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2-3 ここでの返事はレンジャーなんだよ

最近私がいるところは秋を通り越して冬です

寒い

今回の台風はすごすぎです

皆さんは大丈夫でしたか?

ねぇなんでせっかく綺麗にした小さいロッカーとか蹴散らすの?


なにがダメだったって言うの


私の目の前に散乱する道具をみてなにも言えなくなった。


そういえば点検ってこんなに散らかすものなのか







これが理不尽なのか…

あーね、理解した!(完全に理解してない)






数分前 練馬駐屯地内隊舎






「身支度はできた。 規定通りのものの置き方もできた。布団は計算外だったけど……」






入隊式が終わり、帰ってきたら布団は明後日の方向に旅立っていた。

次はもっと芸術的な台風こと布団飛ばしが起きるのじゃないかと思う。

いや、例え田中3佐以外が私の部屋に入ってきてもおんなじように布団飛ばすのかな?






「レンジャーっていうか自衛隊っておっかないよね」






そうやって独り言を呟いた時、遠くから何人かの足音が聞こえて来た。

その中に会話がチラホラと混ざって聞こえる。

なにを話してるか聞き耳立ててやろっと…






本当に女性自衛官の部屋に来ましたね。


入るの怖いんだよなー


あーらそういう私も怖いのよ?

あとで殺されるわ



オキタさん、ならいけますよー。


やだー!あたし一応男よ?

オネェだけど、男なのよぉ?



うはは!背負い投げされそう!




「今から来るのは3人かな。 若干オネエさんいるんだ。あと二人はわからないや」






まぁ、そう構えてはいかんぞ。

レンジャーの候補生のように鍛えねばならぬがな



おじいちゃんは優しすぎですよ!



そうか?

…皆で鍛えよう。ワシら中隊(かぞく)の末の子が来たと思ってなぁ






「田中3佐もいた! 末っ子かー。 …末っ子か、私。」





そんなふうに考えてもらっているのはとても嬉しいこと。

今まで、私の周りでこんなこと言ってくれるのは初めてかもしれない。

おばあちゃんは、言ってくれているかもね。

そう考えているうち廊下に響く固いブーツの音が聞こえて来た。





ところで、布団は元に戻っていると思うかい?




爺ちゃんはどう思ってるのさ?




そうだなぁ。男、田中3佐!

十割十分でできていると見た!




あーん!

田中3佐、優男すぎぃ!




オキタさんはどうです?



できているにかけるわ!

…でも今から、残念だけどね

まぁ。伝統だし。



確かに、心苦しいですけど。

この教育の洗礼みたいなものですし。



やりたくないけどなぁ。

あれ…野郎ならともかく年頃の女の子は俺もきついっす。



だがやるのだ…

辛くともここは決して甘い世界ではないということを

分かってもらわねばならん…





「田中3佐…なんか声のトーンが重いな。

今から何が始まるんだ?」




心の準備は良いな?

そうドアの向こうから田中3佐の声が聞こえた。

その後ろの方からさっき喋っていた男性隊員の声が聞こえる。


ドアが開いた。

さぁどんとこい!


 












時を戻して





ねぇなんでせっかく綺麗にした小さいロッカーとか蹴散らすの?


なにがダメだったって言うの


私の目の前に散乱する道具をみてなにも言えなくなった。


そういえば点検ってこんなに散らかすものなのか




ここで貸し出された小道具や筆記用具にメモ帳。

ヘルメットなんかが盛大に散らかっている。

備え付けのおっきいロッカーに手をつけられなかったのが幸いって感じ

それでも結構やられた。



これが理不尽なのか…

あーね、理解した!(完全に理解してない)






「神前ぃ?

 お前これで整理したって思ってんのか?!」 





目の前にいる男性隊員

佐藤亘陸士長。

その人が私を見てメンチきりまくってる。

部屋の状況を見るなり整理したのかって…



「はい…。」



としか答えられないよ

そういうなり近くにいた別の隊員に目線で合図を送る。

この人確か…小野陸士長だっけ




「ロッカーの中みたけどよぉ。

全然、整理整頓できてませーん!

見る価値なーし!」




ガーン!



小野陸士長が蹴って私の鉄製のロッカーを倒した。

ロッカーの中から飛び出した小物類がドサっと音を立てて飛び出て来た。

ちゃんとやったつもりなのに…

これがレンジャーなんだ。




「なぜ…こうやられたと思う、神前二等陸士?」


「できてないからです…」


「できてない…ねぇ?」



不適に笑う笑うオールバックに黒縁メガネの男性隊員。

沖田宏人二等陸曹。

村上さんから聞く限りでは施設科で少ないレンジャー隊員で優秀な人だと聞いた。

優しそうに笑ってるけど目に光がともってない




ヤバイ




この一言しか言えない。

本当に相手にしたら殺される。




「神前二士はさっきできていないと言ったよね?」


「はい…言いました。」


「俺が見るに…普通の新隊員の教官ならまあまあという。

だけどレンジャーの教官としてなら甘ったるすぎ」






甘ったるすぎ

この言葉が辛くてたまらない。

なんでやどうしてと言いそうになるけどここら堪えないと…

でもズキズキと心臓が痛くなり始めている。

なんとも言えない痛みや吐き気がこみ上げて来た。



「なんでこういうことするか教えてあげるよ。



俺たちレンジャーの資格を有する自衛官は命令に即座に対応し飛び込むんだ。

最前線よりその向こう、その前と言ったほうがいい。

ゆえば敵陣地の手前か敵陣地だ。



いつ死んでもおかしくないっていうのはそこ。

じゃあ命令を間違えたら?

あるのは自分の死、いや全滅だよ!」




そして全滅

今まで、非現実を考えてこなかった。

学校行って家に帰ってメシ風呂そして寝る。

そんなあたり前が、当たり前じゃない。

この世界では通用しない。

嫌な汗が背中を伝って気持ち悪い




「さぁ神前二士。

どうしたそんな暗い顔してやめる?

それとも船橋のおばあちゃんの家に帰るか!」




一名様おかえり!


出口はこっちでーす!


帰れ帰れ!


おばあちゃんの家に帰れー!




囃し立てるように二人の陸士長が騒ぎ出した

段々…ムカついてきた

ここで負けるかよ!




「…ません」


「はぁ? 聞こえないよ?」


「絶対に帰りません! やめません!」


「チッ! ここでの返事はレンジャーなんだよ!」


「やめません! れんじゃぁ!」


「…期待はしない。 次の訓練が始まるまでに片付けておけよ?

小野…佐藤行くぞ。」






そういうと3人は部屋から出て行った

ものすごく心臓に悪いけど…悪いね!

でも見ていろ

今にギャフンって言わせてやる!

レンジャー神前をなめんなよ!









「「「  …心臓に悪い! 」」」


「一気に老け込んだな。3人とも」


「心を鬼にしてやりましたけど応えますね。」


「佐藤なんか部屋出た瞬間に泣きそうだったしな」


「ウルセェよ小野!」


「まぁ切磋琢磨は良いことだ。」


「でもなんで急にあの子をレンジャーにするのかしらね?」


「今はわからぬ。時がまくるまではな。 それでは行くか」


今回は理不尽回です

ここら辺は漫画読みながら書きました。

次から訓練始まります

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