表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/37

ドラン

オーキャラ達が村の外れにある草原を歩いていると、何やら作業をしている男性を見つけた。

「こんにちは」

オーキャラが声をかける。

男性は振り返り、オーキャラ達の姿を目にした。

「これはどうも」

彼は笑顔で挨拶する。

「何をしてたんですか?」

「草刈りだよ。この辺りは雑草が生えるのが早いからね」

「へえ、大変ですね」

「慣れれば平気さ。ところで、君たちは冒険者かい?」

男性が尋ねる。

「はい。そうですけど」

「そうなのか! なら、この村にしばらく滞在するんだね?」

「そうですね。まだ決めてないですけど」

「それなら、ぜひ僕の家に来てくれないかな?君達と話したくてウズウズしてたんだよ」

「私たちと?」

「ああ、そうだとも」

「どうしてですか?」

「それはだね……」

男は語り始めた。

「僕はこの村に住んでいるんだけどね、最近になって、村の外から人がやって来るようになったんだ」

「そうなんですか?」

「うん。しかも、その人たちは全員女性なんだよね。最初は驚いたよ。だって、こんな田舎に女性がやってくるなんて思わないだろう?」

「確かに、普通は考えませんよね」

「でも、彼女たちは違うみたいだ。村にやって来た途端、楽しそうにおしゃべりを始めたからね」

「へえ……」

「それで、興味を持った僕は、彼女達に話しかけることにした。そしたら、なんとその内の二人が恋人同士だというじゃないか!」

「えっ!?本当ですか?」

オーキャラは驚いた。

「ああ、間違いないよ。二人はとても仲が良く見えた。だから、僕は言ったんだ。『結婚を前提に付き合ってるのか?』ってね」

「そうしたら?」

オーキャラは固唾を飲む。

「そしたら、二人は顔を真っ赤にして俯いてしまった。それを見た瞬間、僕は悟った。ああ、こいつらは本当に愛し合っているんだなって。だから、僕は祝福することにした。二人の幸せを願ってるって伝えたよ」

「良いですね」

「ありがとう。だけど、それ以来、あの二人と会う機会がないんだ。そこで、君たちにお願いがある」

「お願いですか?」

ボールは首を傾げる。

「そう。実は……、一度でいいから、あの二人に会いたいと思ってるんだ」

「なるほど」

「そういうことですか」

「だから、もし良かったら、協力してくれないだろうか? もちろん、謝礼はする」

「分かりました」

ボールは即答した。

「おお、引き受けてくれるのかい?助かるよ!」

男性は嬉しそうに言う。

「いえ、お安い御用ですよ」

「じゃあ、早速行こうか」

「はい」

こうして、オーキャラ達は男性と共に村へと向かった。道中、男性は自己紹介をした。彼の名前はドランという。それから程なくして、彼らは目的地に到着した。そこは、小さな教会だった。入り口には看板があり、「愛の誓いを立てる場所」と書かれている。

「ここが僕の家さ」

ドランが説明する。

「素敵なお宅ですね」

「はっはっは! そんなに褒めても何も出ないよ!」

ドランは上機嫌だった。

「さあ、中に入ってくれ」

彼が促す。そして、オーキャラ達は彼の後についていった。室内に入ると、そこには女性がいた。彼女は椅子に座っており、テーブルの上には花瓶が置かれている。どうやら、水やりをしていたようだ。

「母さん、ただいま!」

彼は元気よく挨拶した。すると、女性は立ち上がり、こちらに向かって歩いてきた。そして、オーキャラ達の姿を確認するなり、「あら!」と言って微笑む。それから、すぐに表情を引き締めた。

「あなた、その方達はどなたかしら?」

「旅人だよ」

「まあまあ、そうなのね」

女性は再び笑顔になった。

「初めまして。私はドランの母です」

「どうも」

「はじめまして」

「立ち話をするより、まずは座らないかしら?」

彼女の提案により、一行は席に着いた。

「改めまして、私の名前はナターシャです」

女性が名乗った。

「私はオーキャラです」

「ボールです」

「メイです」

「そう。よろしくね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ