表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VS ~ 代償 ~  作者: 邑 紫貴
VS ~ 代償 ~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/50

変化


高校になっても、身近にいる涼。

相変わらず、テストでは負け続けている日々。

「ふ、こうでなくちゃ♪」

テスト結果を眺める私に、サユが後ろから抱き着いて嬉しそうに笑う。

「良いカップルじゃん。成績優秀1位の旦那。2位の彼女。くすすっ」

嫌味か!

点差は、縮まるものの追い抜いたことが無い。

無視して、ため息を吐く私。

「いつも変わらない順位。仲良しの2人に、嫉妬は少なく憧れる存在か~。もう、付き合っちゃえば?」

耳元で、ヒソヒソ面白がっているサユ。

「てか、サユ。何気に、上位にいるよね?」

「くすす。2人が、どうなるのか見たくて高校も無理したんだよ?ね、私たち同類だよね♪」

そこは、どうなんだろう?

勉強すれば、良い位置を保てるのは事実。

きっかけが無いと、良い成績ではなかっただろう。

ふむ、ライバルや目的って良いもんだね。

他の事を考えていた私は、周りなんか見ていなかった。

「私たちは、どうにもならないよ。私が嫌いなのを、サユも知っているでしょう?」

「あ……」

え?

サユの言葉に詰まったのが珍しくて、振り返る。

そこには涼。

聞かれた!

口を押え、混乱と動揺に自分が見えなくなる。

そこにいるのが我慢できなくて、サユを押し退けて走る。

『嫌われる』

頭に浮かんだのは、これだった。

自分は、彼を嫌っていたくせに。彼の好意や、近くにいることを本当は!

自覚した想いと、心に巣食った何かの葛藤。

頭の中がグルグルなる!

どうしよう聞かれた。私が嫌いだと、知られた。

怖い。彼が、私をどう見るのか。

『どうする?』

私は中学で振ったとき、彼に選択権を与えた。

一緒にいたいなら、あなたの意思に任せると。

無意識で、その時から私の中に特別な感情があったんだ。

違う。否定してみようか。この想いを。

涼を好き?そうかもしれない。

でも、嫌いだと知られたし。私の振り回した行為に、彼も嫌気がしたに違いない。

今なら、まだ繕える。気持ちを切り替えられる。

きっと次の恋をすれば。

不器用な自分。


区切りをつけたい。どうせなら、彼に一度でも勝ちたい。

これが、すべての間違いだと気付いているのに。

同じ事を繰り返すの。

そして戻れない。

あなたへの想いと、触れたところから侵食するあなたの熱が狂わしていくの。

私の培ってきたものを覆す。

偽物の優しさも。巣食った何かも、変化を遂げて私の知らない何かに……



放課後。涼を待ち伏せた。

私の姿に立ち止まり、微笑もなく無言で私の様子を見ている。

心音が、自分でも分かるぐらいに、ありえないほど響く。

口を開いて、声を絞り出した。

「涼、次のテストで勝負して欲しいの。次、私が勝ったらもう近づかないで。」

その言葉を、覚悟していたかのように涼はうなずいた。

「いいよ。」

ホッとして笑みがこぼれた私に。

涼の表情は、悲しい笑顔に変わった。

【ズキッ】心が痛む。

謝っても許してくれないかもしれない。

でも言葉を出そうとした私に、涼は髪をかき上げ視線を逸らす。

「俺の気持ちを知って、そんなことが言えるんだよね?」

【ズキン】響くような痛み。

私も涼を見ることが出来ず、視線を落とす。

「勝負だよね?そっか。じゃぁ、俺が勝ったら。5分だけ。君に触れても良い?」

涼の言葉が信じられなくて、顔を上げる。

「それは!!」

涼も私に視線を戻し、見たことのない冷たい笑顔。

言葉を失う。

駄目だ。勝つつもりで、いつも負けている私。それに、触れられたら?

「何?俺に、勝つ気でしょ?敗者には、それだけの代償が伴う。勝負を止める?俺は、どっちでもいいよ。」

表情だけじゃなく、言葉も冷たいように感じる。

彼の心は、私への想いが無くなって復讐をしたいのかもしれない。当然だよね。

「涼……私が勝ったら、本当に近づかない?」

「誓うよ。真歩に嫌われているなんて、俺――」

消えるような声で、聞き取れなかった。

聞き返すことも出来なかった。怖くて。

彼に勝てば、何かが違うような気がする。変われるんだと。

逃げたい。今までに味わった、涼への苦しみとは違う痛み。

理解できない感情に、身体が反応する。

私の意思と反して……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ