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12-2 見えざる敵の音

もうすぐ二月とか早くないですか?

2月は節分があるのでお酒飲みますが





「皆様いいですか?

神は我々に平等に愛を与えてくださった。

しかしそれをないがしろにし、捨てたのは人間の方です

私は医師として数多くの人を神の言う愛で救ってきました

そのためか私の元に神が現れていったのです!

審判の時は近いと…我々の前に悪魔が現れて全ての人間が駆逐されると!

そして神はまたも言いました!

皆を守るために私とマリアが立ち上がり、悪魔たちを駆逐する日が来ると!

その時に天の使いが現れ、平和が訪れんとする!

そのためには祈りましょう…さぁ!」








なんだこの夢、私は一体何を見ているんだ?

なんだよ…白い法衣を着た人たちは?

ここは宗教施設なのだろうけど、激ヤバカルト教団じみた場所か?

…寝台みたいなところに寝てるのは?

こいつ…確か練馬駐屯地を翼者とか連れて暴れてきたユリアって人じゃねぇかよ!

おいおいおい口から血を吐いて震えてるってのに壇上に立ってるバーコードハゲおっさんは何やってるんだ!!

医療従事者ならこの人助けろよ!

くそ…体が動かねぇ、沖田さんを傷つけたユリアだろうが苦しんでるなら助けねぇと!

クソ…クソ…クソ!




「今まさに彼女は…我が友のユリアは天使に選ばれた!

彼女がさらに高みの世界に行き、天使となれるように皆様の願いを込めて祈ろうではありませんか!

人間の肉体を捨て…我々を導く翼となりましょう

さぁ皆さま…祈りの言葉を」




頭いかれてやがる…天使だかなんだか知らないけど。

だけど今この人の起こしてるのは、発作とかそんなんだろ?

変な薬飲まされたんじゃ…ってことは人体実験でもしたのか?

他の人もなんで誰も助けようとしないんだよ!

苦しんで唸ってるのは見てわかるだろうが!

助けてやれよ…ふざけんな…ふざけんな!




「…本来天使になるはずだったサタンは、今は悪魔の長と成り果てた

奴はやがてここに来る、その時にマリアの力を持って制裁を加えるのです

マリアを迎えにゆきましょうか!」




…サタンは天使になるはずだった?

サタンってまさかお父さんのこと?

天使ってまさかの翼者のことだべ?!

やがてここに来るって…まさか私の目の前に立っている男は前にお父さんが言ってた司祭のことか!

いかれてやがる…こんな事。

こんな事があっていいのかよ!?

命をなんだと思ってやがる!




「にゃんこ起きろ…目を覚ませ!

それ以上悪夢を見てはならぬ!」




「…っはぁ!」





忍さんの声で目が覚めて時計を見たら9時少し前。

久しぶりに学校に行って、1時間目の授業が始まらないから寝こけていたらものすごく変な夢を見てしまった。

パァってため息をついて両手で顔を擦ったら汗がじんわりと流れている。

無理もないかな。

あんな悪夢を見たんだから汗だってかく。








「瑠香ちゃん大丈夫?

凄いうなされていたけど…何か嫌な夢でも見たの?」


「ものすごく嫌な夢を見た

どんなことかは言えたものじゃないけどね」


「保健室に行く?

1時間目は、数2だから麦田先生の授業だし?」


「ううん、もう落ち着いたから大丈夫」




いや、落ち着いたとは言えない。

あの夢の中で私の知っている人間がちらほらいたからな。

まだ信じきったわけじゃないし、それに夢は自分の頭が変に覚醒してるから見てしまうもの。

きっと頭にこべりついたインパクトが大きいからきっと夢の中で知ってる人の顔が出てきたんだろ?

だからきっと…。




「きりーつ、気をつけ…れーい!」



「じゃあ今日もよろしくお願いします

みんな予習と復習はしてきたかな?

…財前さん、顔色悪いけど大丈夫?」


「平気でーす!

訓練明けで深夜テンションが引きずってまーす!」


「ならいいけど無理しないでね

それじゃあ教科書の5ページを開いて」






だからきっとあの場所に、麦田先生と空挺団長が現れたんだ。

訓練明けに見た空挺団長のインパクトと嫌いな数学の授業があるから関係して麦田先生が夢に…。

でもあの夢で麦田先生はすごく嫌そうな顔をしていたし、空挺団長だって血の気が引いていたし。

逆らうことはできないから一緒に何か言ってたのか?






(午前10時半 練馬駐屯地 師団司令部)






「そうか…FFが終われば瑠香を一度練馬にか」


「なぜですか、財前師団長?

あの子は将来有望な空挺隊員では?

なぜ練馬(ここ)に戻す必要があるのですか?」


「田中3佐も気になるだろう?

だがこれは向こうの教官からの打診でな

瑠香の命が狙われているのだよ

俺のそばにいれば狙うにも、もう一人の俺がいると言うことで手がつけにくい空挺団側が考えたのだ」


「習志野と練馬で別れていれば狙われやすい

だから練馬に戻して、向こう側が消えた瞬間に習志野に戻すと?

なんとまぁ酷いことを」




今日ここにきた理由はわかっている。

財前師団長がずっと危惧していたことがついに現実味を帯びてきてしまったのだ。

ずっと胸騒ぎがしていたから何かと思えばこれか。

FF課程で大詰めのはずが今は高校に行って勉強をさせているとは聞いていた。

理由は簡単なこと…習志野駐屯地周辺で異様な集団が徘徊しているとのことだ。

まぁ奴らが習志野を聖地化しようと画策しているのだろうな。




「見えざる敵の音というものを探知したのですよ

そうでもなければこうはなりません

瑠香が帰ってきても差し支えのないようにお願いします」


「了解しました…それにしても財前師団長」





「どうしました…田中3佐?」


「いえ…何もそれでは失礼します」





師団長…最初にあった頃よりも物の怪に近くなったのか?

物の怪…いや、翼者に近くなったとしか思えぬな。

真の敵は…考えたくもない。

ゆっくり動き始めました。

敵の目的は目下不明であります!


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