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11-9 お使い

久しぶりの投稿

もうすぐ年末と思うと、今年もあっという間でした





「じゃあ瑠香…今日のお使いはこの洞窟から南に1キロいった先にある窪地の中に行ってもらおう

そこに長船少尉と吉井少尉がいるからさ」


「レンジャァ!」


「今はレンジャーから離れていいからね

それと2人に会ったら渡してもらいたいものを、清水平吉と目つきの悪い純朴少年の中村直哉に渡したから」




今日の任務というか特訓は、忍さんに言われたお使い。

長船少尉と吉井少尉の元に行ってお昼ご飯を届けて、そこで私と一緒に何か面白いことをするらしい。

今回の昼ごはんミッションは2人からのお願いで洋食を準備しているらしく、メニューは私も知らない。



「瑠香さん、2人は貴族の家の出身

だからってわけではないのですが、洋食を食べ慣れているんです

今回は何を言ってきたのか知りませんが…」


「洋食ですか…忍さんが作ったご飯ならなんでも美味しいだろうなぁ

中村三曹は、洋食とかお好きですか?」


「俺はなんでも好きだよ

そろそろ時間だな…行きますか瑠香さん

清水さんも行きましょう」


「そうだな…瑠香殿、ゆっくり参りましょう」



ニコニコと右手を振ってるけど、左手に隠しているタバコを現認しましたからね!

洞窟の外に出てすぐには…はい、いました。

河本三曹に鈴木三曹、麻井二曹と水上一尉がタバコ吸ってました。

忍さん曰く、長船三尉と清水三曹以外の全員はヤ○カスらしい。

ひどいよね、仲間に向かってヤ○カスって。




「おっ、瑠香!

これ渡すから持っていきな!」




ここに来て3日が経ったけど、義烈の人たちはみんな私の事を妹か娘のように扱ってくれる。

下手すれば…なんだろうな?

声をかけてくれた麻井さんも、ガテン系お父さんって感じで個人的にはスコ。

みんなタイプの違うお父さんかお兄ちゃんって感じがして幸せなんですよね。

私の後ろにいる清水さんは、お父さんとかお兄ちゃんって言うよりも紳士なんだよな。





「近づくなよ麻井、

ニャンコにお前のヤニカ○病が移るし、タバコ臭くなるから寄るな…殺すぞ」


「んだと、川越てめぇ!

テメェもヤ○カスだろぅが、長船少尉から地図渡されてんだよ!

あー…むかついてきた!!

殺される前に川越をこの手で殺す!!」




近所の野良猫並みの喧嘩が始まりそうな予感がするけど放っておこう。

転がった地図を拾ってと…ここら一帯の測量とかしてあるんだな。

地図には等高線とか引っ張っているし、測量した山の高さも出てきてくれている。

この標高とか算出すれば…ほう…ほう…なるほど。

なだらかな勾配だけど敵が下の斜面とかに隠れ、伏撃されやすいのか。

アップダウンが緩いけど連続するから体力も持っていかれやすい。

でもこの地図のおかげで敵方の拠点はわかった…。

ここから南東に800メートルで、どの地点の中でも勾配がなくだだっ広い野原…行くか。






「行っちまったな…吉井はいいとして長船は手強いぞ

さぁどう切り返すか…見ものだな

そう思わないか、川越」


「あの子ならできます水上大尉

俺の可愛いひ孫ですから、きっと切り抜け…!」


「川越どうした、何かあったの…か…」





身体中をまさぐられる感覚。

今ここで動けばこいつに飲まれ、消し飛ばされてしまう。

しまった…ニャンコは拠点に向かって歩き出したところだぞ!

頼む…頼むからニャンコ、逃げろぉ!










「…ッ!」


「なんでありますか…拠点の方から薄寒く嫌な気配を感じたのでありますが」


「帰って悠長にしている暇はないですよ…清水さん

瑠香さんは感じ取っていたと思いますよ

もう一つの敵影の方に…さっきから地図とコンパスを見ながらここまで来たのはいいでしょうが…

長船少尉のやる気が見えつつあるみたいですな」






敵の拠点まで残り300メートルを切ったところまできた。

だだっ広く何も変わらない緑豊かな風景に緩いけど長く続く高低差に精神的にやられそうになっている。

コンパスを使って途中にある目標と整合しながら歩いていたけど、ここに来て敵が急に出てき始めた。

最初のうちは歩哨がいたから、後ろから迫って失神させたけど…近づくにつれて歩哨というより本気で抵抗しようとしてきている。

索敵能力を活用して測っただけでも目の前には100人くらいは見積もってもいるし、微かにピアノの音もキャッチしている。

潜伏できる森がなければ脚の長い草もない!




「2人には援護してもらいたいけど、そうは問屋が卸さないってか!

広範囲の敵を一挙に、しかも射程が短く火力も存分となると

やるっきゃねぇか!」







2人は戦いに参加できないから、どこかに消えた!

火力を発揮するためには2人にはいて欲しかったけど、いつの間にか退避してるし…もうわっかんねぇなぁ!

でもどうすれば良い…富士学校なんか出てない私がどうすれば!



(いいかい…神前

ただただ撃つだけではだめなのだよ

歩兵砲しかり、小銃しかり…きちんと計算をなさい)


(それは高射特科でも同じなのよ

計算の仕方ならお母さんが教えてあげるから

…やだまた私、お母さんって言っちゃったわ!

もぅ、だめねぇ!)


(ふは…!

2人の言う通りだぞ神前、計算をするんだ

高校生の科目で習ってる三平方の定理と同じなんだ

理数苦手じゃないだろ?

風向きの計算とか、室戸お兄ちゃんが教えてあげるよ)





そうだ…私は練馬にいた時に、みんなから色々と教わっていたじゃんか。

即応の人たちはいろんな部隊を経験している。

その人たちからいろいろ聞いてきたんだ。

しっぽり忘れていてすいません!

時間はないけど…おおよその我と敵との位置…100メートル。

仰角の設定は45度が適当、風向きは南に向かって2メートル!

計算している間に手製の迫撃砲を土とかを隆起させて雷の球は装填させた。

信管の作動は調整させてある!

今私のいる地点も1番高低差の中で低い場所…爆風も来ないはず。



「行くか…やるっきゃねぇっしょや!

普通科…重迫撃砲…10基…発射ぁぁ!」




地面を揺さぶる轟音に、青空に放物線を描いて飛んでいく弾丸。

耳栓を持ってなかったから指を突っ込んでいるけど、それでも聞こえてくる空気を切り裂く音。

火薬の匂いがない代わりに舞い上がる土の匂い。

もうすぐ弾着する…ここまで爆風が来ないことと後は地形が変わらないことだけ願うかな!



「弾着三秒前…だんちゃーく…今ぁ!」




だめだ…振動が凄すぎて体を動かせれない!

音も光も…全部が奪われている感じだ!

轟音の中に若干だけど、悲鳴のようなものが聞こえるし…空気中に塵みたいな雷がひらひらと舞ってる感じがする。

今の状況が自分でもわからない!

……いや、遠くからピアノを弾く長船3尉の姿はキャッチした。

この感じ、まだ次を送ってくる気か!

今弾いているのはショパンの英雄ポロネーズ!

兵を増員させてくる気なら、こっちだってやってやる!



「最初の頃に特訓した拠点から長船3尉のいる地点まで約3キロ

やり方めちゃくちゃだけど、もう敷設してあるから許せよ

特科…榴弾砲…ってぁ!」




(??? 長船・吉井陣地)


「くくく…いやぁ瑛太の後輩はよくやるなぁ

今送った兵士の虚像はみんな木っ端微塵だろうなぁ

いやぁ参った参った、吉井くん降参するかい?」


「もう蒼い雷がここまでくるぞ

…今の砲兵火力は地面に弾丸を落とすのと空中で爆発させるのと両方だ

えいちゃんが送った、虚像もやられるぞ…

ほぅら、俺らのところにも爆風が」


「やるじゃないか…さすが空の子d」





(??? 瑠香陣地)



「やっばい…やりすぎた、地形がめちゃくちゃだぁ」


「やるじゃないか…さすが空の子

ここまで本気出されると痺れるよね

長船と吉井は負けました!」


「ところでなんだけど…川越は瑠香に何を持たせてきたんだ?

朝ご飯食べてなくてね、吉井なんか死にかけてたし」


「イツノマニココマデキタンデスカー?

ムコウノキョテンマデキョリハアッタハズー」





私の心はとうの昔に壊れた。

自分が放った雷が地形を歪めなだらかな傾斜が続く、小高い丘たちはクレーターになってしまってきれいな花畑がなかったことだけが救いです。

お花畑で花の冠を作るのが夢の財前瑠香にとって、花が倒されるのは万死に値する所業なのです。

そんなこともつゆ知らず、兵隊さん4人組はモグモグとチーズハンバーガーを食べております。

ちなみに動いていた敵は、忍さんの能力を使って生み出した虚像との事。




「美味いな…さすが川越軍曹だ」




食べた方がいいよと中村三曹に手渡されたハンバーガー。

どこぞのおしゃれなカフェとか、ハンバーガー専門店で出されるくらいの大きさ。

ふわふわのパンに分厚くて肉厚ジューシーなパティ。

とろけたチェダーチーズがうまい!




「…おっきくて食べ応えあって、そして何より美味い!

美味しいなぁ…美味しいにァァァ!!!」







いきなり猛スピードのタックルとハグが混じった何かが鼠色のたばこ臭のする何かにぶつかりました。



日本語がおかしいね。



猛スピードの何かにタックルとハグの両方が合わさった感じでぶつかりました。

なんとかハンバーガーは死守しました。

大地とタックルしてきた人の服を油汚れから守るためにも。

タックルしてきたそれはスンスンスンスンって泣いているみたい…忍さん、どうして泣いてるの?






「無事でよかった…何かされていたら俺…真奈美と菊乃に顔向けできない!

よかった…無事でよかったよ瑠香(ニャンコ)



「ここにいるものたちに告ぐ、敵襲を受けた

我は敵襲にあった…目下相手は不明

いや、翼者であって翼者にあらずもの

気を引き締めろ…次はない」







「イナイ…イナイ…カエセ…カエセ

ルカヲカエセェェェェェェ!!!!!!」

瑠香の周りをうろちょろするもの。

体が弄られ、動けなくなり嫌な気配を帯びるやつ。

先週の投稿でも出てきたやつと同じです。


それと同時間帯に瑠香は敵と戦っていました。

これも特訓です。

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