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VS ~ 代償 ~  作者: 邑 紫貴
溺愛の業火

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渇望:side和叶

渇望:side和叶



『優しくしない』

そんなことを言われて、嬉しくなるなんて。

あなたの愛情に毒されてしまったとしか、思えない。

一颯くんは手を絡めるように繋いで、私の返事も待たずに引いて行く。

強引なあなたに期待して、浮き立つ様な幸せ。こんな私を知らない。


彼の家までの道程、何を話したのか覚えていない。

だけど、普通に会話していたような気がする。

彼の家に入り、静けさに戸惑う自分がいた。

誰もいない二人きり。

少し歩調が乱れた私を敏感に察知したのか、一颯くんは確認するような視線で微笑む。

「優しくしないで。」

私は視線を逸らし、小さな声で呟く。

「うん、おいで。」

手を引く力は強引な様で、優しく熱を伝えてくる。

望んでしまう。足りなかった空白を埋めたくて。貪欲で淫らな自分。

整然とした部屋の中。私は彼のベッドに腰掛けた。

その前に彼は立ち、ゆっくり屈んでキスを落とす。

もどかしさに焦り、急かすような衝動。

胸元のリボンを解き、残った結び目に指をかけて下ろす。

彼の視線を受け、体に生じる熱。

ボタンを上から順に外して、3つ目。

彼は私の手を制止するように、両手で押さえた。

恥ずかしさと動揺に、頭は混乱してくる。

「和叶、やっぱり止めよう。こんな事、ダメだよ。良くない。」

凍りつくような寒気。急に冷静になる。

また突き落された。

恋に落ち、自分の欲望に堕ちていく。穢れた思い。

「優しくしないって言ったじゃない。酷い。私だけが惨めになる。」

彼を見る事が出来なくて、表情も態度も読み取れず。

「ごめん、違うんだ!」

彼の意外な大声で、状況を把握できるほど心は癒されていく。

彼が私に被さり、ベッドに押し倒されてしまった。

圧し掛かる重み。伝わるのは息遣いと、私以上の熱。

「俺は我慢できない、制御できる自信がないんだ。『あんな事』をした時の俺は、許してくれた君に優越感を抱いて、罪悪感を心の奥底に眠らせた。そんな燻る恐怖が、常に俺を悩ませている。君が思うような……優しさじゃない。」

彼は私を見下ろして苦笑。

弱さを見せるのは、計算じゃなかったのかな。

手を伸ばして彼の頬に手を当てると、すり寄せる様に甘える。

愛しさに、自分の気持ちを押し殺していたのは私だけじゃなかった。

足りないのは言葉。

今更。違う、これからも必要な事。

彼の考えを知り、私の想いを告げるべきだ。

「少しの事じゃ壊れないわ。触れて。優しくしないで。」

あなたの願う事を受け入れたい。

「あなたに甘えるから、あなたも私に甘えて。」

頬に当てた手を移動させ、彼の唇に指で触れて誘う。

上から受けるキスは何度か重なり、深くなっていく。

口の端に柔らかな刺激。

私と目が合い、一颯くんは鋭い視線で顔を上げた。

彼は自分の唇を、舌を出して舐めとる仕草。

寒気とは違うゾクリとするような感覚。

自分の唇に受けた刺激は、彼の唇ではなく舌。

新たな刺激を求めた私は、また彼に手を伸ばす。

乱れて肌蹴る服を脱ぎ、淫らに火照る身体。

優しく触れる彼の手に、過剰な反応と甘い声が出てしまう。

抑えが利かないのは私も同じ。

「どこまで許してくれる?」

優しくしないって言ったのに。

でも。私にも生じる幸せ以上の不安。

「分からない。だけど足りないの。まだ。もっと愛情が欲しい。」




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