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【恋愛系集約】VS ~ 代償 ~  作者: 邑 紫貴
喰 喰

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54/75

オマケ:どっち?

タイトル『どっち?』

Side:茶紗さしゃ

登場人物:希渉きしょう

俺:ノゾミ・オレ:ワタル



好きだった。

今も、好きだという気持ちは変わらない。

だけど恋を形作ったのは。

ウワサを耳にし、外見だけを見て膨らんだ想い。

直面した理解できない状況。

流されたかと聞かれたら違うと言える。

それでも。キスを受け入れた自分に戸惑う。

強引なキスと、優しく触れるだけのキス。

二重人格の彼。

見てきた私なら理解できると言われ。

感情は複雑で……友達に、何と説明していいのか分からず。

多く語ることは控えた。

二重人格。それは、どれだけの人が知っているだろうか。


湖未ちゃんには、ずっと語ってきた片思いの相手と、付き合うようになったのだと正式な報告。

それを純粋に喜んでくれて。複雑な想い。

嘘は吐いていない。黙っていることがあるだけ。

放課後の待ち合わせに、乗り気じゃない私を後押ししながら、応援してくれる。

きっと私の自信のなさを、勇気づけようとしているのだろう。

その優しさに甘え。

向き合う相手。

確かに好きだと告げたけれど。

それは便乗した覚悟などない言葉。

私の付き合う相手は一人なのに、人格は2つ。

私が好きなのは、どっちかと聞かれても困る。

見てきたのは外見。噂の側面。中身じゃない。

どちらが好きかなんて、断言はできない。


「茶紗、こっちにおいでよ。」

図書室の扉を開けて見渡す私に、奥から顔を出して小さな声で呼ぶ。

他に人はいないのに。

どちらの人格であっても配慮はできる人なのだろう。

そう違和感。

どちらが。どちらも。

増える情報が、不安を煽る。


放課後の人気のない部屋に、西日が照らし。

影を帯びた彼は“どっち” ?


窓際に立ち、近づいた私に席を勧める。

「座って。俺ね、試したい事があるんだ。」

穏やかな雰囲気が、少し感じ取れ。

彼はノゾミ君なのだと判断した。

合っているのかは分からないけれど……

「あの、ノゾミくん……?何をするの?」

間違っていれば、また機嫌を損ねてしまうかもしれない。

恐れと、不安……

思い描いてきた恋愛の甘さとは、似つかない感情。

私は言葉を間違えた以上に……足りない情報で、彼を不快にさせたのかもしれない。

それは、これからも続くよね?

「ふふ。当たり……じゃ、目隠しね。」

座った私に、静止を促す素振り。

彼は窓際から移動して私の後ろに回り、布を見せて目を覆う。

「何もしない。触れないから……」

耳元で、囁く低い声。

見えない状況と、今まで抱えていた不安が、恐怖として襲う。

「震えているね。怖いのは当然か。ごめんね……」

ごめん?

謝るのは、私の方なのに。

あなた達を傷つけ、自分の想いも幼い恋心から……

「好きだよ。ずっと、君は“俺達”を見ていた……その眼が、今は……怖いんだ。」

好き?この想いは、どっちの心なの?

私……私は……

「好きだ。オレを選べ……」

触れないと言ったのに。

後ろから優しく抱き寄せ。首元や肩に頬を、すり寄せる。

これはワタルくんなんだ。

口調は荒いけれど。

触れるのは優しく、動きは甘えるように緩やかで。

それも一時。

理解できない感情。言い表せない。もどかしさ。

覆いから解放され、抱きしめる腕に私は手を添えた。

私の行動が意外だったのか、驚きの過剰な反応。

目隠しは取れている。

見てみたい。どんな表情をしているのか。

恐れを持っているのは、私だけじゃない。

普通と異なる状況に、彼らも戸惑っているのだと安堵したから。

視線を後ろに向けると、悲しみを伝える眼。

刺激される既視感。

「きっと、いつか……どちらかは消える。」

その言葉に、私は椅子から立ち上がって。対峙する。

「その眼が怖い。」

また。

分からない。私の視線。

見ているのは、どっち?

どちらかは消える。

『きっと』

本人も分かっていないのだろうか。

ノゾミ君とワタルくん。

私の選択に、何を望んだのか……

彼らは私に想いを告げる。

「好きだ」と。

彼を見ていた私。

理解できるはず。そう言われ。

既視感。思い出せない一瞬。

私が見たもの。聞いたウワサ。目にした側面。思い描いてきた夢物語の妄想。

それも覆るような状況。

二重人格。どちから消えると言われ。

私に何を求めるのか。

「……嘘じゃない。私も希渉くんが好き。」

嘘じゃない。気持ちは変わらない。

二重人格ときいても。試されるようなことを言われても。

これは現実。私が、ずっと見ていたのは…………


夕暮れ。少しの影。どちらか分からない表情。

見つめる視線。既視感。

私の『眼』が怖いと言われ。

見ていたから理解できる。それは。

きっといつかは消える。どちらか。

見つけた答えは正しいのか、私にはわからない……





END

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