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12-0 FFの訓練の続きやるってよ

あけすぎておめでとうございます

本年もよろしくお願いします!





(午前8時 習志野駐屯地 正門警備室前)





「習志野に帰ってきて、正月開けてすぐに門番って悲しいね」



あの場所から解放されて、もう一週間経った。

現代慣れしすぎた義烈の人たちが男性隊員達と娯楽室で酒盛りしていたのがバレて幹部に怒られたって聞いたけど。

忍さんは私の隣で、一緒に門番しながら寒い寒いって言いあってます。

あれから帰ってきて、絶賛FF課程の続きを現在進行形で訓練しております…ぐえ。

飛行機に乗って実際に降下するのは、仕事始め以降になるから今は無理だって。

置いてけぼり感が半端ないのは仕方ないか。

ある程度向こうでやってた事も、空挺団長とか教官達が認めてくれたんだよね。




「俺たちが教えました!」



って水上一尉が言ってたのも覚えてるよ。

一ヶ月間住んでいた洞窟を案内するためにだっけ?

わざわざお偉いさん達を、騒動が落ち着いてからあの変な空間に連れて行って見せていたからな。

それで了解する坂口空挺団長も教官たちも、みんな頭ぶっ飛んでてすごいね。



「破壊神…お空の子るっちゃん」



に無事昇格しましたのでおわたンゴです。

○ちゃんにどうやってスレを立てたらいいんだよ。

誰も振り返らないし、むしろ釣り宣言させられて終わるしてさ。

嘘は嘘であると見抜け…って言ってる例のあの人にもクソな目で見られるわ。






「そういえば忍さん

どうして私に対して本気出さなかったんですか?

本気を出せば、私のことを潰せたんじゃないんですか?」


『確かに俺の力は本気を出せば瑠香を食い殺したろう

でもそんなことをすれば、誰も幸せにならないとわかったんだ

否…わかりきっていたんだ

瑠香や修を見て、二人にとって父親はあのアホ野郎だけだと悟ったよ』


「アホ野郎は否定しないです」


『くふふふ!

でも俺はあいつのことを許すつもりはないし、まだ父親になりたいって気持ちはある

それは俺のわがままだからね、俺は二人を我が子を近いようで遠くから守るから』




忍さんが私を見つめる目がお父さんなんだよ。

忍さんと戦った時にも、敵として倒すとか殺すとかそんな目じゃなかった。

本当に父親って言っていいのか…いいや、父親って言っていい。

こんなに温かな目は見たことがない。

蝦夷羆(まこと)とは違った父性の現れなんだよな。



『さて本当に俺が言いたいこと…伝えたいことは

あの一ヶ月の間でわかったか?』


「わかった…なんとなくだけどわかったしてさ」


『教えてくれないか?』


「それは何事に対しても…全てのことに対しても

手を合わせその心の赴く全ての気持ち

そう…それこそは」






圧倒的…感謝ぁ





『くっはははは!

ちゃんと俺たちが言いたい事の全てをわかってるじゃねぇか!

ありがとう、ニャンコ…ッぃてて』


「あたぼうよ!

感謝の気持ちは大事だし…って忍さん?」



『大丈夫、昔やった古傷が痛んだだけだよ

笑うとたまにこうなるからさ』




そういえば上半身裸で私に抱きしめてくれた時、胸のところに十字の傷があったような。

袈裟斬りされた跡と逆袈裟斬りの跡というか。

後は銃弾を受けた傷とか、カスって言った傷も。

縫合された跡も無数にあったし、戦闘の傷跡が生々しくて怖かったな。




「破壊神るっちゃん、交代だぞ

伊藤三曹が門番交代するから、空挺の神様が作ったバターチキンカレーと紅白饅頭食っておいで」


「ありがとうございます…って忍さん

バターチキンカレーと紅白饅頭を給養さんと作ったんですか?

真実を聞く前にどっか消えたよ…自由人すぎだべ」



そういえばこの前、兄ちゃんと一緒に下町のきったねぇけどうまい中華屋の炒飯を再現するって言って本当に作っていたような。

兄ちゃんも料理うまいから、このところは遺伝なんだろうけどなんでよりにもよって下町炒飯を作ろうとしてるんだろ?





(正午 練馬駐屯地 師団長執務室)





「むぅぅぅ…うぅぅぅん」


『…ねぇ、そんなにしかめっ面しないでよ

正月なんだし、家に帰ってゆっくりしなよ』


「ぬぅぅぅぅぅぅう」


『ねぇ聞いてるの?

俺の話聞いてないっしょや?』


「はいくそー、クソゲー!

なんだよ…難易度エクストリームハードって言ってるけど鬼畜じゃんかよー!」


『また音ゲーやってたな!

瑠香と比べたらだめだって

あれはもう次元超えって言ってる側から!

もう知らない!』




怒られたよ…いや、わかるけどな。

翼者の俺が言いたいことは存分にわかるんだ。

だけどな…若手幹部のしかも言うこと聞かない奴が、決済書類持ってこないから帰りたいけど帰れないんだよ!

再三言ったにも関わらずさ、書類を持ってこないんだって。

そいつが来たら、俺の酸っぱい匂いのする靴下嗅がせて説教する開始だな。





「あ…ミスった、またミスった

ちょっと、あっと…はいくそー!

もうやってらんねぇし、クソゲー!

決済書類は持ってこないし、いい加減にしろって

電話して急かしてやろうかな?」




若手だから少し甘く見ていたが、喝を入れなければな。

その前にこっちの用事を先に済ませよう。

長らく任務に就いていたのだ。

労うことも大事だし、こいつがいなければ子供達のことを遠隔で守れなかったのだ。

翼者として生きてもう25年くらいは経ったな。

今では応用技も色々と増えた。







「っふぅぅ、長く旅路に出ていたな

歩かせてばかりですまなかった」


「…大丈夫、子供を守るためなら容易いことだ」


「そろそろ元に戻ろう

神前忍の呪いは解かれたと聞いている

後はあの組織を潰しにかかればそれでいい

任を解くよ」


「二人を怖がらせてしまったのが心残りだが

この任務を終えれてよかった

ありがとう…これで背嚢も武器も下ろすことができる

でもまだもう少し見守らせてくれないか?」


「わかった…もう少し頼む」





鉤爪の脚に頭の先からくるぶしまで伸びた長い髪のような無数の羽。

その外見を剥がせば背嚢を背負い、おい紐を肩から通して銃を抱えながら頭をずっと項垂れ、引きつった笑顔の中に赤い目の中に六芒星の模様の俺の影がそこにいる。




「とりあえずおかえり…行軍お疲れ様」


「ただいま」




次第に影が俺の体に吸い込まれていく。

長く歩かせてしまって、すまないと言う気持ちとの方が今は大きいな。

影が見ていた世界が俺の体に構築され重くのしかかった全てが今取り込まれた。

これでいい、今はこれでいいのだ。

少し休ませてから続きをしようか。









「さぁて始めようか

あの子たちには悪いがやんねばなんねぇからなぁ

ごめんな真奈美、お前の遺灰を飲んで覚醒したんだ

だから力を貸してくれ」





復讐のために

FFの続きが始まります。

新年早々に酒盛りで怒られてましたね。

ダメなおとなです。

忍が瑠香を奪えなかったのは自分は父親になれないとはっきりわかったからです。

それでも父性的な愛情たっぷりに接していくのが忍です。



本当の父親はとんでもないことにしてるみたいですが

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