日。俺の誕生日。

お祭りに花火大会。キャンプに海。プール、カキ氷。食欲の秋に、読書……

ホワイトデーは?

一番近い、その日は……俺の計画をサプライズで考えた。

遊園地・映画館・ショッピング・旅行に……沢山の計画。紙に、いっぱい書いた。思いつく限り。

執筆中止?もう、書かなくていい?書いてはいけない?

君は、俺から解放されるの?俺は君に囚われて、すがって生きているのに?

それがいいのかもしれない。

けど、別れはまだ止めて。まだ……このまま……




ヒナキside。


あなたは知らない。体調を崩し、病院に運ばれたときのこと。

本当は、後一回だったの。あなたと会うことを赦された回数は……。

お別れは涙が出た。

最後の一回は、笑顔で過ごすわ。約束する。

今は、この涙をあなたに捧げるね。

あなたの知らない涙。“小説の私”が知らなくていいモノ。

お願い。物語だけは、涙なんかいらない幸せで閉じて。


「あなたが、幾久君の?お話しがあるのですが、お時間をいただいても宜しいでしょうか?」

こんな私に、丁寧に話す上品なおじさん。

分かる……幾久の仕事の人だ。とても偉い人。私たちの関係に、終止符を打つ人だ。

私の目は虚ろになる。

景色や眠るあなたの表情が涙でかすみ、見えない。

残された時間は、極端に減ったのに。残酷にも、時は刻み続ける。

話は、とても簡単。私が、仕事の妨げになっていると。

ふふっ。理解できる。ドラマなんかで、うそ臭いエピソード。

意地悪なマネージャーとか、担当の人が恋路を邪魔するの。

くすくすくす……恋路?私たちの間に、気持ちなんてない。通じる道なんかないのに?

ない道を閉ざされる。もう、逢ってはいけないと。

もう……言葉を交わすこともない。

忘れる?無理だ。いつのまに好きになった?

擬似恋愛に、深い水から引き上げられて地上に出た。

息も吸えない、苦しい環境に……幸せを味わった。

何がいけない?普通の片想いと、何が違うの?

私は、頼まれただけよ?それも、騙されたような形で……酷いわ。

葱を担がされ、火に向かう鴨。誰も食べる人がいないのに、火に飛び込んで焦げカスも残らない。

怨むわよ?


幾久……あなたは、才能がある。

その才能に、その容姿に……女の子が近づけなかっただけなのよ?

鈍感なあなたは、何を見てきたの?

文字の世界を、お姉さんは見抜いてた。

だから、亡くなるのが分かったときに……あなたをその世界に導いた。

相応しい、才能を生かした……生きられる世界に。

私のいないきらびやかな世界。

幸せを願うわ。そして成功を……


そして来る。最後の一日が……呪いの日。一生忘れない日だ。

その日より、憎む日がまだあるなんて……知っていたら……あなたに出会ったことを後悔しなかった。

想いは通じていたのだと知るなんて。

……残酷な世界に突き落とさないで……お願い……これ以上、あなたへの気持ちはいらない。

消えてしまいたい。

最後の日、言葉があなたに伝わる限り言うわ。





幾久side。


編集長に母親に怒られて、次の日には退院した。

夢の中の君は泣いていたけど、入院のことは黙っておこう。

同じように、現実で君に泣かれたら……胸が苦しい。君の笑顔を見ていたい。

編集長が、時間をくれた。

疑問に思うべきだった。俺には、自由があった。偉い人から許可をもらわなくても……。

浮かれた俺は、最後の日を時間の短い普通の日に選んだ。

君の電話の声は、落ち着いていて……女優だね。

そんな演技をさせたなんて、俺を殺してやりたいよ。

君は、その時間……何を考えた?

いくら思い出そうとしても、分からない。ただ、のん気にその時間を楽しんだんだ。

君が笑うから。いつもより多く、俺の名を……愛しく呼ぶから。

俺の心は、純粋に反応した。浮かれたんだ。

君に心が通じたんだと……単純に。


学校が終わったのは何時だった?

その日は、進路の関係で5時を過ぎ……6時が近かった。

君は、夜ご飯にいつものファミレスじゃなく……初めて入った喫茶店を選んだ。

そう、契約を交わした場所だ。

思い出の場所に浮かれた。君は、俺と違う意味で味を覚えているだろうか?

同じ、ディナーセットだった。遅い時間のそこは、いつもより高い金額だった。

そこがいいと、初めてのわがままに……君の焦る姿は忘れない。

可愛い君のわがままに、金額なんて気にならない。

そんな俺を、君はどう見た?

“別れなければならない現実”を……味わったのだろうか?

俺の世界は、ここでなくてもいいんだ。

俺は男だぞ?人との付き合い?みんなが経験する。世間に出て、もまれて当然だ。

上下関係を覚悟して生きる。

資格を取る。どんな仕事だっていい。君と共に時間を過ごせるなら……お金だっていらない。

君が欲しいんだ。俺を見失うほど。

編集長が警戒するほど、狂ったのは俺の感情をコントロールできない自分の所為だ。

君が悪いんじゃない。君を失ったら……物語は終わりなんだ。

未来はない。君が……どれだけ望んでも……物語の世界にさえhappy‐endは無い。


時間は、無情にも過ぎていく。楽しい時間は、あっという間だった。

君は?同じ時間、辛い想いばかりだっただろうか?

君の呼ぶ名前に、違和感を抱き始めた。

君は、視線を逸らして誤魔化す。

残り時間は、わずかになった……ほんの少しの瞬間。

俺は、後悔する。言うんじゃなかった。言わなければよかった。

君は、赦さないで。憎しみでも、俺を忘れるな!

「ね、キスしてもいい?5万出すから。」

「……はっ!一瞬、悩んだ自分がいるわ。……触れるだけ?なら、考えなくもない。」

君は、冗談ぽく振舞った。

我慢の限界に、火を付けた。

「じゃ、早速。戴きます。」

近づく俺を、見たことのない涙の量の君。

俺の口を手の平で押さえ、離した手の平にキスをした。

「……ごちそうさま。……ごめんね。さようなら……」





幾久side。


編集長に母親に怒られて、次の日には退院した。

夢の中の君は泣いていたけど、入院のことは黙っておこう。

同じように、現実で君に泣かれたら……胸が苦しい。君の笑顔を見ていたい。

編集長が、時間をくれた。

疑問に思うべきだった。俺には、自由があった。偉い人から許可をもらわなくても……。

浮かれた俺は、最後の日を時間の短い普通の日に選んだ。

君の電話の声は、落ち着いていて……女優だね。

そんな演技をさせたなんて、俺を殺してやりたいよ。

君は、その時間……何を考えた?

いくら思い出そうとしても、分からない。ただ、のん気にその時間を楽しんだんだ。

君が笑うから。いつもより多く、俺の名を……愛しく呼ぶから。

俺の心は、純粋に反応した。浮かれたんだ。

君に心が通じたんだと……単純に。


学校が終わったのは何時だった?

その日は、進路の関係で5時を過ぎ……6時が近かった。

君は、夜ご飯にいつものファミレスじゃなく……初めて入った喫茶店を選んだ。

そう、契約を交わした場所だ。

思い出の場所に浮かれた。君は、俺と違う意味で味を覚えているだろうか?

同じ、ディナーセットだった。遅い時間のそこは、いつもより高い金額だった。

そこがいいと、初めてのわがままに……君の焦る姿は忘れない。

可愛い君のわがままに、金額なんて気にならない。

そんな俺を、君はどう見た?

“別れなければならない現実”を……味わったのだろうか?

俺の世界は、ここでなくてもいいんだ。

俺は男だぞ?人との付き合い?みんなが経験する。世間に出て、もまれて当然だ。

上下関係を覚悟して生きる。

資格を取る。どんな仕事だっていい。君と共に時間を過ごせるなら……お金だっていらない。

君が欲しいんだ。俺を見失うほど。

編集長が警戒するほど、狂ったのは俺の感情をコントロールできない自分の所為だ。

君が悪いんじゃない。君を失ったら……物語は終わりなんだ。

未来はない。君が……どれだけ望んでも……物語の世界にさえhappy‐endは無い。


時間は、無情にも過ぎていく。楽しい時間は、あっという間だった。

君は?同じ時間、辛い想いばかりだっただろうか?

君の呼ぶ名前に、違和感を抱き始めた。

君は、視線を逸らして誤魔化す。

残り時間は、わずかになった……ほんの少しの瞬間。

俺は、後悔する。言うんじゃなかった。言わなければよかった。

君は、赦さないで。憎しみでも、俺を忘れるな!

「ね、キスしてもいい?5万出すから。」

「……はっ!一瞬、悩んだ自分がいるわ。……触れるだけ?なら、考えなくもない。」

君は、冗談ぽく振舞った。

我慢の限界に、火を付けた。

「じゃ、早速。戴きます。」

近づく俺を、見たことのない涙の量の君。

俺の口を手の平で押さえ、離した手の平にキスをした。

「……ごちそうさま。……ごめんね。さようなら……」



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