11-4 不穏な空気
あっ久しぶりです!
まだまだ暑い10月!
「面白いことになりましたねぇ
この匂いといい…空気感といい
僕の感じたことのある地獄の匂いそのものです」
「ふざけてる場合じゃないんだぞ…富!
まさか第一空挺団にも対応できぬ事態が起きたとはな
坂口空挺団長殿…顔がやつれていらっしゃいまするなぁ
少し休みを取っては?」
「私の大切な家族が…ひいては三女の瑠香が攫われたのです
黙って見ているわけには行きませんよ!」
「我々でも痕跡を探して見ます…って富!
お前はさっきなら舐めた態度ばかり取って!
今日という今日は許さんぞ!」
「源一郎さま、今は僕は軍人ではないのですよ!
軍役をしてましたが、今は検察官です!」
全くあぁいえばこう言うっとまぁそんな性格は変わらないのだな!
神前が拐かされてから3時間ほど経ったか。
練馬に…師団長に一報が入るのがとてつもなく早かったのは流石と言えるが、俺たちに捜査能力があるわけでもないのに呼ばれたのはよほど…慌てたのだろうなぁ。
あたりから漂うこの空気、間違いなく火薬と鉄の焼ける匂い…その中に混じって生き物の焼ける匂いも。
1人でここを襲うなどできるということは。
やはり空挺の神なる存在は複数いたということか。
「田中3佐…これ見つけたんです
俺にはさっぱりわからないので、見てもらってもいいですか?」
「ムロ、見せてごらん
これは…布の切れっ端ってわけではないな
ムロ、いや室戸三曹よく見つけた
なるほど天誅ということか…向けた相手は…
ほほう、そりゃ怒ってくるべなぁ?」
そんな嫌な匂いが立ち込める中、もう一つの何か重たい空気のような感覚。
間違いなく財前誠が本気で怒った…っといいたげに空気を揺るがしているのだ。
己の古巣で自分の娘を攫われ、天誅とばかりに布切れを置いていかれたのだ。
だが、我らが師団長にもこいつらには手出しできない。
「いやぁ、役者が揃ってくれて僕は嬉しいですよ!
それにいろいろな状況がわかってきました
そこでガタガタ震えていた、加藤士長からも状況が見えてきたので!」
「白石検事…教えてもらえませんか?
娘は…瑠香はどこにいるのです?」
「それも順を追って説明しますよ
坂口空挺団長も、そんなにカッカしないでください」
まずブァカ瑠香は、神棚に向かってお祈りをしていた。
というのも草刈り中にゲロ吐いたから出そうで!
その反省をここでやっていたのです。
それからみんながここにアクエリや、ポカリを円形に置いていき…全員いなくなったところで瑠香は外に出ようとした。
その時にドアの向こうにいた、加藤士長が頚椎あたりをストンッとやられるわけです。
その後、ブァカ瑠香は何かに気がついて逃亡した。
「逃げたのはその窓から…警務隊のみなさんが足跡を探してもこの部屋になく、次に見つかったのはこの下…
つまり飛び降りて逃げたのですな」
「…ダメな空挺隊員の血をしっかり受け継いだみたいだべ
俺も昔、急いでいてここから飛び降りたんだ」
えっ!?
まぁ…まぁ、いいでしょう。
財前誠が飛び降りたのは、まぁね。
話を戻しまますから、いいですか?
ここから飛び降りて、誰でもいいから助けを求めようとしてここで一悶あったのでしょう。
瞬間に拐かされ、そして何も跡形もなく消されたのです。
「ちげぇねぇ…あれは、空挺の神だじゃぁ
目ぇ覚まして財前だば、助けようとしたら
助けようとしたら!!」
「何があったんだ…ずさまに教えてけろ」
「…田中連隊長?
助けようとしたら、財前は黒い液体みたいなのに飲み込まれて…
そこからもうわがらねぇ…神様がどこかに連れて行ったじゃぁ
わぁは、助けられねぇずって…許してくれぇ!!」
源一郎様が片膝をついて、彼の頭をポンポンしてます。
羨ましいですねぇ。
しかし…慰めは今必要ですから。
他の隊員たちも助けようとしたところ…身体中に粘り気のある液体がまとわりついたと言っていましたし…。
瑠香が連れ去られた地面の後には、同じ液体…見たところタールのようなものがついていますし。
それにこの空間を覆うこの匂い…間違いなくこの匂いは。
「みなさんが気になる連れ去られた先
教えて差し上げましょう…それは」
戦前の帝都になります!
「連れ帰る作戦は立ててますので、ご安心を」
「…ん…んぁ…ここはどこ?」
あれ、私は…確か連れ去られて、そこからの記憶がない。
あったま痛いし…周りの空気がなんだかなぁ。
懐かしいような感じがするけど…ここどこ!?
えっあの…なんで私、銃を背負ってるの?
銃剣…腰につけてるし、てっぱちもつけてるし。
背中に…いや前にも弾倉入れ五つに水筒。
革手袋に弾帯…とかいろいろ身に付けてる。
作業帽は被ったままだ。
「なんで武装してるんだ?」
「お姉さんどこからきたの?
その格好は…何?」
「…うぉ!
なんだびっくりした、君こそ誰?」
「俺は平吉 、お姉さんは誰?」
「私は財前瑠香…陸上自衛官です」
「リクジョウジエイカン?
何それ…変なの」
「それよりここは…どこかわかる?」
「ここ…帝都だよ?」
帝都…帝都…ていと…フェイ○…Fat○!
やば、ガチャ回してないし…。
最悪だ、お父さんが十連ガチャ回して星5のキャラ当てたとか言ってたな。
お兄ちゃんもなんか推しキャラが来て2人して喜んでたし…いろいろ思い出してきてイライラしてきた。
そんなことよりもこの男の子。
丸坊主に着物姿で、いや…なにか風呂敷に包んで背中に背負ってるし。
帝都…帝都…サクラ大○か!
「平吉なぁにやってんだ!?
…あっ、あんちゃん何もんだよ」
「私は女です…男じゃなくて女…」
「わっ…悪い、悪い!
あんたがそうかな?
手紙を預かってんだよ…渡しておくわ
…そのなり、ちょっとやめた方がいいぜ?」
「どうもありがとうございます」
街の人たちがレトロチックな建物から出てきたと思ったら、私の方を見て物珍しそうに話を始めた。
いろいろな人たちの視線が怖いけど、それでも手紙を読まないと先に進まない気がして仕方がなかった。
大体書いた主くらいはわかるけど。
それよりもまずここから逃げないとな…。
ここにいる人たちの目…しのぶさんに似ている気がする。
目の形とかじゃなくて視線というか、私を見るときの目つきというか。
ここは忍さんが作った偶像の世界かもしれない。
「こら平吉、そこにいる男おんなに近づくな
この者を探してほしいと頼まれたのだ
さぁ、男おんな我々と共に来てもらおうか」
手紙全部読み切ってないぞ?
こんな時に限って、警察って罰が悪いなぁ。
警察官の制服も私が知ってる制服じゃあない。
警棒だって三段式の伸びるタイプじゃなくて、木製ってか?
どんだけ古いんだよ!?
…待てよ、ここは帝都なんだよな?
これって教科書とかで見る景色ってことはここは…ん?
あれよくわからなくなってきた。
とりあえずここにいる人たちには申し訳ないけど、忍さんをとっ捕まえて元の世界に返してもらわねばねぇってか!
「さぁ来てもらうぞ?
平吉も嫌そうな顔をするなぁ!」
「だって、仲良くなれると思ったのに…」
「平吉くん…また今度会おうy」
憲兵隊である!
「なっなに?
めっちゃびっくりしたんだけど…うわぁ
あっ…えっと…富にぃ?」
「憲兵隊である
この女には、国家転覆を企む組織のものとして指名手配が上がっているのだ
今すぐ尋問せねばならぬ
御同行願おうか…財前瑠香!」
「と…富にぃ?
富にぃだよね…どうしてそんなことを言うの?」
「口を慎まないか、貴様は犯罪者なのだぞ!?」
「この声は…田中3佐…私、犯罪者じゃないのに
なんでそんな酷いことを言うの?」
「お前の持っている武器は我々の方で破壊させてもらう…
来てもらうぞ」
そこにいたのは確かに、富にぃや田中3佐。
そして富にぃによく似た男の人。
みんな昔の軍服に黒い襟の部隊章?って言うのをつけて、腕には憲兵って赤字の腕章をつけていたけど。
私…なんで犯罪者扱いされたのかわからないよ。
なんで…なんで…なんでぇ!
「よく耐えたな我が孫娘
さっきは酷いことを言ってすまない
逃げるぞ…そんな腐った世界から」
ボソリと田中3佐の優しくていつもの声がかすかに聞こえて、顔を上げたらいつのもの3佐の笑顔がぁ。
だめだここで泣いたら、迷惑がかかる。
でも…でも、怖いこと言ってたけど私を助けに来てくれたんだって思うと!
「連行する…皆様のご協力感謝します」
富にぃが敬礼して、私を縄で縛り上げてそのままどこかに連れて行かれた。
連行先はきっとこの世界を抜けるための出口なんだ…。
なんだかんだ言って、富にぃは優しいからさ。
変に疑ってごめ…、だめだ色んな人に見られてる感じがする。
さっきの警官や、手紙をくれたおじさん。
平吉くんだって…そうみんな、みんなが私たちのことを見ている気がする。
「凄い執念だね…さっさと逃げるよ
富くん、わかっているけどこいつら…」
「わかっているよ、でもまずは離れて状況の整理が先だよ
白石幸治少佐…お兄ちゃ…ん…」
富にぃ…今なんか顔を赤くした?
お兄ちゃんってことは、この人って?
瑠香が連れて行かれた先は、帝都…つまり昔の東京になります。
なんで帝都なのかは不明です。
そしてよく見つけたといいたい白石の行動。
「白: 僕にかかればこんなこと簡単ですよ!
ねぇ源一郎様!」
「田: そうなのか」
次回もお願いします!




