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1章2話

2018年4月27日20時15分


夕食後にテレビを見ていた俺は急にアイスを食べたくなるも、ちょうど切らしていたことを思い出し

夜風にあたりたかったしちょうどいいかななんて思いながら俺はコンビニ向かうために外に出た


まだ少し寒さが残るとはいえ、草木や虫が生き生きとしているこの時期が俺は嫌いではない。そんなことを考えながらふと立ち寄った河川敷で何か黒くて大きなものを見つけた。


不気味に感じつつも、好奇心を抑えられなかった俺はそれに近づいていく。近づくにつれおぼろげに輪郭がはっきりとして、それが何かわかった時は俺は息をのんだ


「おっさん!? おい! 大丈夫か!!」


二日前にここで会ったおっさんが腹を手でおさえて血反吐を吐き倒れていた。

急いで近寄ると腹から赤黒い血と僅かな臓物が垂れ、あまりのむごさに一瞬吐き気を催す。急いで救急車を呼ぼうと携帯を取り出すと後ろから誰かに手をはじかれ携帯を遠くにとばしてしまう。


「なんだ、貴様は」


慌てて振り向くとそこにはこげ茶のジャケットを身にまとった茶髪の左ほおに痣を作った男が立っていた。


「この男の知り合いか?なんにしても目障りだ。とっとと自身の縄張りに戻れ」


男が何を言っているのか理解できなかったが、俺は慌てて言い返す


「何言ってんだよ!? そんなことより早く救急車を、このままじゃおっさんが」


「何故私が付けた傷を私が治さねばならないのか理解に苦しむな、それにこの程度の傷であればこれほどの男なら大丈夫に決まっているだろう。同族である貴様に分かると思うのだが?」


男の言葉が理解できなかった、いや理解したくなかっただけかもしれない。俺はこの危機的状況の中で思考を放棄したのだ。しかし、思考は止まっても時間は止まらない


「もう面倒だ」


男がそうつぶやくと、手刀のようにした手を人間では有り得ない速度で突き出してくる。気づいたときには目の前にあった手刀を前に、自身の死と何か言い切れない虚しさのようなものを感じる。

だが次の瞬間には男から少し離れた場所にいた。状況についていけず、混乱していると横に汗を流し息を荒くしているおっさんがいることに気が付いた。


「お、おっさん!?大丈夫なのか」


「あぁ、ごめんね信二くん。ちょっと後ろからの不意打ちとそこそこの傷で気を失ってたみたいだ。おい君、随分と手荒な挨拶だったじゃないか。もうちょっと穏便に済まそうとは思わないのかね」


おっさんが茶化すように息を整えながら言うと、男はこっちを向いて面倒そうに髪をかきながら口を開く


「あんたもわかるだろうがここは金のタイムイーター様の縄張りだ。よそ者は顔みりゃすぐにわかる。警告をずっと無視して人様の縄張りをうろちょろしていたのはそっちだろうが。だから別の排除の方法を取った。それだけだ」


そういうと男は静かに拳を構える。


「見逃してはくれないのかい?」


「いったはずだ警告を無視したのはそちらだと」


しょうがないな~というとおっさんも拳を構えた。

先に動いたのは男の方である。辛うじておっさんの顔に蹴りを入れるのが見えた。おっさんはその足を右手でつかむと前方向に放り投げると、空中で身動きが取れない男の上にすかさず飛び込み強烈に殴る


「グッ!?なめるなぁぁ!」


男はそういうと殴られたまま足を踏ん張りおっさんの顔に拳を叩き込み、おっさんは水しぶきを上げながら川に吹っ飛んでいき、立ち上がると二人は静かににらみ合い、お互いの出方を待っているようだった。

本当は逃げるべきだったのだろうが、俺はその場にへたり込み人を平然と殺そうとする男も有まるでアニメや漫画のような動きをするおっさんもよくわからず受け入れられない現実を前にただ茫然としていた。

そんな時だった。男と不意に目が合ったと思うと一直線にこちらに向かってきていた


「まずい!?」


「なぜ動かんかは知らんが、まずは雑魚を処理させてもらうぞ」


さっきよりも明らかに力が込められた拳が俺を襲い、思わず俺は目をつぶって体を硬直させる。


しかし、いつまでたっても来ない衝撃に恐る恐る目を開くとそこには拳を受け止めた姫の姿があった。


「え?なんで」


「おっ、姫ちゃんか~助かったよ~」


「タイムイーター同士の気配と大きな音がしたんで、来てみればどういうことですかこれは」


そういうと姫は目の前の男を睨む


「どういうことも何もその男が警告を無視したから排除しようとしているだけだ」


「信二は関係ないですよね」


「その男も見たところタイムイーターだろう、しかも金のタイムイーター様の眷属でもない。そんな男が怪我したタイムイーターを助けようとしたんだ。関係ないはずないだろう」


そういうと男は姫に鋭い目で睨み返す。一触即発のような空気を醸し出しながら俺はそれをただ黙ってみていることしか出来なかった。


男が姫に背を向けて歩き出した


「この状況は流石に分が悪いんでなひかせてもらうぞ。だが」


こちらに顔だけを向けて凄まじい殺気を放つ


「勘違いするなよ。次うろちょろしているのを見つけたら殺す。必ずだ」


そういうと男は近くの電柱の上に飛び乗り去っていった。

姫は男が去るのを確認した後、俺を助け起こすように手を出す


「信二大丈夫?怪我無い」


「あぁ、大丈夫。それにしても何だったんだあれ」


疑問が多すぎてあれということしかできないが、そんな俺におっさんが苦笑いをしながら近づいてくる


「いや~ホントごめんね~。巻き込んじゃって」


「ほんとですよ俊平さん。どういうつもりですか」


そういうと姫はおっさんを睨む


「そう怒んないでよ姫ちゃん。どの道彼の最近の様子を見るに説明は必要だったろうしいい機会だと思えば。まぁ、危険にさらしたことは本当に申し訳なく思っているよ。ごめんね信二くん」


「えぇはい。とりあえず今日は色々と疲れたんでとりあえず帰って寝たいです」


気の抜けた返事を返して顔を向けるとおっさんが真剣な表情をしているのが見えた。


「悪いけどそういうわけにはいかないんだ。割と急がないとまずい状況になってる。とりあえず君を家まで送ろう。説明はそこで」


俺はおっさんと姫と歩きながら、大きな問題を抱えたことに後悔しつつ足取りが重くなっていった








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