グルメ魔法・ハンバーガー
オーキャラとボールは森を抜けて街道に出た。道の向こう側から馬車が来るのが見える。馬に乗った騎士たちが護衛しているようだ。
「助けてください!」
ボールは大きな声で叫んだ。オーキャラが慌ててボールの腕を引っ張る。
「何をするの?」
オーキャラは抗議したが、ボールは無視して言った。
「私たちを助けて下さい! 私たちは旅の途中なんです」
ボールの言葉を聞いた騎士たちはオーキャラたちを見て、驚いた顔をしていた。そして、馬を降りて近づいてきた。
「どうしました?」
若い男性の騎士が話しかけてきた。彼は白いマントをつけている。おそらく貴族の子弟であろう。
「私はオーキャラです。こっちはボールと言います。実は……」
オーキャラは事情を説明した。
「それは大変だね。僕の名前はライルと言う」
ライルと名乗った青年貴族は微笑んで答えてくれた。
「ところで、この辺りに村はないですか?」
オーキャラは尋ねた。
「この道をずっと行くと、小さな村に着きます。そこで宿を取るといいでしょう」
ライルは親切に教えてくれた。
オーキャラとボールは再び森の中に入った。森の中でオーキャラはボールに尋ねる。
「どうして、あの人に助けを求めなかったの?」
ボールは答える。
「あなたが大声を出したら、モンスターに気づかれるじゃない。それに、私一人でも何とかなったわ」
オーキャラは少しムッとした。
「それなら、最初から言ってくれたら良かったのに」
ボールもオーキャラに言い返す。
「言わなくても、察してくれても良さそうなものだけれど」
「だいたい、あなたはいつも言葉が足りない」
オーキャラは反論できなかった。
森の中を進むと、また開けた場所に出た。そこには牛鬼が三体いた。ボールは剣を構え、オーキャラも魔法の杖を構える。しかし、オーキャラが何か言う前にボールは飛び出していた。
「待って」
オーキャラは止めたが、ボールは止まらなかった。彼女は牛鬼に向かって走り、一体の牛鬼の懐に飛び込むと、その腹を切り裂いた。牛鬼の内臓が飛び散り、牛鬼は倒れた。もう一体の牛鬼が突進してくるが、それをひらりとかわすと、すれ違いざまに首を切り落とした。オーキャラは呆然と見ていた。
「すごい……強いんだ」
オーキャラは感心した。
「オーキャラだって、魔法が使えるでしょ」
ボールはオーキャラに聞いた。
「うん」
オーキャラはうなずく。オーキャラは魔法の杖を掲げて「グルメ魔法・ハンバーガー」と唱えた。牛鬼はハンバーガーになった。
「ハンバーガーは美味しいね」
ボールはハンバーガーを食べた。それから二人は森の中にある小さな村に着いた。宿屋があり、旅人のための店もあった。オーキャラとボールはその店で一泊することにした。部屋に入ると、ベッドの上には毛布が敷かれていて、その上に枕が置かれていた。
「寝心地が悪いから嫌だなあ」
ボールをそう思ったが、他に選択肢はなかった。




