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ただ好きだった

 

 初めて会った日から、あなたに全て奪われた。

 気持ちも、心も、何もかも。


 僕の持てる時間全てを君に関することに費やすほどに。

 君の声が好き、心の底から楽しそうに笑う顔が好き、美味しそうにご飯を食べるその姿が好き。

 君は僕の生きる全てになった。


 離れていれば考えるのは君の事ばかり、会いたくて声が聴きたい。

 君を感じていないと酸欠になった魚みたいだ。


 でもいつからだろう、君が嬉しそうに何かを見つめるのが嫌だ。

 うっとりとまるで恋でもしてるかのように何かに見惚れてる君が嫌だ。

 その対象が生きているものでも、ただのモノでも。

 その瞳をどうして全部僕に向けてくれないんだろう。


 僕の醜い独占欲が膨れ上がるほど、君は笑わなくなっていった。

 あんなに君の笑顔が好きだったのに。


 もう嫌だって疲れたと悲しそうな顔をして僕を拒絶した君は

 その瞳に僕を映すこともなくなっていた。


 いつの間にこんな風になってたの。

 僕の目に映る君はひどく綺麗で悲しそうだった。


 必死でこぼれる気持ちをとどめようとした。

 笑えない君に楽しい事を、また笑って欲しかった。

 悲しそうに笑う君を抱きしめて冷えた体に、僕の熱を移したかった。

 君のために用意した言葉はどれも届かない。


「終わりにしたい」


 君の願いは


「ゆるして」


 僕を殺す


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