表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

敗走

「ガーーッ!!」


ザシュ!ザシュ!ザシュ!


「っう!…くっ!」


断続的なリンと黒鉄の人狼達の戦いは、二夜にも及んでいた。


空には赤く細い月が昇り、月明かりに照らされた世界を赤く染めている。


赤い月…新月から始まる狂気の渦は、夜毎にその(わさわい)を強めている。それが元凶であるのか、啓示であるのかは定かではないが、月明かりが強くなるごとに黒鉄の人狼は力を増していた。


そして、届かなかった黒鉄の人狼達の攻撃も、次第にリンを傷つけ始める。


三夜目…。

遂に残るはリンと長兄のみとなった。


苛烈な斬撃をリンは巧みに受け流すも、流した血が多過ぎたのだ。霞む両目に流れ込む自らの血もリンの視界を奪って、更に(からだ)(えぐ)られる。


リンは辛うじて動く両足で、ススキの生茂(おいしげ)る平原を走る。


しかし、既に両手の(けん)を切られ、體の至る所の神経を切断されたリンに、勝機は訪れなかった。


足を斬られたリンは、走る勢いそのままに地面を転がった。


「…ここまでか……母様…」


もう立ち上がる事すら出来ず、リンは覚悟を決める。


母様…あぁ…母様の匂い…。


「…母様?」


「助ける。喋るな。」


酷く冷たく響いたその言葉とは裏腹に、赤子の様に優しく抱き上げられると私は意識を手離した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ