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敵意むき出しのトレーニング

 嫌悪感は不快なものだったけど、ある意味良かったのかもしれない。


 彼らがあたしに向ける敵意は容赦のないものだったため、ともに向き合い腕試しをするには十分だった。


 ルイが席を外してからずっとあたしは彼らと対峙していた。


「……な、なんだんだこいつ」


 本気で向かってきてくれるなんて、好都合だ。


 あたしもむしゃくしゃしていたのか、彼らと手合せができてずいぶんすっきりした。


 次から次へとかかってくるため、かつて行った野生の動物相手に永遠と戦い続けた幼き日の修行を思い出してしまったほどだった。


 彼らもあたしもだんだん息が上がってきて、あとは我慢大会に思えた。


 それでも昨日のように心が疲れてしまうよりはずっといい。


「あたしはどちらかというより、近距離戦のりも長距離戦や武器で戦うことを教えてほしいんだよ。地に足がついている状態なら敵無しなんだよ。ほら……」


 口を開け、小さく音を発する。


「うわっ!」


「なんだ、これ……」


「足が動かない……」


 むさ苦しい男たちはそれぞれ声を上げる。


「こうやって自由を奪うことができる。だからこうやって地を操ることができる術師に出会った場合は、できるだけ地に足をつかない戦闘方法をおすすめしたい」


 バレてしまったところで今のあたしには弱点でもなんでもないため、同じ音を保ったまま忠告を加える……も、彼らは聞く耳を持たないようで、そのまま口を閉じると地面に崩れ落ちる。


「ああ、言ってるそばから……」


「てっ、てめー!」


「脳みそまで筋肉でできているわけじゃないだろうね。ただやみくもに突っ走ったらいいってわけじゃないよ」


「なっ!」


「……エクテス、煽るな」


 振り返るといつの間にかルイがいて、腰元に手を当て、ははっと声を上げて笑った。


「ずいぶんいい顔になったな」


 ルイがしゃがみ込み、むさ苦しい男たちに声をかける。


「おまえたちの苦情はしっかりわたしが受けとめるから、もう少し我慢してほしい」


「で、殿下……お見苦しいところを……」


「申し訳ございません……」


 苦情やら我慢やら失礼極まりないが、自分自身が空気を読めるタイプでないこともわきまえているため、黙ってその様子を眺める。


 魔王討伐を目論む王子の部下たちが確かにこうしてひとりの人間相手に心乱され、左右されるのでは心もとないのだろう。


 しかし、彼らも武器は使用していない。


 武器を必要として向かい合った場合、地に足をついていてくれたらなんとかなるものの、あたしは完全に不利になる。


 武器も扱えず、力もない。


 そんな人間をどこに必要とするのだろうか。


 この男は、なぜあたしをここへ呼び寄せたのか、部下に向かって苦笑を浮かべ、言葉をかける第二王子の背中を眺め、やはり疑問はぬぐえず、ぼんやり思ったのだった。

 




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