真夜中の激戦②
「解放、【炎球乱舞】!【岩の大砲】!」
オーガを挑発した後、俺は距離を取って魔法を放つ。
空中には無数の火球が、大地からは岩の弾丸が飛翔しオーガを襲う。
だがオーガはその堅牢な肉体を持ってすべてを弾く。
バカ脳筋がよぉ!魔法が効かねぇのか!?
「まあいい!今のは牽制だ、近接で相手してやるよ」
剣と盾を再び構え、超接近戦の準備をする。
ああ、ビリビリする!相手の殺気に肌が突き刺さるような、痛みを与えるこの感覚!
このひりつきが好きで俺は武術部に入ったんだ!
武術部に入ってからもコーチの指導はイカれてたけどな。
よく体罰で捕まらなかったよ。
「ガァァァァ!!!」
オーガが大地を割るほどの力を込めて俺に突進する。
爆速の突進を大きく右に飛んで回避。
振り向きざまに剣を振るうが、スカってしまう。
「クソが。ここでミスるのはヤバいな。」
思ったより知能がいいぞ、オーガくん。
さっきはスカったと思ったが突進を避けたらギリギリで反撃が当たらない場所に俺を誘導しやがった。
ようやく本気ってわけかい。
涼のために時間を稼いでるが、それも後何分もつかだな
「ウェポンスキル、『魔狼の猛り』。解放、【身体活性】」
魔狼の剣の武器スキル、そしてマジックカードによってバフを掛ける。
我ながら素晴らしい。スキルのクールタイムまで視野に入れているとは。
仕切り直し、と言わんばかりに俺は剣を構えた。
「いざ尋常に」
全ての神経を足に集中させて、一気に踏み込む。
再び戦の始まる合図となったその轟音を、オーガは真っ向から迎え撃つ。
大きく息を吸い込み、絶叫。
「グォオオオオオオオオオ!!」
空気を揺るがすほどの絶叫は、数瞬だけ俺の足を止めた。
マズい。そう思う間もなく、オーガの拳が俺の胴体に衝突。
ミシミシと骨が砕ける音ともに、俺の体は馬鹿みたいな速度で宙を舞う。
「ゲホッ……。痛ってぇ……何本かイッたなこれ。」
吹き出る滝汗とマグマのように熱く、込み上げてくる激痛を気合で抑え、いかにも余裕そうに呟く。
そして取り出したのは二枚の『マジックカード』。
気付かれないように、無口頭で発動する。
殴られた傷跡が淡く輝き、折れた骨が修復されていく。
また痛みによって鈍った思考を魔法が落ち着かせる。
「時間は稼いだぞ、涼」
吹っ飛びすぎたのは想定外だったが、オーガを射程距離内に行きずり込めた。
完璧な作戦、完璧な連携。俺達のすべてを出し切る。
オーガは俺に密着していてすぐには涼にたどり着けない。
後衛職なのにここまで健闘した俺という危険因子を逃さないために、オーガは必ず俺を攻撃する。
オーガはその巨体ゆえに俺の体を覆い隠していて、涼のスキルの対象外に俺はなっていた。
「まだ行けるって思ってただろ?チェックメイトだ」
オーガが振り向いたその時、彼の心臓を光の矢が貫く。
光の矢がやがて収束し、起爆。
オーガは心臓よりも上をすべて失い、地面に崩れ落ちた。
一日目、攻略完了だ。




