マミ
「ちょっと待った!」
突然、誰かが呼び止めた。
「誰!?」
オーキャラは驚いて振り返った。そこには、赤い髪の少女が立っていた。
「私の名前はマミ。あなた達を助けに来たわよ」
少女は自信満々に言い放った。
「助けに来ただって!?」
ボールは驚いた。
「そうよ。私が来たからには安心してちょうだい」
「ありがとう。心強いよ」
ボールは礼を言った。
「お安い御用よ。それで、どこに行くつもりなの?」
「実は、この先の村に用があるんだ」
「そうだったの。それなら、私が案内するわ」
「本当かい?」
「もちろんよ。任せておきなさい」
「よろしく頼むよ」
ボールとオーキャラは再び歩き出した。
「ねえ、どうして、あんな嘘をついたの?」
オーキャラは小声で尋ねた。
「どういうことかな?」
「とぼけないでよ。『私達が探しているものは、きっとどこかにあるはずだ』っていう言葉のことだよ」
「ああ、そのことね」
「どうして、あんなことを言ったの?」
「ごめんね。あれは、ただの思い付きだよ」
「本当に?」
「うん。本当だよ」
「そっか。じゃあ、信じるね」
オーキャラは納得した。
「ところで、君はどうして、ここにいるの?」
ボールはマミに質問した。
「私は、ある人を探してるの」
「どんな人なんだろう?」
「それは秘密」
「教えてくれないのか」
「とにかく、私のことは内緒にしておいて。あとさ、君達のことも、誰にも言わないから」
マミは少し困ったような表情を浮かべた。
「どうして?」
「どうしてって言われても……」
「まあ、いいじゃないか」
オーキャラは強引に話を打ち切った。
「うん。分かった」
ボールは素直に返事をした。
しばらく歩くと、小さな村が見えてきた。オーキャラ達は村の中に入った。すると、村人たちが騒ぎ出した。
「おい! お前ら、何者だ!」
一人の男が叫んだ。
「怪しいものじゃないです。旅の者で……」
ボールが説明しようとした時だった。
「大変だー!」
別の男の声が上がった。
「どうしたんだい?」
ボールは声の主に駆け寄って聞いた。
「モンスターが現れたぞー! 早く逃げろ」
男は大慌てで答えた。
「なんだって!」
オーキャラは不安そうな表情を浮かべてボールを見上げた。
「大丈夫。すぐに退治してくるよ」
ボールは力強く宣言した。オーキャラとボールはモンスターを探しに行った。
「いた。あいつよ」
「本当だ」
二人はモンスターの姿を発見した。それは、巨大なカブトムシのような姿をしていた。角には稲妻のようなものがついている。
「よし。早速、攻撃しよう」
ボールは剣を構えた。
「待って。まずは私がやる」
オーキャラは前に進み出た。
「分かった」
ボールは後ろに下がった。オーキャラは魔法を唱えた。
「グルメ魔法・雷おこし」
オーキャラの手から電撃が放たれたが、相手は素早く動いて攻撃をかわした。
「くっ……。やっぱり、当たらないか」
オーキャラは悔しそうに呟いた。
「今度は私の番だよ」
ボールは剣を振り回して突進していった。だが、やはり避けられてしまった。
「どうしよう」
オーキャラは焦った様子で言った。
「落ち着いて。こういう時は、まず相手の動きをよく見るんだよ」
「分かった」
「よし。じゃあ、いくよ」
ボールはモンスターに向かって走り始めた。そして、すれ違いざまに斬りつけた。しかし、これも空振りに終わった。
「なかなか素早いね」
ボールが感心したように言った。
「次はこっちの番だ。グルメ魔法・おにぎり」
炎の玉が飛んでいった。ところが、どれも外れてしまった。
「どうしよう」
オーキャラは泣きそうな顔になった。
「落ち着くんだ。今度こそ当てられるはずさ」
「そうだよね……。うん。やってみるわ」
オーキャラは深呼吸をして気持ちを切り替えた。
「次こそ決めるよ!」
ボールは勢いよく飛び出していった。
「かかった!」
次の瞬間、モンスターは地面に叩きつけられた。
「どう? これが私の力よ」
ボールは勝ち誇った様子である。
「確かに、すごいパワーだね」
オーキャラは言った。