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11-11 最終戦闘

クリボッチから早ちょっと、今年ももうすぐ終わる。




もうこの場所に来て、一ヶ月は経った。

最初の頃は一週間で返すと言っていたけど、それもとっくの前に過ぎている。

ここに来て愛用しているデジタル時計は、文字化けを起こして自分は何月何日何曜日か…。

なんてこともわからなくなってきている。

ゆっくりと流れる時間が自分の心に疑う気持ちをなくさせて、知らないうちにここで暮らしたいと思いつつある。

忍さん達にバレないようにつけた印が30個も溜まった。

なんとなくでも、一ヶ月くらいは経っている証拠か。

やっぱり、私がいるべき場所はここじゃない。

家族の元に…練馬や習志野駐屯地にえみりちゃんや紗香がいる学校に戻らなきゃ。

またあの翼者が来るかもしれないし。





「もう…ここにいちゃいけない

帰らなきゃ、私のいるべき場所に

今日こそ、決着をつけるぞ…行くぞ財前瑠香!」


「どこに行くんだい?」


「…長船三尉」


「ここから出たいならいいけど、川越は手強いよ?

本当に逃げ切れるかい?」


「…」



こんな夜にゴソゴソ動いていたら気が付かれるか…。

抜き足差し足で動いていたのはよかった。

すぐにバレました!

洞窟の入り口手前でもう少し歩けば外に出れるところで歩哨がいるのを完璧に忘れてた。

体感的には夜の一時くらい、警戒している相手はもちろんだけど我らが師団長(ヒグマ)と3(じっちゃ)

いつココに来てもおかしくないからって見張りをつけてるんだろうけどなぁ。




「俺は…瑠香がここから出ていったとて何も言わぬ

だが…激昂した川越が血眼になって探すだろうな?

一度キレると手がつけられないのは知っているな

それにあいつはお前のことを本気で娘と思っている」


「承知しています」


「だか俺も、瑠香の言いたいことはわかるよ

何がなんでも拘束し過ぎだし、本来あるべき場所に帰るべきだ

あいつの野望を止めきれずすまなかった

後のことは俺がやるから、お前の行く道を進んで来い」




長船三尉、ありがとうございます。

なかなか出れない迷路のような場所ですが、私はここから逃げ出して見せます。

逃げると言うより、決別する姿勢を見せようと思います。

麻井二曹がこの前渡してくれた長船戦で使ったあの

地図の裏に、この場所が全面に書かさっている地図がはりついていました。

変わった匂いがするから、ライターで炙ればここの出口に通ずる道が記してありましたし。

みんななんだかんだで逃す機会を促していたんだな。




「一等陸士…財前瑠香、お世話になりました」


「行ってこい…俺たちの可愛い愛娘よ」






( 一分後 習志野駐屯地 某所)





「感知しましたよ!

ブァカ瑠香…ようやく帰ってくる気になりましたか!

こうなったら説教しますよ!」


「説教ってなぁ、白石よ

へば、瑠香は今どのあたりかわかるか?

我々(こっち)のほうか、それとも挺進(あっち)のほうか」


「まだ向こう側ですが、我々の方に向けて走り出したようです

近づけば拾うことはできるでしょう

しかし、あの神兵は許してくれるでしょうか?」


「無理であろうなぁ

何せ自分の娘のように愛でた我が子を手放すと思うべか?」





ブァカ瑠香が居なくなって一ヶ月経ちました。

そろそろ瑠香の処遇も危うくなりつつあるのですが、動きがあったと言うことは間違いなく生存していると言うこと。

長々と挺進兵達が拘束するとは思えないならば、そうさせているのは無論あの男です。

理由は分かりませんが、財前誠が何かしらの起因にはなるでしょう。

挺進兵の銅像近くに反応があってきてみれば、こうなったのですからねぇ。



「…どうやら、あの男が勘づいたみたいです

鬼ごっこが始まりそうですね」


「どうか逃げきれよ瑠香」




るっちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!

グルォァァァァァァァ!!



「おーい誰だよ、クマ牧場から羆を出してきたやつ

猟友会呼ぶハメになるから檻に入れとけよ」



(??? 十分後)




「長船少尉、あの子をどこに連れて行ったぁ!

ニャンコをどこに連れ出した!」


「知らない、気がついたら俺は気絶させられたんだ

わかるわけがないだろ!?」


「見つけなきゃ…あの子をもう1人にはしない

あんな父親のところに返せば、またニャンコは1人になる

やはり早いうちにあいつを殺すか、ここに閉じ込めておけばよかった」




苦しいなぁ、どうしてこんなに苦しいんだろうなぁ。

修の時もそうだ、修も俺のことを拒否した。

あぁそうか…修の心にはあいつがいるように、瑠香の心にもあいつがいるからか。

父親なれず…最愛の人も守れぬ、あいつが心にすくっているから、俺はあの子達の父親になれないのか。

俺は父親になりたかったのだ、あの日に俺はその夢が全て絶たれた。

だかあいつは得られる幸せを…俺が喉から手が出るほどに欲している夢を自ら放棄したのだ。

だったらもう…。




「川越軍曹、どうするつもりでありますか?」


「決まっている、連れ帰るだけだ

父親は1人でいい…空の子の力を解き放つがそれは全部俺との関係を強めるためだ

懸念はある…あいつの父親と愛美を殺した集団だ

それは全部俺が潰して、そのあとは幸せにしてみせるさ」




それに、出ていくなら出ていくでいいけどまだ教えていなかったんだよ…料理のさしすせそも大事だけどもっと大切なことを伝えそびれたんだ。



「「「「「「………あっ!」」」」」」」








(???  1時間後)




「時計のバグが元に戻り始めてる

…おいおいクリスマス過ぎてるって

えみりちゃんと紗香とか葵たんとかみんなカムチャッカインフェルノだって!

お父さんと…後田中3佐も習志野のみんなも激おこスティックファイナルドリームかましてるって!

ぴえん超えて、ぱおん超えてぷおんっしょ!

まぁ家に帰れば遅めのクリスマスパーティーだな」




お気に入りのGショックのデジタル板が文字化けを起こさなくなってきた。

弾帯につけている方位磁石(コンパス)の針がブレずに北を指し始めている。

なんとなくだけどこの辺りは私のいた世界に通じている感じがするんだ。

でもとりあえず帰ると強制お説教大会開幕の後に、外出禁止一ヶ月でもって公開処刑確定で確変や。



「…急にだだっ広い場所に来たな

鉄が焼ける匂いに混じって肉が焼ける匂いがする

しかも…ふらんしゅ…!」





だめだ…息ができない。

吸えば吸うほどいろんな匂いが混じって吐き気が…。

胃の中にあるものを地面に全部ぶち撒いちゃった。

口の中と食道とかが荒れて痛い。

つけている水筒の中に入れていたはずの水が抜かれているし、洗いようがないから不快感は取れそうにない。

この地面のアスファルトみたいな硬さと広大な面積に感じたことのない湿度の高さ。

ここってまさか…まさかじゃねぇよなぁ?




「ここにいたんだなぁ、悪いニャンコだことだ

ここが俺にとって…いやぁ俺らにとって何を意味すると思う?

地獄の源であり、悪い神様が生まれた場所だよ」


「じゃあここは、飛行場…忍さん!?」


「最終戦闘としようぞ

その目、転輪の目…俺が強いか瑠香が強いか

空の子の力が俺の呪いが強いか…どちらが上か決めようぞ!」




地面が…揺れて…うおあ!

地震みたいに揺れて、空を舞ってる?!

割れた地面から黒いタールが湧き出てきた!

地震みたいなものの衝撃で投げ飛ばされて、忍さんを中心に広がっていく!

投げ飛ばされたからわかるけど、他の人たちがいないってことは忍さんを倒せばここから出ていけれるのか!?



「屍悔いなく我ら散るなり…だが瑠香をおいては死ねぬ

我が夢を叶えずして消えることなどできぬ

さぁ始めよう」



「私は…母さんと父さんの間に生まれた17歳の高校生や!

忍さんの娘じゃない!

私や兄さんを守ろうとする気持ちはわかるけど…

それでもだめなもんはだめなんやで!」



発動…施設…陣地構成ぇぇ!

実は一ヶ月くらい経っていました。

この世界は瑠香が言った通り、疑う心を消してずっといたいと願えるくらいの生活です。

理由は次の更新で!

この章は年内に終わらせます

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