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VS ~ 代償 ~  作者: 邑 紫貴
溺愛の業火

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29/50

類友:松沢くんの恋

『相思:Side松沢』



俺の名前は松沢まつざわ りょう

友達に彼女が出来て悔しいから、からかう毎日を楽しんでいる。

幸せなんだから、こんな俺の八つ当たりくらい流せばいいのに。

清水は恋の進展も考えず、彼女の思いも知らずに贅沢だよ。

ま、そんな所もお気に入りだ。苦労すればいい。俺の知ったことじゃない。

お前が言う様に、俺は自分の恋にも不純だから。

確かに真面目なアイツからは、軽そうに見えるだろうな。

だけど近づいて来る女の子と付き合ったことは無いんだよ、本当は。

遊びに誘われれば数人で行く。そうだよ、断らない。

裏があって相談してくる女の子にも優しくする。

でもね、恋愛感情はお断り。優しく断るんだよ、本当の理由を隠して。

俺に好きな奴が居るなんて、誰にも知られないように。

誘いのない日は、いつも時間を適当に過ごしてから図書室へと向かう。

窓際で本を読む彼女と会うためだ。


図書委員から鍵を預かった彼女が、独りになる頃合いを見計らい。

俺に本命がいると気付く人もいるくらいだから、十分に警戒。

最近、ある図書委員が彼女に想いを寄せていたのに気づいて、ソイツには自分の想いを明かした。

彼の口の堅さが信用出来なければ、俺はどうしていただろうか。


いつもは本を読んでいる彼女が、机に教科書を広げて勉強をしている。

そう言えばテストが近いけれど。準備が早いな。

俺の気配に彼女が手を止めたのは一時。

俺は彼女の前の席に座って見つめる。

「俺はテスト勉強しても答えが合っているのか分からない。点も取れないし、やる気がでねぇ。」

小さな俺の声に、珍しく顔を上げた彼女と目が合った。

「正解すれば、ご褒美をあげましょうか?少しは、やる気が出るかも。」

相手にしてくれたのが嬉しくて。

「じゃぁ、キス。」

ありえないような提案を言ってみる。

当然、答えは。

「それは、別の方とお願いします。」

彼女の視線は逸れて、ノートに文字を綴っていく。

「即答とか、一応は悩んでから答えてよ。」

恥じらいは求めないから。

もう少し、話をしたい。

「うーん、却下ですね。」

棒読みだよ、愛情なんて感じられないな。

彼女の視線は逸れたままだけど、手は止まった。

「じゃぁ、間違えたらキスしようか?」

俺は身を乗り出し、反応を求めてみる。

「ふふ。全力で教えますね。スパルタですよ。」

彼女は俺に視線を向け、笑顔。

「はぁ、お前の考えていることが分かればなぁ。」

思わず本音がポロリ。

「知りたいですか?」

あれ、いつもと違って優しい雰囲気にドキドキする。

「うん。」

期待が膨らんでしまう。

「好き。なんて、言いませんよ。」

ん?少し、彼女の頬が赤らんでいく。

「松沢くんは、私のことをどう思っているんですか?」

俺は動揺を隠せない。

言葉も詰まり気味で、思ってもいない言葉が出た。

「さぁねぇ。」

「私は、そういうところが嫌いです。」

俺は最大のチャンスを逃してしまったのかもしれない。




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