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8-8 命をかける

書いていたデータが消えてしまった。

故に投稿遅くなりました。

寝ぼけて消したっぽい



(1605 監禁現場)




「お前さっきの電話で薬だよなんだの言いやがって!

警察来てるだろうけど…ふざけんなよ!

お前喘息持ちなのかよ!」


「最後にあなた方が連れてきた佐伯萌さん…

彼女が喘息持ちです

それに気が付かずによく連れてきましたね?」


「ふざけんなよ…タケルお前喘息持ち連れて来んなよ!」


「知らなかったんだよショーゴ!

隣の教室にへたり込んでやがったからさ!」





犯人も一枚岩ではないみたいだね。

私が電話する前に警察の突入を嫌がって机とか椅子をバリケードにしたのか。

これで出ようにも出れなくするって抑止力も発揮したな。

だけど今この場で搬送したほうがいいのは佐伯さんだ。

顔色も良くないし、吸入器も持っていないみたいだ。

座っているのも辛くなるかな。

マスクと保温性を良くするために毛布も欲しい。

ハウスダストから来るなら換気もさせないと本人にはきついな。

まずは…犯人と交渉するしかない。




「お取り込み中悪いのですが…

佐伯さんと…他に体調の悪い人のことを考慮して

何人か解放してあげてくれませんか?

私は残りますので」



「だめだね!

こいつのこと知ってんだよ、スーパーモデルかなんとかなんだろ?

だったらこいつの親からお金ぶんどってやんだよ!

喘息持ちとかしらねぇよ」


「お願いします

先天性の疾患を持ってる人だって中にはいます

佐伯さんだけじゃないんです

このまま持久戦に持ち込めばさらに重症化する人だっているんです」


「しらねぇって言ってんだろ!

お前ら人質は黙っておけよ!!

うぜぇなぁ楓、こいつ何とかしろよ!」





交渉力なかったかな。

レンジャーの想定訓練中に、情報員に交渉したりして懐柔する訓練もやったんだけどまだまだだな〜。

あの時は飯島三曹が、手本見せてくれたけど情報員のどっかの中隊の助教がなんか癖強かったのしか覚えてないな。

何で語尾にアルーとかスルネっとかアル中カラカラとかわけわかんないこと言ってたんだっけ?

今考えても無駄か…。

それに今は想定じゃない、訓練で経験したことを実践に応用できればいいけど犯人相手だしな。

とりあえず、佐伯さんは寝かしておくか。

枕がないから体操服の上着を丸めて頭に置いて…。

体は冷やさないように足元に制服のブレザーをかけて。



「窓とか開けて換気した方が楽になるかな?」


「うん…換気したら…少し…マシ」


「了解…開けてくるからちょっと待っていて」


「本当に…瑠香ちゃんは…変わって…ないね」


「えっ?」




 

瑠香ちゃんって今言ったよね?

佐伯さんと私…どこかで会ったことあったか?

だいぶ前にあったっきりだし今回2回めだよ。

その前にあった記憶なんてないのに。

佐伯…さえき…だめだ何も思い出せないな。

萌…もえ…だめだこっちでも思い出せない。



「私…むかしは…佐伯じゃ…なかったの

たき…ざわ…萌だったの」


「たきざわ……あっ!」





いたよ滝沢萌ちゃん、白雪保育園で一緒だった。

そうだよ、いつも私のおばあちゃんの事を園長先生って言ってくっついてる子がいるって昔おばあちゃん言ってた。

苗字が変わったから気がつかなかったのか…これは不覚。



「小学校…高学年の時に親が離婚して…

ママに引き取られて…佐伯になったの

ママもモデルやってたから…それで…私も」


「そうだったの…よく本屋で雑誌の表紙とか佐伯さんだったからすごい子だなって思ってたけど

まさか保育園の時の同級生だっただなんてね〜」


「瑠香ちゃんは…今も…空挺団に…行きたいって思ってるの?」


「もちろんだよ、叶う夢じゃないと思うけど

それでも…絶対なってやろうって思ってるよ」




話をしたいところだけど、この期に及んでまだ変に視線を向けてくる奴がいるとはね。

私が何をしたって言いたいところだけど、この人から言わせれば仲良くしてるのが気に食わないんだろうな。

ほんの少し話すだけでも嫌がるとはねぇ。

いい加減そんな屁理屈やめればいいの…ん?

なんだか、あのリョウマって人…不味くないか?



「なんだよ…ずっと…身体中が痛いってか…

なっなんで…髪の毛抜けてんだ?

俺の病気治ったんじゃねぇのかよ!?」






(1615 グラウンド)



「久しぶりだな、皆元気そうでよかったよ」


「「「「「おっ…おっ…おじいちゃん!!」」」」」


「こりゃ、くっつくな…くっつくなこの!」





なんて事だ、ここにいる刑事達に我らが1連隊長がもみくちゃにされているではないか。

第一師団長、財前誠はうらやま死刑だ。

もみくちゃになりながらも刑事さんたちにも愛されるその姿にその優しさ。

これが本来国民に見てもらうべき自衛官像…否、ジェダ





「源一郎様から離れろこの小童ども〜」


「こっちはこっちで勝手に嫉妬してるし

これもう…わかんねぇべな」




刑事さん達が離れ始め、あらかじめ用意されていた大きな図表のようなものを持ってきた。

だが田中3佐は小さな文字が見えないのだろう。

顔を近づけたりしかめ面をしたりして、読解しづらそうにしている。

老眼なのだろうな、いくら往年の人造兵士といえども老いには勝てないか。



「すまん、手元が暗くてよく見えんのだ…

ゆうこや灯りを灯してくれないか?」


「ごめんごめん…テント移動させるから待っていてくれる?」


「ついでにシモカワハルトが梅昆布茶用意するぜ?」


「龍一は…ままど○るを持ってくるよ」


「作戦の展開についてはシマヅマサヒサが教えるぜ」


「おじいちゃんの部下はアサノモトイが誘導したよ」


「すまんなぁ…あい、すまぬ」




おじいちゃんの愛され具合うらやましなぁ。

なぁしてこったに…ほっこりするんだべな?

いやそんな事よりも、まずはこの学校の情報を仕入れなければ。

俺が助けに行くと言い出したのはいいが、つられて何人か外に出てきたようだな。

まずい…下手に動けばこいつら。

コマンド部隊はもうすでに現着しているが、車の中で待機といったところか?





「…財前中将、気がついていると思いますが」


「えぇわかっています

親達が乗り込む様子を見ようと野次馬になりつつありますね」


「どちらかというか…お金は払うからうちの子を優先して助けろ…ですかね?」


「どちらにせよ…俺はあの子を助けに行くだけです」







テントの中で学校内の教室から配管までの青図を見ることはできた。

見た感じは隙のない構造と言えるが、俺から言わせれば隙だらけだな。

真四角の建物の中に吹き抜けのような庭だ。

一件どこからでも隠れても身がバレる恐れがありそうだが…もうすぐ夜間になる。

電気という電気は切られているだろうな。

それに瑠香のいる教室は一番角…対角線上に進みつつ最短距離を狙えばいける。




「犯人の人数は3人、人質の数は41人

そのうち1人は喘息の持病があり…早期に助け出さないと悪化する」


「財前さんで知ったっけ?

まさか…あなた突入するつもりじゃないですよね?

一般人には危険です、我々警察がいます」


「もとい、この方は一般人ではない

警察でももちろんない、我々陸軍の末裔にして

最強の兵科の子孫よ…簡単にはやられんさ」


「えぇぇぇ!?

って事は…陸自さんですか…最強の兵科って」


「空挺団だべな…勝ちも同然よ」


「橘…捜査1課長どうしますか?」


「あなたがいかに優等な空挺団員でも、出張る必要はありません。

警察に任せてください」


「ありがとうな、のぶよし

さて行くとしますか…財前中将

うちの子供達を連れて…」


「わかりました…行きますか」




恩に着るよ捜査1課長殿、わざわざ青図を指さしながら裏口からの侵入口を教えてくれるだなんて。

親達の気は警察が引きつけてくれる。

衛生兵を回しつつ突入経路を探れば簡単にたどり着けよう。

もう少しの辛抱だ






        (1700 監禁現場)



学校の中に何人か忍び込んできたな。

1…2…いや一個分隊分の人数がいるな。

この感じだと…うちの人たちだな。

屋上には警察が配置されていると見た。

喘息のことは伝えてあるから、発煙筒なんてものは投げ込まないと思うけど。




「どうしたって言うんだよリョウマぁ!

お前さっきまで元気だったじゃねぇかよ!

もうわけわかんねぇよ!」


「この症状…まさか」




主犯格のリョウマが苦しみ出して一時間は経った。

身体中が急激に痩せ細り、発熱や倦怠感、脱毛に鼻腔からの出血…。

この症状、いやこれはどちらかと言うと副作用だ。

強い薬を服用したことによる副作用。

この手はやはり…抗がん剤か何かか?

だが急激に現れるものか?

それに寝かせていた佐伯さんの呼吸も荒くなり始めたな。

さっきまでぶるっていた桐生葵さんや看護師コースで勉強している同級生達が佐伯さんを見てくれているのは幸い。

リョウマって人の既往歴がわかれば…そうだ!




「田島さん、この人の知り合いですよね?

過去に何か病気で入院した事とか知っていることはありますか?」


「しら…知らないやそんなの」


「小さなことでもいいんです、何かありませんか?」


「知らない…知るわけないわ

こんな貧乏人の事…知らない」



この人この後に及んで貧乏人だと言ったか?

目の前で苦しんでいる人がいると言うのに。

大切な友人ではないのか?

なぜ思い出そうとしない、だめだ話にならないな。

聞いても無駄だし、今は急患が2人いる。

どちらとも助けなければ、どうすればいい?



「なんで…俺…治ったって…聞いたのに」


「あまり喋るな…何があったのかは後で聞いてやる」


「俺…ガキの頃…ガンになって…院長センセから絶対に治る薬を貰…ったのに」


「ゆっくり深呼吸しろ…無理に話すな」


「俺…死ぬのか?

嫌だ、まだやりたいことが…あるのに

なんでだよ嘘つきやがったのか院長センセェ」


「…酷いな、さっきよりも体が細くなってきている」




       ふざけんなよ!!!!





「ふざけるな…今まで計画してやってたんだよ

勝手に辞めるとか俺は嫌だぞ?

なぁリョウマしっかりしろって!

お前が倒れたら…どうしていいかわかんねぇよ!」


「た…ける…やめ…よ」


「だからやめねぇって!

俺は絶対にやめねぇからな!」


「ふざけているのはお前の方だぞ…

人の命が消えかかっている状況でまだ言うか?

そんなに金が欲しいのか?

自分が良ければそれでいいのか?」



「だからしらねぇって!

お前もわかるだろ?

良いとこの子供かしらねぇけど金持ちだからって俺らを見下して…いつも腹立ってたんだよ!」


「たったそれだけでこんなことに及んだのか?

私も…確かに見下されているとは感じる

だが、犯行に及ぶのは間違いだ

もうやめて、今はこの2人を助けさせてくれないか?」


「なんなんだよお前…なんだって言うんだよ

さっきから飄々としやが…目が蒼い?」








「なんだと思う小僧…この子は俺の自慢の娘

空挺レンジャーになる最強の女子高生よ!」




一気にドアが開く音が聞こえ、薙ぎ倒される机の轟音が響き渡る。

目の前で私に暴言を吐いていたタケルはいつの間にか床に押さえつけられ、吸入器を欲していた佐伯さんの元には薬を持った覆面の男が援助に向かっていた。

リョウマといわれた人物も、覆面の男に介助されている。

と言うことは私は助かったのか?



「遅くなったね、レンジャー財前ようやく現着だ」


「一時間以上の遅刻だよ、急患は2人

あとは異常なし!」


「了解した…警察もこっちになだれ込んできているから

まぁ大丈夫だろうよ?」


「その覆面に合わないな…北海道レンジャーインストラクターって…ナイスゥ!」





周りを見ると田中3佐らしい人がみんなを外に誘導している。どっからどう見ても覆面被った富にぃがショウゴって人を押さえつけてるし。

憲兵っておっかねぇなぁ。

ギターケースの中を沖田2曹と室戸3曹が調べている。

やっぱりギターケースの中には金属バットや鉄パイプが入っていたのね。

佐伯さんもなんとか薬を吸入できてよかった。

付き添ってるのは…村上3曹と向井一尉かな?

同級生達も小野・佐藤士長に連れられて外に出て行けてよかった。



「佐伯…萌さんですね、立てますか?」


「ちょっと…無理です…えっ?!」


「捕まっていてよ…村上さん私が彼女をお姫様抱っこで下まで連れて行きますので」


「あら…あらあら…って、そう言う問題じゃないでしょ!

ってあー、もういないんだからー!」





村上3曹…いや千春ねぇの説教が飛んでくる前に逃げよう。なんだろうな…佐伯さんの顔を見てると保育園の時に色々となんか話したの思い出しそうだ。

少し薬が効いてきたのかな…息が安定してきたと言うか、深呼吸が出来ている様でよかったよ。

階段を降りて…エントランスについた。

教室が2階でいがったなー、階段の数が多いと辛いしな。





「ありがとう瑠香ちゃん、助けてくれて」



「何もしてないよ、まだまだって言うことが身に染みたよ」


「そんなことないよ…えっ?」





なんだ…目の前が急に暗くなった?

それに頭に一瞬で激痛が走ったと言うか…。

足元がおぼつかない、口と鼻の中に鉄の匂いがする。

なんだこれ、手先の感覚が抜けていく。

どうなってるんだ?

私どこかにぶつかったのか?

いやぶつかっていない…殴られたのか?



「萌さんに触るな貧乏人!

お前なんかが…お前なんかが萌さんと釣り合うわけがないんだぁぁぁぁぁぁぁ!」



そうか…私は田嶋さんにな鉄パイプで殴られたのか?

だが足を止めるわけにはいかない。

まずは佐伯さんを救急隊に渡さなきゃ。

体が少しずつ重くなっていくけど知るかそんなもん。

田嶋さんの相手は二の次だ。

だめだ体が言うことを聞かないし、視界が暗いし、手先の感覚がさっきよりも無い。

叫び声が聞こえているけど…気のせいか?

佐伯さんをストレッチャーに載せれたか?

わからない…だけど載せた感覚はある。

今、後ろから振りかぶる音が聞こえた気がする。

佐伯…さんが…あぶ…ね…ぇ。

右腕…前…にした…ら…受け止め…れる…か。




「いい加減…動くなぁあ!!

消えていなくなれよ、貧乏人ガァァァァァァ!! 

ぇっ、あ…目が、青い……ひぃ!」


「オメェ…そったに人さ殴るのが好きだべかぁ?

鉄の棒っこさ持って殴るのがいいのか?

みみっちぃ人間だべなぁ…

んなことすれば…佐伯さんや…みん…なが

な…く…ぞ」







田嶋さんは…腰を抜かしてしまったか?

目の前が霞んでうまく見えない。

だけど…行かなきゃ…リョウマって人が気になる。

佐伯…さんは…搬送された…のか?

わからない…わからない。

ここ…は、どこ…だ。

だめ…だ、何も…感じない…何も聞こえない。

私…は…死ぬ…のか?




「嫌だ…瑠香ちゃん、死なないで!

いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」





誰…の叫び声…わからない。

わからない。


瑠香はガチおこしました。

本人にとっては苦しんでいる誰かを放っておくのが嫌だったのです。

身勝手な理由だったから尚更だったのです。


今日連れ出した犯人のリョウマと佐伯さんの安否は来週に回します


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