表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【恋愛系集約】VS ~ 代償 ~  作者: 邑 紫貴
悪狐

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/75

矛盾


「それで俺は満足だ。」

そうね、私だってそれでも良い。あなたが私に触れてくれるなら。

だけど、私の恋心を知られてはいけない。

知れば、きっと復讐に利用してくれないだろうから。

「止めて、先生……」

あなたは壊れた関係が拗れて素直になれないだけ。

不器用な人。イタズラを何度も繰り返して、後に気付く時が必ず来る。

自分の行為が何を意味するのか思い知り、抗えない感情に傷つくの。

そんなあなたの不器用さが愛しいのに、私に出来るのは……


突然、ドアの開く音。

固まった私たちを見つめるのは、保健室に入って来たおじ様。

何故、ここに?最近は体調が良かったから、迎えにも来ていなかったのに。まさか。

保月先生は青ざめ、手が緩んだ。

「……柚瑠……くん?」

あ、不味い。私は咄嗟に先生から離れた。

おじ様は足早に近づき、立ち尽くす保月先生に抱き着いた。

「うわぁあ~~ん、僕だよ。覚えてる?君のお父さんだよ!」

茫然としていた保月先生は、私に眼を向けて状況が呑み込めない様子。

助けを求めているのかな?

おじ様は、泣きながら説明を続けた。

「君のお母さんから聞いてない?酷いよ、僕を捨てて逃げるなんて……君とも会わせないとか。教育に良くないとか……ぐすん。」

あぁ、うん。私のお母さんは、こんなおじ様を見捨てられなかったみたいだからね。

私でも逃げたくなるのが分かるよ。

「……俺、母さんが強がって嘘を吐いてるんだと、ずっと……」

そうだろうね。何となく、そうじゃないかと思っていた。

おじ様は恨まれるような人じゃない。

多分、このきっかけを作ったのは大内先生だろうな。

私の淡い恋も終わりを告げる。

真実を知った保月先生は、憎しみなど無意味だと分かったはずだから。

どうやって収集がついたのかも曖昧な時間。

保月先生の感情は、どんな風に処理されるのかな。



……後日。

「お前、知っていたのか?」

書類の確認の為、再び保健室を訪れた私に先生は怒りの表情で詰め寄る。

「知らないけれど、大きな溝があるのかと思っていたわ。だってアレだもの。それに、私は知らないと最初に言ったよね?」

日時の記入された記録ノートを見ながら、私は淡々と答える。

「……ごめん。俺が悪かった。」

素直に謝るんだね、何か可愛い。

私は目を上げて、先生に視線を向けた。

「何が?」

優位な私に言い返せないのか、拗ねたような態度。

そして会話を逸らすような意地悪な声。

「なぁ。お前、俺の事を好きだろ?」

いきなりの図星に、今度は私が口を閉ざす。

「ん?素直になれよ。」

「先生には、仲の良い慶子先輩がいるじゃない。」

私は視線を真っ直ぐ向けたまま、にっこりと笑ってみせる。

「可愛くないなぁ、帆夏ほのか。正直に言えよ、保健室に来なかった理由は嫉妬だろ?」

私の名前を気安く呼んで、優位を奪っていく。汚い大人。

素直になんてなれない。

「穏やかな時間を邪魔しちゃ悪いと思ったわ。誰かさんが、私を通しておじ様に復讐してたから。」

睨んだ私に、保月先生は苦笑を見せる。

穏やかな声。

「悪かったって。それに、嫉妬していたのは俺だよ。」

保月先生の言葉が一瞬、理解できずに首を傾げる。

「先生が嫉妬?おじ様と私の仲に?」

意味が分からず疑問が一杯。

そんな私の頬に手を当て、顔を近づけて唇を重ねた。

今までと違う優しい触れ方。

見開いた目に入るのは。穏やかな笑み。

「弱ったお前は、俺だけに頼ればいい。」

頼る?そうしてきたよね、今まで。

「くそっ……担任の方が身近だとしても、病人なら保健室の俺の方が面倒見れるって事だ。」

担任って、大内先生の事?嘘だ。

「……嫉妬、してくれたの?」

「してない。」

思わず笑みが漏れてしまう。

「大内先生は、きっと他に好きな人がいる。」

「知らねえよ、あいつの事なんか。それより、お前はどうなんだよ。俺の事、好きだろ?」

好きよ。そんなの知っているくせに。

何故、私が憎しみを受けてもここに来たのか。

そう、恨みを抱きながらも私に辛く当たるのを躊躇しているあなたに、私は……

「好きじゃない。好きじゃない、好きじゃない!」

「ちっ。」

もう少しだけ。

「あぁ、そうだ。素直になったら、先輩との事を話してもいいぞ?」

どうして、いつも上からなのかな。

そうね、知りたい。素直になりたい。

「保月先生、好き。憎しみでも良かった。あなたが私に触れてくれるなら。ふふ……今まで私にしたことを後悔すればいいわ。」

「一生、償ってやるよ。」


悪戯な狐は私に優しくなりました。





END

【悪狐】

マザコンの拗らせファザコンやろうっすな。

生徒に手を出す悪い悪戯な狐です。



割と読む人がいるのに戸惑っています←え?

『ベリーズカフェ』では途中の更新追いが皆無。完結したら読者増える感じ。

昔は『野いちご』でも読者がいたけれど雰囲気が違うのか時代なのか(遠い目)

他の恋愛系も掲載してみるかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ