【危険度Max】
【危険度Max】:side和叶
彼の触れる手に反応し、声が漏れる。
「ぁ……っ。」
静かな教室に、自分の声が響くようで恥ずかしい。
駄目だ、これ以上は。
「教室では嫌。」
自分の乱れた息が熱い。
視線を逸らし気味で、一颯くんの顔を手で遮った。
彼の息も荒く、掌には口づけの後、舌が這う。
「和叶、もう少しだけ。痕を付けたいんだけど、噛みついても良い?」
視線を戻すと、私を見下ろす表情は怖いぐらいに真剣。
私は痕を付けたいと言われ、嬉しくて口元がゆるんでしまった。
「美味しくないよ。」
どこに噛みつくつもりなのだろうか。首か肩の辺り?
「甘えてもいいんだよね?」
彼の黒い笑みに、戸惑う私に対する怒りの様なものを感じた。
少しの寒気。
「死なない程度で、お願いします。」
制止を促した私の手を押さえて噛みつき、もう片手が膝の後ろに滑る。
足が持ち上げられ、スカートがずれるのを慌てて押さえた。
噛みつかれた手は痺れるような痛み。
自分の位置からは、下着が見えているのか分からず、ただ一颯くんの行動に頭が混乱してくる。
「駄目、教室では嫌だって言ったじゃない。」
涙目で視界が霞む。
「噛んで、痕を付けるって言っただろ?」
もう手を噛んで、満足したんじゃないの?
歯形は付いたよ、絶対。まだ痛いんだから。
彼は私に流し目で、視線を逸らしていく。
その行動に、目は見開いたまま。
「嫌……」
小さな声が掻き消えるような一瞬。
浮いた私の足に口を付けて、ペロリ。
「美味。」
どう解釈したら、こんな暴走を?
冷めていた熱が急上昇する。彼の熱い息。
手に感じた痛みに加わる甘い感覚。歯が食い込むのに。もどかしいような身悶え。
確かに壊れないとは言ったよ。だけど。
「和叶、ごめん。……ふっ。くすくす……君は俺のだよ、逃がさない。」
あなたの独占するような愛情は甘いから、もう逃げない。
満たされるような幸福感に溺れて……
もっと甘く:side清水
追いかけて、追い詰めて捕らえたと思うのは、いつも一瞬。
君が俺に向ける優しい視線で、満足なはずなのに。
和叶の甘い声に、急かされるような衝動。
「捕まえた。」
教室の窓際で、俺を待っている後ろ姿にそっと近づいて、抱き着いた。
「ふふ。逃げないわ。」
俺の声を理解して、抱きしめる腕に抵抗も無く、もたれかかる和叶。
「嘘だ。知ってる?こうやって抱きしめて、俺は温もりや君の香りだけで満足してしまうんだ。」
どこまで触れて良いのか分からない俺が、場所やタイミングまで計れるはずもない。
自分に言い聞かせ、理性で抑え、暴走するのを繰り返す。未熟な俺。
「知っているわ。だから、私は足りないの。」
そう言いながら俺の腕から離れる。
温もりが逃げていく。香りも遠ざかって、寂しさが増し加わっていく。
君は分かっていない。俺の気持ちなんて。
沈んだ俺の顔を覗き込み、和叶は背伸びして、俺の唇に重ねるだけのキス。
「……ふふ。」
突き落されたような暗闇が一転して、口元が緩む。
「何?」
本当は狙ってしてるのかな?
そんな無邪気な笑顔に、愛しさが増す。
「可愛い。」
俺の言葉で視線を逸らし、恥ずかしそうに頬を染める。
目を合わせたい。君の表情を、少しも逃したくない。
和叶と目線を合わせようと、顎に指を当てて、自分の方に向かせた。
そして上からキスを落とす。
目を閉じるのも惜しいほどの時間。
「ねぇ、もう一回。君からキスして。」
さっき和叶は自分からキスしたのに。
「え、そんな事。恥ずかしいから無理。」
すっかり忘れたかのような表情で嫌がる。
俺が何を言っているのか分からない。そんな風にも見える。
この苛立ちは、俺が悪い訳じゃない。
「和叶は、俺にキスするのが恥ずかしくて無理なんだ。そうか、俺は和叶に無理をさせてたんだ、ごめんね。」
棒読みで表情もない自覚がある。
「……ごめんなさい、無理してない。違うって分かっているくせに。」
目に涙が溢れ、和叶は零れそうになるのを自分で拭う。
痛む胸。すれ違うのは些細な事なのに、それが不安なんだ。それなのに。
「キス、してくれたら許すけど?」
俺の歪んだ愛情。
もっと知ればいい。その身に刻んで、ずっと忘れないようにしてやる。
「わかったから、目を閉じてよ。」
少し不機嫌なようで、拗ねている様な口調。
和叶はキスしようと背伸びして、俺に顔を近づけた。
「嫌だ。見たい、和叶が俺にキスする表情。」
意地悪に笑った自覚がある。
我慢の限界を超えたのか、彼女は睨んで叫ぶ。
「見せるわけないでしょ!」
完全にキスする雰囲気じゃないけど、満足だ。
彼女の手が伸びてきたので、珍しい攻撃なのかと覚悟した。
閉じるんじゃなかったな。顔に触れたのは手だけど、優しい接触。
開いた目には、彼女の柔らかい手のひらが視界を塞いでいた。
軽く重ねた唇。
満ちるような感情に浮き立つ。
塞いだ手を退け、自分から深いキスを繰り返す。
お互いに息は乱れ、抱き寄せて共有する熱。
「ふふ。可愛いね。」
「知らない。」
俺の愛情は、確かに君に届いているんだ。
それは少しずつ俺に返ってきた。
満足し、満ちるのは一瞬で、もっと欲しくて貪欲になる。
「和叶、好きだ。いつか、君の全てが欲しい。」
「……奪って。あなたの部屋なら、いつでも応えるわ。」
君への愛情が、また俺を狂わしていく……溺愛の業火……
END




