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11-7 神様たちとの特訓

おひさしぶりです!

遅くなりました。


ボロネーゼの乱から1日経った。

と言いたいけど、この空間の時間の流れがゆっくりと流れるのがとても新鮮で。

1日も経っていないみたいな感覚というか…。

ずっと練馬でも習志野でもせかせか動いているか訓練しているかのどっちかだし。

学校にいても心が休まるという感じはなかったなぁ。

それなのにここは時間が…不思議な場所だ。

昼寝しても怒られないだろうなぁ。

私が寝ていたのは突貫工事とは思えないほどの大きな人工的な洞穴。

今いるのはそこから600メートル前に離れた小高い丘の上で、索敵をするにはもってこいの場所。





「誰か来る…足音的には、麻井さんかな?」




距離にして500メートル後から、成人男性の足音。

徐々に私のところに来る感じで、右足の方に重量物か何かを提げているのか音が若干違うな。

他に近づく足音というか振動はしない。

私の装備はいつもの戦闘訓練用につけているからの弾倉5個と弾帯。

特に何もないサスペンダーと鉄ヘル。

頼りの89式はG以上に黒光りしてる。

抵抗するのも癪だし、最高だなぁおい…昼寝させろ!





「おいおい…早過ぎだろう?

そんなに生き急いでも、特訓は始まらねぇって

まぁいいや、今日の特訓はお前の蒼い雷を使った演練

簡単に言ってしまえば、雷使ってやってみろ」


「了解しました、麻井二曹」


「やっぱりやめだ、お前…俺のことを探知してたろ?

修ちゃんはそこまで索敵してなかったけど

瑠香は…レンジャーで鍛えた気配を探知する能力に雷を使って範囲広げたな?」


「ナンノコトデスカー?」


「片言日本語言うな!

ずっと勘づいていたのも俺は知ってるからな?

だからお前のことを、攻撃する気持ちが起きるんだぜ?」








あっ…ずっと感じていた違和感これだった。








いつの間に?

5分前…1時間前…それとも10秒前から?

私の真後ろを誰かが襲い掛かってきたのは?

隠れていた…それとも走ってきた?

わからない…わからない…わからないけど。

飛んでくるであろう、その刀を私は…。




「位置は特定してたんですよ?

だからこうやって避けれたんだ…舐めんなよ!」




敵からの後ろからの攻撃…バカだけど右斜め前に飛び込んで逃げてやったんだよ!

なんとなく袈裟斬りしてくるのはわかってた。

飛んで逃げるのは殺せって意味に近いけど、間合いを詰めようと寄ってくるから隙だらけだし。

麻井さんも切り掛かってくる清水さんもバレてるって言うの!



「ありゃあ…しーちゃんバレてたぞ?」


「さすが瑠香殿…川越軍曹の血を継いでいるだけあって

神速でありますな、でも早さなら私も負けませんよ!」




清水さんは清水さんで軍刀振るってくるし、麻井さんは麻井さんで38式歩兵銃に銃剣つけてきたの降ってくるし…ってこれ避けられないな!

おまけに脱落防止のブラックテープは巻いてないし終わったよ。




(もし…2人の敵が現れたらどうすればいいと思う?)



そういえば…私は前にもこんな状況が起きたんだ。

お父さんと話をしていて、格闘徽章つけてるからって変にドヤってきてムカツイてたけど。

実践しようとかわけわかんないこと言ってた。



(こっちの俺がもう1人の相手だべ)



なんて言いながらモフモフの翼者なお父さん参上した時も、羽が邪魔になるからってライダースーツみたいにすっきりした感じの着こなし風になってたし…。

顔とかは若い頃のお父さんみたいだったような。





「気を散らしてはいけないでありますよ!

…って避けられたぁ!」




そうだこうやって銃剣とか銃で攻撃された時も…。

地面に足をつかむタイミングをずらされた時も…。

2人の息がぴったりに突きをしてきた時も。

どんな時にもお父さんは言ってた…面で攻撃しろと。

だったら、私は今の今まで帯電してある雷を落とすだけだ。

2人の合わせられた息を乱せばいい!




「発動ぉ…施設科、地雷敷設」



私のいる半径10メートルに巻いてやった。

後は踏むなり手をつくなりすればいつでも発動する。

でも今はフリをしなくちゃ。

この2人が乗ってきてくれることを。

どこに仕掛けたかわからないトラップにかかってくれればそれでいい!

出来るだけ身を低くする…身を低く!




「もう投げやりになったでありますか!?

それでは挺進兵は名乗れませぬ!」


「…なんだ諦めたのか

川越の見た空の子の話は嘘だったのか?」



出来るだけ身を低く、怯えたフリをしろ!

相手の隙をつけ…敵は2人で真っ直ぐ馬鹿正直に突っ込んでくる!

敷設した地雷原まで残り5メートル…4…3…2…1。

だんちゃーく…今ぁ!





(??? 洞窟内)




「川越、もう昼飯の支度をしてるのか?

今日は…なるほどサンマの塩焼きか」


「川上大尉、つまみ食いはよしてください

昼食がなくなりますよ」


「すまんすまん…なぁ川越よ

お前の信ずる空の子はあの2人に勝てると思うか?

あの2人は歩兵の中でも選りすぐりの猛者だ

歩兵のほの字も、ましてや挺進兵になりたての空の子にはきついのではないか?

…お前、その目は」




あの目…川越の目。

瑠香や修とは違う…白目の部分は黒く瞳孔は蒼空のような色に六芒星の印。

昔はこんなに濁っていなかったと言うのになぁ。

人を殺せば、亡者になるのは必然なのだろうが。

だが不思議だ、お前の今日の蒼い目の色はいつもより少し澄んでいるな…綺麗だよ。

それにお前は今…少し未来を見ていたのか?



「瑠香は勝ちますよ

頭は良いし騙しの方法も覚えている

俺の嫌いな財前誠の良いところを受け継いでいますし

空挺団で培った力を遺憾なく発揮してることでしょう

あの子にはさんま二匹つけてあげよう」


「こんのぉ〜、ひまご馬鹿め!

かわいい女のひ孫だからって!」




(??? 演習場)




何が起こったのですか…なぜ私は地面に臥しているのですか?

そしてなぜ動けないのですか?

なぜ麻井軍曹は両手を上げているのでありますか?

瑠香殿の銃口は、麻井軍曹の方を向けている。

つまりこれは、我々の負け?




「動くな、銃を置け!」


「おいおい…どんだけ親父さんの技を盗んできたんだ?

痺れるねぇ、降参しますよおじさんは」





清水が踏み込んだ瞬間に、地面に仕込んでいた雷が弾け飛びやなったな。

原理は地雷と一緒か…。

雷の性質で体が硬直した瞬間に、刀を持った右手を巻き込んで投げ飛ばし地面にねじ伏せさせて関節を硬直。

撃てるはずもない銃を向けて…。

いや銃口内が光っている?

なるほど…ねじ伏せたと同時に薬室を解放させ、小さく丸め込んだ雷を装填したか。

引き金を引けば雷の弾丸を弾いて発射。

硬直してよろけた瞬間に地雷の中に落とす…。

おっかねぇこと考えやがって、川越(ドラネコ)が見たらなぁ。




「やられちまったなぁ

わかったよ、置いてやるから

清水…おい待て、よせって馬鹿!」




あれ…私の体が宙を浮いてる?

なんで私が飛ばされているんだ?

…なんだ私どこに飛ばされているんだ?





「ぐがぁ!

いってぇぇぇ…まず!」




なにかが飛んできた?

飛ばされて、ぶつかった岩の所に頭を打ったけど…。

いやそんなことより岩に隠れてよかった。

なにが飛んできた…ん…だ。

しかも岩が砕けてるし…飛んできたものが…転がってる?

嘘だろ、嘘だろこんなの!?




「くそ…避けられたか…くそ」


「清水…やりすぎだって!

軍刀なんざ投げるなって!」


「やはり…こうなったか

昼食ができたから呼びにきてやったと言うのになぁ

清水、歯を食いしばれ…馬鹿野郎が」





忍さんが清水さんのことを殴ってたけど、そんなこと今はどうでもいい。

頭の整理がつかないし、身体中の震えが止まらない。

ぶつかった先に岩があってよかった。

じゃなきゃ今頃、私は頭に刀が突き刺さって…。

渾身の一投なんてもんじゃない。

右腕ごとちぎれた状態で投げてくるだなんて。



「怖い思いをさせてすまない

清水はあんな奴じゃないんだよ」


「お…長船3尉、あ…あ…あの」


「攻撃されて突っ伏されて…瑠香の中ならそれで終わった話だったのだろうけど

昔の兵隊はそう考えないんだ

やられた瞬間に次に待つものは死

だから清水は反射的に一矢報いるつもりだったんだ

許してやってくれ…俺の焼きサンマあげるから」





これは訓練とかじゃない。

これは死がまとわりつく戦闘。

一寸先の先は闇と死と…地獄なのか。

瑠香に強くなってほしいと言う気持ちが先走ったなんてものじゃなありません。


最後に長船が言った通り、やられた先に待つものは…。

だからこそ清水の最後の一矢が飛んできたのです。

だけどめげるな瑠香!



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