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第6話

 帰宅してすぐに近くのコンビニで買ってきたカップ麺と豚汁を腹に収めることで食欲を満たし、風呂にも入って体もリフレッシュした。

 いやー、こっちの世界にも俺の大好きなメーカーのカップ麺と豚汁があって良かったわ。街を見た感じとかネットで集めた情報を総合してもこっちの世界と転生前の世界の違いはほとんどなかったし、頑張らなくてもある程度は過ごしていけるのかもしれんね。


 んでんでんで。一息つけたところで如月先輩のライムIDを登録してメッセージを送ろうと思うわけですよ。いやー、緊張するね。あんなかわいい先輩とやり取りするとか、もう最高かよ。


「えーっと、『クレープ屋ではお世話になりました。秋月です。よろしくお願いいたします』で良いか。長すぎてもあれだし、まずは相手の出方を見よう。送信っと」


 数秒後。


『明日の放課後、添付している住所のスタボに来て。以上』


 この返信速度と端的な文章よ! もうちょっと甘いキャッチボールが出来るかと思ってたけど、出会いがあまり良くなかったし、最近の若い子はこれがデフォかもしれんし、そもそも高望みはしすぎたらダメだよな。


 ほんのちょっとだけ落胆したが、いい感じの逃げ道を作ってあげることで心のバランスが取れた。よし、寝よう!






 次の日。

 この日からさっそく授業が始まり、懐かしい単語や数式を目にして感傷に浸りながらもあっという間に放課後を迎える。今日は『訓練』がなかったから全然耐えですね。明日から始まっちゃうからちょっと憂鬱ではあるが。

 


 で、放課後。指定されたスターボックスに向かい、店内で待つこと数分。如月先輩が現れ俺の向かい側に座る。いやー、やっぱり綺麗な人やなぁ。身長とか気にしてたけど、俺個人としてはそんなん全部吹っ飛ばすレベルの容姿を持ってると思うんやけどなぁ。

 

「……?」


 如月先輩が首を傾けながら何? みたいな顔を向けてくる。昨日の今日でまたジロジロ見すぎたな。まじで注意しておこう。

 

「あ、そうだわ。秋月君、あなた何か注文とかしたの?」

「いえ、先輩が着いてから頼もうかなと思っていたのでしてないですね」

「そう。なら、注文しましょ。今日は私が呼んだのもあるから、奢らせてもらうわ。好きなものを選んで頂戴」

「ありがとうございます。では、抹茶フラペチーノを1つ頂きたいです」

「じゃあ私はストロベリーフラペチーノと適当にデザートを頼もうかしら」


 そう言って如月先輩は店員さんに注文。しばらくして注文したものが運ばれてきた。


「ではいただきます。如月先輩、ゴチになります」

「ええ。気にしないでいいわ」


 如月先輩に感謝して口をつける。ふむふむ。相変わらずカロリーが具現化したような甘さだけど、味は抜群やね。うまい! やっぱ抹茶なんだよなぁ。

 如月先輩も美味しそうにパクパク、ごくごくとデザートと飲み物を消費していく。いやー、相変わらず食いっぷりが凄いし美味しそうに食べる人だなぁ。

 そんな感じでちょこちょこ談笑を交えながらスタボの商品を堪能した後。如月先輩が本題? を切り出してきた。


「そういえば、言いたくなければ言わなくて良いのだけど、秋月くんはどういう能力を持っているのかしら?」

「あー、能力ですか……。僕はそういう能力を持っていないんですよね」

「そう。だからなんか弱そうだったのね」


 如月先輩は胸ポケットから小さいメモ帳を取り出し、メモを書いていく。どうやら、俺の回答をメモっているらしい。弱そうは口に出さなくて良かったとは思うんだが……事実だからまあオッケーか!


「私達の学校は1年生の5月くらいから実地に赴いて敵と戦ったりして実戦を積み始めるの。まあ、そんな重たい任務は最初は課されないけど。ただ、敵、それも大抵は能力持ちと戦うわけになるわけ。能力なしじゃ正直厳しいと思うわ。そのあたり、どう考えているわけなのかしら?」


 やっぱり、能力無しじゃ厳しいのか……。ネットで調べた感じでも、能力があるかなしかで戦闘能力が大人と子どもレベルで違うらしいし、能力持ちの敵と交戦するとかなったら今の俺だと瞬殺されるんだろうな……。


「死にたくは……ないですね。昨日、先生から後天的に能力を付与することが出来るとは聞いたので、それに望みをかけようかなと考えています。どうすれば能力をもらえるのか分からないんですけども……」

「なるほどね。……うん、これはラッキーだわ。今日はツイてるっ♪」


 ラッキーとツイてるの意味がわからなかったが、先輩が一心不乱にメモり始めたので聞けず。代わりに「そうなると秋月くんを私の……にして……それで……こうして……こうが一番良さそうね……」と独り言は聞こえてくる。一体、何を書いてるんだろう……

 こいつを消す方法、とか書かれていなければいいなと思いながら待っていると、如月先輩は書いていたメモ帳を片付け、しばらく謎の逡巡をした後、意を決したように俺の目を見据えてこう提案してきた。


「色々考えたんだけど……あなた、私の奴隷になるのが良いわ!」


 如月先輩、たまに古のツンデレみたいなセリフを吐きますね……


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