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さくら色の炎

私は生き延びた。


月の加護を持つ、マユミ。

そして、太陽の加護を持つアイ。

私は、縁もゆかりも無いこの二人の人間に助けられたのだ。


長兄はアイによって退けられ、マユミの結界術によって私に近付く事すら出来ないらしい。


あの死闘からふた月。傷はマユミの施術によって全て塞がり、歩く事さえも出来るほどに回復した。


マユミは母様とよく似ていた。

勿論容姿は全く違うのだが、ふとした瞬間に見せる仕草や、言葉選び、たまに見せる慈愛に満ちた微笑み。まして纏う匂いさえも、リンが母と間違える程に同じであった。


リンは、母が生まれ変わって自分を助けてくれたかとも思ったが、その事は決して口には出さなかった。

何故か言葉にしてはいけない気がした。


「りん、薬の時間だよ。少し休みなさい。」


マユミが、外でリハビリをしているリンを呼ぶ声がする。

泥の様な薬を湯呑み半分と、口直しのヨモギ団子が用意されていた。


「うん。マユミさん、ありがとう。」


「このところ、随分回復したね。でも、まだ無理しては駄目だよ?」


「そうよ?隊長は怒ると恐いんだから!こんな顔で追いかけて来るわよ!」


横からアイが変顔をしながら茶化してくる。


「……」


「ほらね!」


「あ、あいさん…」


「アイは少し運動が必要かしら?」


「へ?じょ…冗談ですって…隊長?…ギャー!!」


マユミは懐から紙を取り出すとフッと息を吹きかけてアイに飛ばす。するとそれは大きな鬼となってアイに襲いかかった。マユミの式神である。


「フフフッ、リンはそれを飲んだら少し休みなさい。」


「う、うん…わかったわ。」


「隊長、ごめんなさい!!助けてー!!」


ドゴンッ!ドゴンッ!と割と本気で手にした棘付きの棍棒を振り下ろす鬼に、アイはひたすら逃げ回っていた。


「もう少し動ける様になれば、私が稽古を付けよう。それ迄は昨日教えた折り紙を練習しなさい。」


マユミは側に置いてあった折り鶴を摘み上げると、フワリと空に放った。

途端にそれは美しい鶴に変わり、空高く舞い上がる。


「うわ〜!綺麗な鳥さんだわ!!」


「丹頂鶴と言うんだ。私の国ではとても縁起が良いとされているのよ。」


マユミは優しく微笑みをこぼす。リンはその笑顔がとても好きであった。

 

マユミが母と同じ笑顔を見せる時…決まって黒い瞳の奥に現れるさくら色の炎…リンは奥底の悲しみが溶かされて行くのを感じていた。


思わずマユミに抱きつくリンを、優しく受け止めるマユミであった。




「隊長〜〜!!もう許して〜〜!!」



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