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12-3 活発化

生きてますよ!

今回は書き溜めてたのですぐ更新したかったのですが…




『昨日午後10時ごろ、文京区のマンションで火事が起きました

焼け跡から複数名の遺体が見つかったことから警察が…』




朝から陰気なニュースが後を絶たないな。

朝の気持ちのいい目覚めが台無しになりそうだ。

いや、実際に目覚めが最悪だと言うのは変わりはしないが。

我が子たちは仕事が休みと合間って、部屋で寝息を立てて寝ている。

休日出勤が当たり前のような風潮が強い幹部にとっては夢のような話だ。

陸将として昇任してもこれは変わらない。

出勤前に目覚めのコーヒーのブレンドを間違え酸っぱくさせてしまったのが最悪だ。

気分を切り替えて迷彩服に袖を通し、作業帽も被った…忘れ物もない。




「行ってきます…って二人は子供だが、子供じゃないんだ

昔みたいに飛びついtcdhctfsblぐぶぉぉぁ!」


「お仕事行かないでぇぇ!!

瑠香と遊んでよぉぉ!」


「トーチャン仕事行かないでよ!

俺とキャッチボールするっしょやぁ!」




なんと言う幸せダァァァァ!!!

この境地にこの幸せな感覚!

二人が後ろから抱きしめてくれているのだ!

父親という生き物はある程度の年齢に達すると、子供からあまり相手にされなくなるというが。

うちの子たちはそんなことなかったんだ!

通説など俺には知らん!





「じゃっあ…仕事休もうかな?

ねぇ修ちゃん…るっちゃん?」


「「…御託並べてないで仕事行きなよ?

こんな幼稚なこと本気にするの?」」





玄関先で半長靴を履くために屈んでいた。

そして背中に感じる二つの重みを感じていたんだ。

だがその感覚を見ようとすればもうすでに二人は、酸っぱい顔して俺から離れていた。

そのまま寝室に戻っていってしまう。

残されたのは背中に広がるぶつかった時の衝撃と謎の痛みと寂しさだ。

玄関に置いてけぼりになった俺の心を返して。




(午前9時 練馬駐屯地 師団長執務室)




「ってことがあったんですよ、田中2佐ぁ!

あっ…昇任おめでとうございます」


「ありがとうございます…後心中お察しします

2人ともツンデレなのはいいですが、財前師団長が甘い結果とも思えますよ?

時に私を呼んだのは、文京区で起きた火災のことですね?

警視庁にいる孫達と白石から情報はもらっています

新興宗教である光の楽園との関係ですよね」


「皆に過保護って言われているのは承知です

文京区の火災事件もありますが、まずはライトな方で」




他にもあるのですねと言いたげに少し困った笑顔を見せる田中2佐。

今年もまたこの笑顔を見ながら、軍刀の峰の部分で成敗されるのかと思うと俺の心はブレイクだな。

なんて思いながら俺は携帯に保存した問題の動画を田中2佐に見せた。

最初はうんうんとうなずき微笑んでいたが、ある瞬間を見て彼は固まる。

紛れもなくそこに映っていたのは、ある動作に似た踊りを踊る6人組の男子達だ。




「「…これは、やりましたねぇ」」




動画を見終わり俺たちは、文京区の火災について考えた。

そうでもしないと、俺の中の不安というよりも複雑な気持ちが消えてなくならないからだ。

だってこの振り付けの一つ…どう見ても。



「空挺降下の動作もどき…だなぁ」





(午前10時 東京高等検察庁 庁舎内)


「それ本気で言ってます?」


「…我々警察としては、これ以上のないくらいまっくろくろすけとしか言えません」


「この文京区の火災事件…被疑者死亡で書類送検になりますが裏で手を引いていたのが」




僕の前に渋い顔をして現れた捜査一課長の橘信義(タチバナノブヨシ)

彼の言いたい事は、事件現場にあった遺留品の中に陸自側がずっと警戒している敵の痕跡があったと。

被害者の右肩の一部に見られる欠損と、鳥に似つかわしくない長く大きな黒い羽が焼けた状態でわざと置かれていた。

被疑者も焼死体となって見つかったのは口封じにあった可能性もありうる。

火災が起きる前に薄汚れた白っぽい服を着た女が歩いていたのも防犯カメラの映像から残されていた。




「女の身元は特定済みです

桐谷遥(キリタニハルカ)…向こうの人間からはユリアって呼ばれているナンバー2です」


「だいぶ前に練馬駐屯地を襲った時の張本人ですか」


「被害者との関係は、訪問看護の看護師と患者

組織的に言えばナンバー2と信者」


「被害者との間でトラブルがあって殺した…か?」


「そこら辺は洗っておきます、では今日は」




まさか訪問看護師と患者の関係かと思えば、過激なカルト教団のナンバー2と末端の信者。

揉み合いの末に殺されたのか…だったら欠損の理由がつかないな。

欠損した箇所の形状からして、まさか食われたのか?

翼者の肉体を維持するために、人肉が必要なのか?




「早めに源一郎様に横流ししておかなければなりませんねぇ

話は聞いていましたね結衣…やっておしまい!」


「かしこまぁ」





( 午後3時 習志野駐屯地 空挺団長 執務室)




「財前瑠香はFF課程終了後、練馬駐屯地に帰還させる

そういう辞令がでたのですか…

何のために空挺隊員にさせたという

陸上総隊は何を考えているのやら」


「空挺団長の意見はもっともですが、財前の周りでは不審事案が起きています!

現に敵が…光の楽園が再び活動を再開しているのです!

我々の組織が過去に新興宗教に狙われたように

今回もことが起こっては何もなりません! 」





習志野駐屯地付近で不審者の目撃が頻発している。

その時によって姿は変わるが、共通しているのは白い服を着ていると言う事と何かを唱えていると言う事。

考えられるのは財前中隊長の奥さんを殺した連中。

何の因果かわからんが、瑠香坊の事を神聖視している予兆も見られる。

それに習志野駐屯地そのものを聖域化しているようにも見てとられるんだ。

門衛も巡回中におかしな集団を見たと言っているくらいだ。

なのになぜ団長は何も感じないんだ?




 

「夢が叶って神兵になったと言うのに、こんな事で夢を潰されるのは悲しい事だ

まぁ、この話はもう少し保留にしよう

呼び出してすまなかった、ありがとう大林くん」


「いえ…では失礼します」





それについ最近だが、空挺団長の様子がおかしい。

何かいつもの空挺団長と違う雰囲気を感じると言うか。

それに瑠香坊が基礎降下課程の時に見学してた時よりも顔色が優れないというか、時より首のこりをほぐすように回していたというのも…

何とも言えないこの感覚…。

財前中隊長、まさかあなたが言いたかった懸念はこの事ですか!





「大林は勘ぐりすぎだな

まだわかっていないからいいが、そのうち消すか?

瑠香(マリア)のことなど俺はどうでもいい

できればあの兄弟2人とも消えてもらいたいくらいだ

昔みたいに財前様に殺されるような感覚を味わいたいのに、あなたが結婚して子供が生まれてから冷徹な何かが消えた

それを取り戻すために、利用させてもらうよ財前兄弟

申し訳ないが血を絶やさせてもらうぞ空挺の神

さぁ祈りましょう、天と地と万物を統べるわが神に」




アーメン




 


今回は瑠香がいないところの話です。

思惑がバンバンほとばしっています。

次回からまた主人公の目線に戻りますのでよろしくお願いします

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