夜闇の中の赤
投稿遅れたかもしれないです、
是非楽しんでください
土の匂い、生ゴミの生臭い匂い、ジメジメとした空気、まるで、湖と犯罪の街、ブールゾンのような………
気付けば薄暗い空間に居た、薄暗いと言ったがロウソクが1本、小さなランタンの中にあるだけで壁すら見えていないのが事実だ
ランタンを手に持ち、辺りの安全確認をしようと立ち上がった途端
バチッ
電気のボタンを勢いよく押したかのような音が部屋に鳴り響いた、そしてそれとほぼ同時に天井から白い光、この世界では名前は違うだろうが私が元々いた世界ではこれは蛍光灯と呼ばれていた
そして今のところこの世界で蛍光灯を見たことがない、故に私をここまで運んだ者は元は私と同じ所から来たという事になる、
「ようこそ、異世界生まれのお嬢さん?」
背筋をヒンヤリとした何かが撫でた様な気がした、声は女性としか思えないのだが、その声の中に殺意、不安、焦燥、喜びが混じった声、確かなのはその声の中に大き過ぎる愛が練り込まれていることだろう、
あんたは誰?
そう言おうとしたが掠れた嗚咽のようなものが喉から出るだけでまともな言葉は出てこなかった
「ご安心くださいな、気絶させる為に使った毒に効果が残ってるだけですよ、少しすればきっと体の麻痺も消えますわ」
まるで私の心を読んだようにそう言う、だがそんなことを言われても姿すら見せられていないのだから信頼の欠片もない
そう思っていると突如白い無機質な壁の一部が背筋がゾッとするくらいに無音で上にスライドした。
そこから現れたのは赤髪の私より身長も年齢も下かもしれない少女だった
「これで信頼に値するかしら?」
そう言って赤紫色のワンピースのスカート部分をそっと上げてお辞儀して見せた、まるで貴族の子のようだ、しばしの沈黙、その間私達は互いを警戒(もしかしたら一方的に警戒していただけかもしれない)しながら見つめ合っていた
「あら、まだ私のことが信用ならないの?」
名前も名乗っていないのだから当然だろう、
名を名乗れ とそう言おうとしたその時、
「下民は皆名前を名乗らねば信頼しない、異世界の者なら違うかもと思ったがやはり変わらないか、所詮は人間と言ったところだな」
思わず息を呑んでしまった、
さっきまでの声も充分恐ろしかったが今の声は更に恐ろしい、殺意以外なにもない声、この人には抗ってはいけない、そう本能的に感じてしまうほどの殺気だ
抗わない方が身の為とは分かってるが今は先を急ぎたい、どちらかと言うとどこか日本を思い出させるここに居たくないからかもしれない、
日本を彷彿とさせるのは蛍光灯だけだが、それでも私は前世の記憶を思い出したくない、理由は正直分からない、ただ早くここを出たい
ふと背負っていたはずのケースを思い出す、
あれも取り返さないと逃げてもどうにもならないし…
そう考えているとまた心を読んだかのように
「逃がさないわよ」
最初と同じ声に戻った、たがやはりその声音でも恐ろしかった、
今すぐ逃げよう。
目の前の少女の方に向かって走りながら指で銃の形を作り
唱える
「スナイパーモード!」
媒介がなくても自身の魔力を凝縮させれば気絶させれるくらいの威力は出る筈だ、
「穿て、魔力の弾丸!」
ちょっとした詠唱、そして続く言葉
「バースト!」
すると指先からピュンと細い音を立てて白い小ビームが放たれた
そのビームの狙いはロックオンしていないにも関わらず1mmも違わずに少女の額に命中した
目を丸くして驚いた様子だったがすぐに意識を失い倒れた
そのまま少女の懐を漁る、多分どこかに機械を操る為のボタンの1つや2つある筈…
彼女の服は物を隠し持つ為か入り組んでいたせいで何度か破いてしまったがなんとかいくつかの隠し扉を動かすためのボタンを見つけた、
全てのボタンをポチポチと弄るのは不味い気がするので直感で1つボタンを選んでポチッとな
いちいち悩むとなんも出来ないので即決、
即決だったのが功を奏したのか乗っていたエレベーターがヴィィィンとまさしく機械のような音を立てて上に上がる
長そうだから少女が目覚めないように追撃を…
と近付いた時、少女の額から黒いモヤが出てくる
「まさかこの少女ではなく我を狙ってくるとはな、貴様、何者だ?」
何を言っているのだろう
「えぇと…なんのこと?」
そう返すと一瞬驚いたようにモヤが揺れたが、すぐに揺れが収まると今度は殺意
「貴様、適正があるようだな」
嫌な予感
「バースト!」
全力で魔力を放つ、なんだか目が少し熱い、
魔力を込めると目が熱くなる呪いかなんかだろうか、
「そんな物が我にグギャァァァ!!」
「あら、残念ね、それがあなたの最後の言葉よ」
いい感じにかっこよかったのではないだろうか、そう思っているとエレベーターが突然止まった、その衝撃で一瞬体が浮いたような気がする
ほんの数秒待っているとゆっくりと扉が開いた、
扉の先は白い部屋…ではなくどこかの森林。
扉の脇に私が肌身離さず持ち運んでいた漆黒のケースも落ちていた、それを前側に肩に掛けて悩む。
流石にここにこの少女を置いていくのは気が引ける、そういえばあのモヤを消してから人間らしい肌色になっている、ような気がする
目覚めたらロリコン呼ばわりされそうだが連れていこう、
寝顔も可愛いロリっ子をおぶって歩く
道がない、適当に歩いてたら道あると思ってた私が馬鹿だったらしい、目覚める前に村とかの宿に着かないと鼻で笑われてしまうかもしれない。
そんなことがあれば私のメンタルはボロボロに…
*
「うぅ…ここは…」
体を起こしてゆっくりと目を開ける
目の前には赤い髪にコバルトブルーの目、
「おはよ!おねーちゃん!」
私が起きたのに気付いてすぐニコッと可愛らしい笑顔を見せる、
「おはよ、ティア」
あの後、狩りに出ていた屈強な狩人に出会って無事に村の宿に泊めて貰えた
そしてこの子の名前もやっとわかった、
やはりすごく可愛い名前だったのだが何故かティアはこの名前をどこか嫌がっているような気がする、
「おねーちゃん、ご飯食べよ!」
それとティアが私をおねーちゃんと呼んでいる理由は分からない、別に私がそう呼べと言った訳では無い、そう呼んで欲しいなぁとは思ったが
「食べよっか」
ベッドから降りると同時にカンカンカンカンと警鐘が鳴る、慌てて窓から外を見ると、村の門にゴブリンにしてはやや大き過ぎなゴブリンっぽいやつが接近してきていた
「おねーちゃん、戦いにいこー!」
「え?」
冗談だと信じたいが、無邪気な笑顔のティアはスタタタと窓に近付いてやや力ずくで窓を開けて外に飛び降りた、
「おねーちゃん早くして!」
「わ、分かった…」
ティアの勇敢さ、もしくは愚かさだろうか__
少々驚かされながらも黒いケースを背負って着いていく、ゴブリンの数はざっと見ても大きめの村1つ分くらいの数はいる気がする、
面倒事に巻き込まれたなぁと思いながらも
「スナイパーモード」
そしてティアも
「しゃどー!」
突如木々がざわめく、陽に照らされていた村や兵士達を含む辺り一帯の全ての物がが夜闇に包まれて___
最後まで読んで頂きありがとうございます(テンプレ)
次はオロサインスにメモリーと考えるとだいぶきついなぁと思いながら今月中にメモリーの3話くらいまでは行きたいなと思っております、
とまぁここまでにしておいて終わりにしましょう、
今後とも僕とれんもをお願いします!