表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/8

第4話

 とんでもない事実が発覚したことにより神様にチェンジをお願いしたが、そんなことがまかり通るはずもなく、無慈悲に全校集会の時間がやってきた。

 一時は慌てまくった俺だが、今は落ち着きを取り戻し、俺は集会場である体育館に向かう途中で反省をしていた。

 想定外の世界観ではあったが、これは俺が神様にどういう世界観のエロゲに転生するのか事前に聞かなかったのも悪かったのではないかと思ったのである。まあ、バトル系のエロゲとか沢山あるし、いくつもやってきたし、楽しみっちゃ楽しみであるのだ。懸念事項があるとすれば、俺は特殊能力とかそういうものが全くないただの一般人であることかな。寿命以外で死んだら転生直後に戻ってくるっていうのは能力扱いされてないっぽいし。後天的に能力を付与できるとか言われたけど……先生のあの言い方のせいで若干の恐怖を感じているし……。


 そんなことを考えていると体育館に着いたらしく、先生から静かに待機するように、と言われて地面に座らせられた。


「秋月、お前なかなかチャレンジャーなやつだったんだな。俺はお前に惚れたぜ」


 間髪おかずに先生の言葉をガン無視して話しかけてきたのは、エロゲでいうところの親友ポジなのではないかと俺が勝手に思っている宮崎聡太みやざきそうたである。お前……先生に目をつけられても知らんぞ? まあ、俺も喋るけども。小声だし大丈夫やろ。


「ちょっとした手違いがあったらしい。俺は至って普通の男子高校生だ」

「まあ、ごくたまに能力がない人が何も知らずにこの高校に入学してくる場合もあるらしいし、ダイジョブダイジョブ」

「大丈夫じゃないんだよなぁ」


  宮崎の言葉に再びげっそりした気分になり始めた頃、ある女子生徒が壇上に登壇し、マイクの前で話し始めた。


「皆さん、おはようございます。これから全校集会を始めたいと思います」


 柔らかく、聞いているだけで癒やされるような声が体育館に響き渡る。典型的な大和撫子のような見た目で、あの人に上目遣いでお願いなんかされたら何でも聞いてしまいそうだ。

 

「私はこの高校の生徒会長を務めさせていただいている三年、鈴野響すずのひびきです。特に一年生の方、これからよろしくお願いいたします」


 どこかのお嬢様か? と思うほどきれいなお辞儀をして、顔を上げた後ににっこりスマイル。そんな天使のような微笑みを見て、体育館に集まっている全学年の男子高生から雄叫びのような声が上がり、教師陣からは「静かにしろ!」という怒号が飛んでくる。

 彼女は神様がこの世界のヒロインとして教えてくれた人のうちの一人である。

 てかちょっと待って。写真よりも数十倍美人じゃん。高嶺の花ってレベルじゃねえぞ。あんなべっぴんさん、お近づきになるだけでも奇跡レベルなんじゃね?



 美人だなぁ。周りからの人気もめちゃくちゃ高そうだなぁ。みたいなことを考えながら、鈴野生徒会長の話を聞く。要約すると、一年生は中学校から上がってきたばかりだから、困ったことがあったら私でも周りの先輩でもいいから遠慮せずに頼ってね? 部活とか訓練とか任務(どうやら5月くらいから早速危険度が低いところではあるが実地に赴かされて実戦を積まさせるらしい)とか忙しいけど頑張ってね! とかそういうことであった。任務とかエグい単語が出てきたが、生徒会長の美声のお陰で終始落ち着いて話を聞くことができた。むしろ、美声のせいで聞いた話を1時間後には全て忘れてそうでもある。全部「声綺麗だなぁ」に変換されて。


 生徒会長の話の後は校長先生が短く「頑張れ」と言って挨拶終了。校長先生の話は長いという概念をぶち壊されて本日の全校集会は終了した。今日は授業もないらしく、めでたく解散である。

 だがしかし! ここで宮崎が「今から親睦も兼ねてどこかに寄り道していかないか?」と誘ってくれたため、他のクラスメイトと共に近くのクレープ屋さんでクレープを食べることとなった。



 みんなとワイワイガヤガヤと話しながら校門を出ること1分。こじんまりとしたクレープ屋さんに到着である。

 俺が通っていた大学にもこういうクレープ屋さんあったのを思い出したわ。たまにしか行かなかったけど、結構安いし美味しいで行列ができてたなぁ。ただ、閉まる時間がめちゃくちゃ早かったけど。


 メニューが店の前に立て掛けられていたので、どれにしようかな~と思いながら見てみる。

 ふむふむ……イチゴにチョコ、キャラメル……この中だったらイチゴミルクティかな。

 他の子達も決まったらしいので、順番に注文をして出来上がるのを待つ。

 待っている間に、宮崎やその他のクラスメイトと明日から早速始まる授業について話をしていたのだが、ふとある女子生徒が目に入ってきた。


「もぐもぐもぐもぐ」


 その人はちょっとしたことで地面に落とすのではないか? というくらい大量のクレープを両手で持っており、かつものすごい速さで食べていた。


「もぐもぐもぐもぐ」


 ……いや、凄いな。絵面も凄いが、あんなに爆速で原の中にクレープを収められるのも凄いわ。俺だったら一瞬で誤嚥してる。


「もぐもぐもぐもぐ……ん。ごちそうさま。すごく美味しかったわ」


 あれだけ大量にあったクレープを一瞬で食べ終えた彼女は、口の周りをハンカチで拭き拭きし、店員さんに味の感想を述べ、なぜか俺の方に近づいてきた。

 ……え?


「ねえあんた。さっきから何私のことジロジロ見てるの? 私の身長が小さいからけんか売ってきてるわけ? それともあんたも私のむ……胸が小さいって言うわけ!? 誰がロリよ! 私はれっきとしたレディだし高校2年生なのよ!」


 俺が凝視してたのが一番悪いけど、あなたもあなたで初対面の人相手にどえらいこと言ってくるのね!? 被害妄想がひどすぎるよ落ち着いて!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ