8-6 大騒動
久しぶりに投稿できて嬉しいです。
今回は頭をフル回転で書いていってます
(午前8時 練馬駐屯地 即応強襲部隊執務室)
「…今日の連絡事項は……ん?
かっかっかっかっかっ神前ー!!!!
てぇーへんだ!!」
「うっさいねん、室戸
何騒いどんねんな…ん?
神前…神前ー!!!」
「なんかあったんですか、室戸3曹」
「聞いて驚くんじゃないわよ…小野小町
瑠香の空挺団行きが決まったわ
早ければ3月、遅くても4月には入団よー!!」
「えっ…えっ…えー!!」
その日、練馬駐屯地の人たちはうるさくなっていた。
なっていたと言う表現はおかしいがその言葉がぴったり当てはまるくらいにうるさくなっていたのだ。
どう言うことなんでしょうと、私向井和子一尉は思ったのです。
でもなんでしょうこの胸騒ぎは?
「向井一尉聞きましたか、瑠香の事!」
「なぁに千春、あの子に何かあったの?」
「瑠香の空挺団行きが決まったんです!!!」
なんですってえぇぇぇ!!!!!
「源、おまえどこまで知っていやがった!
ちゃんと話せこのバカ弟!」
「なぁした、正明あんにゃ!
いきなり怒鳴り込んだと思えば」
「お嬢が挺進兵になるってことだべ!
おめぇ、知っていて黙ってたのか!
練馬中が大騒動になってやがるぞ!」
「よもや…本当に決まってしまったのか
辞令が今出たということなのか…宥めねば」
「おっおい、ことの真相はどうなんだよ!?
聞いてんのか源一郎!」
「なんか練馬中の空気が騒がしい気がする」
朝のラッパがなり終わり、学校に向かうため紺色のブレザーとスカートといういかにもっていう感じの制服に着替えを済ませ、さぁ今行こうかという時に感じてしまった。
練馬中がざわ…ざわ…とまるでどこか某賭博漫画のような雰囲気に満たされているような気がして仕方がない。
今までこんなにも空気が重苦しい感じがしたことがないというのは嘘になるけどいつも以上にどっしりと重たいというのかなんだろうな。
ホームセンターで買ったギアが変えれる我が愛車を押しながら駐輪場から正門に向かって歩いた。
「おはようございます沖田せ…じゃなくて2曹
おはようございます、佐藤士長」
正門前で立哨をしているのはわたしの大好きな沖田専任助教と佐藤陸士長。
相変わらず不機嫌そうに立ってんなこの2人。
めんどくさそうに89式をチラつかせるのやめてほしい。
「なんやえらい辛気臭い顔して…
あぁ、そうか…ルカにもあの話来たんやったわ
嫌やわ、せっかく育てた妹を取られるなんて沖ちゃんは仕事放棄したくなっちゃう!」
「沖田2曹、気持ちはわかりますが…
瑠香の助、今日は早く帰ってこいよ
大事な話があるだ」
「大事な話…ですか?」
2人の顔が段々と悲しみの色を覚えはじめてきた。
なんかやったかな私?
あ…久しぶりに誰かの心の声が聞こえるような?
この声色は…佐藤士長かな?
本当はまだ早いと俺は思ったけど、これも妹の天命なのかもな。
素質はある方だし、実力を伸ばすにはいいかもしれないが兄貴分としてはなぁ
やっぱり仲間の別れは寂しくなるな
「…早く行け、間に合わなくなるぞ?」
「了! (別れってなんのことだべ?)」
寂しそうな沖田2曹と佐藤士長に見送られながら、学校に向かって愛車を走らせる。
天気が悪くなってきたなぁ。
なんだろう、訳のわからないほどに胸騒ぎがする。
まずいことが起きなければいいんだけど。
(午前8時半 聖高淳高校)
きりーつ、きよつけー。
「みなさんおはようございます
さっそくですが教科書の87ページを開いて」
1時間目は私の大大嫌いな英語の授業。
しかも担当の先生が担任の綾瀬先生というサプライズは正直いらねぇよな。
なんかすごいロックオンしてませんか?
してますよね?
無視して教科書開きましょう。
今日は…えーっとヨダカの星って話だっけ?
『The Nighthawk star
ヨダカの星ねぇ、面白そうじゃないか…ニャンコ』
「!?!?!?!?!?」
『そのまま振り返らずに聴いてね
空の神様からの助言だよ
この後まずいことが起きるからここからトンズラこいたほうがいいよ?』
(だからと言って授業とか放棄できないです!
いい成績取りたいんです…神様?)
『そう…自分の身の危険より学問を取るか
じゃあ一言、ニャンコは間違いなく空の力を使う
後は…親父面してるあいつが助けn』
「神前さん聴いてますか!
何をこそこそしてるの!」
うわーバレたくなかったなぁ。
神様とこそこそ話ししてたらバレたよ。
クラス中のみんながこっちを見て不思議そうにしてるけど、1人ぶるってる人いるし。
確か桐生葵さんだったかな?
頭いいって聴いたし、旧家の人ってのも聴いたし。
そんな事はどうでもいいけど、こっち先生睨んでるしなんて言おうか…。
「えーっと和訳しようとしてました…
自信はありせんが、頑張ってやってみようと…」
「どうせそんなこと考えてないと思うけど
まぁいいわ、次に行くわよ…まったく!」
(あっぶねー、殺されるところだった)
『減らず口の女か…まぁいい
どんな事があっても俺はニャンコを守るから
また後で会おうね…くふふふふ』
(えっ…消えた?)
いつの間にか空の神様の気配はすっかりと消えていた。どこかにいるって言う感覚はなく、掴みどころのない霞のような存在じゃないかと錯覚してしまう。
それにしても不味いことってなんだ?
なんで親父面してるあいつって言ったんだ?
…お父さんが助けに来るほどの何かが起こるの?
でもなんで親父面なんて言ったんだろ?
(第一師団庁舎 師団長執務室)
『そんな神妙な顔してらしくないよ』
「…なんだ、出てきていたのか?
コーヒーでも飲むか…俺?」
『いいの?
…それにしてもどうして暗い顔してるの?』
いつも厳しい顔をしているともう一人の俺からよく言われる。
仕事の都合上、厳しい顔付きをしなくてはならない。
いつも、瑠香や修の前みたいに鼻の下を伸ばし切ったダメ親父のようになるわけにはいかない。
若手幹部の育成に超がつくほどの若手馬幹部共をしばいたりしないといけないからな。
だがそんな気も起きないほど、何か嫌な予感がする。
ずっと引っかかっている何か淀みのようなもの…。
心配そうに応接用のソファに座りながら、俺の方を見るもう一人の…翼者の俺が気にしている。
(いい加減その親父面やめたら?
お前も神兵ならしっかりしたらどうだ
まぁ、化け物に落ちた神兵だったか…
そんな顔をするなら、俺がニャンコをもらうぞ?)
「お前は、この前の挺進兵!」
『確か瑠香に変な力をプレゼントフォーユーした人?
今更なんの用?』
いつの間に、ここに来た?
さっきまでこの部屋の、しかも入口の前でずっと立っていたのか?
いや、そんなはずはない。
オレと話をしている時はいなかった。
いやそんな事はどうでもいい。
父親面だとか言ったが、正真正銘…修と瑠香の父親だ。
それ以上でもそれ以外でもなんでもない。
やめろとか言いやがってふざけるなよ。
その薄ら笑いに腹が立つがここで怒りをあらわにしても意味がない。
「ここにいらっしゃると言うのは…どう言った用件ですか?
いくら我ら空挺隊員の前身の方といえども、場合によってはお引き取り願いますが?」
(今更敬語を話したところで!
警告だよ、もう数刻もしないうちに瑠香の身に危険が迫るよ
助けに行かないと…どうなるだろうね?)
『あまりふざけた物言いはいかがなもの…その目はなんですか?』
こいつの目…そういえば瑠香と同じ空と同じ蒼い目に薄っすらと六芒星の模様が見えるな。
だが瑠香と違う、本来白目の部分が黒いな。
やはりこいつは、伝説の空挺の神ではなく化け物だ。
これ以上我が子たちに近づけさせるわけには行かない。
(近づけさせたくないだって?
笑わせんな…それにあの子は自ら俺の元に来てくれる
あの子が空挺隊員になる事は約束させられた未来なんだよ
お前如きが足掻いたところで未来は変わらん)
「瑠香が空挺隊員になる事は一人の自衛官として父親として応援しますよ…ただ不安なだけ」
(だから親父面するなって言っただろ?
紛い物の父親が…まだ、毛むくじゃらな方は父親らしい面はあると思うが?)
親父面をするなと言うのがさっきから気に食わない。
俺はあの子の父親だと言うのに。
こいつは何がそこまで気に入らないと言う?
…親父面をするな…親父面?
なんだこいつの顔を見ていると、誰かに似ている気がする。
誰だ、誰に似ているんだ?
『一つ質問しますが、どうしてそんなに父親面というのですか?
うちの子供達にどうして固執するというのです?
あなたは空挺隊員の中で神と崇められる存在です
それなのにどうしてそこまで?』
(昔、習志野駐屯地で俺はあの子達と真奈美に出会い未来を託された
そして俺は習志野の地を守ると同時に、あの子達を守ると約束したのだ
あの事件の後、二人をトメ子に預けた挙句、訓練ばかりに勤しむお前など俺は許さん…)
なぜこいつは、義母の名を知っている?
そう言った話をこいつの前でやったことなどない。
それにこいつの顔…まさか、そんなはずがない!
いや瑠香と同じ目といい、修に面影を感じるといい。
いや真奈美ともどこか似ている。
そういう事か、こいつは…。
「面白そうな話をしているのに僕たちを混ぜてくれないなんて、連れないですねー。
ご同行願いますか、挺進兵のお2人方」
(これはこれは、この前の憲兵殿
いただけませんね、ここで南部を向けるだなんて?
向けるならそこの中将に向ければいいものを)
「白石さん、それに田中3佐どうしてここに?」
「色々と手続きがあったもので来たんですよ
まぁ僕はずっと、源一郎様と話をしていたいところですが…三田副検事、書類を渡してあげなさい
くそ挺進兵は僕が相手をしますから」
にこやかに南部14年式拳銃を向ける白石検事。
その横にセミロングヘアでスーツ姿の三田副検事が俺に書類を渡してきた。
ようやく行政系統の手続きが終わったと言うのに。
今度はなんの問題だ…いい加減、親子に戻りたいと言うだけなのに!
「財前陸将も何か感じていたのではないですか?
嫌な空気と言う物を、形容し難い何か淀んだ空気を」
「田中3佐…あなたも感じていたのですか?」
「えぇ、それが何かよくわかりませんが…
そういえば、神前は今日の昼に帰ってくると話していましたが遅いですね」
まさか、もう何か起きるとでも言うのか?
無事でいてくれ…瑠香
(午前12時 聖高淳高校)
「……うわぁ」
「…嘘でしょ、これは流石にないわ
瑠香…大丈夫なの?」
「紗香ちゃん、まさかここまで酷いだなんて
佐伯萌ちゃん…どうしてこんなに変わってしまったの?」
「まぁ、官品に手を出さなかっただけ許すかな
身分証とか、身分証とか外出証とか」
(( えっ、そっち? ))
体育の授業が終わり、昼で学校が終わると聞いていの一番に帰ろうと教室に入ったわい。
なんだか机とかが汚れて、教科書とかノートが面白いことになってたのはなんだかレンジャー課程の最初の頃を思い出します。
レンジャー課程の方がもっと荒らされたなー。
だからかな、可愛く感じるよね?
身分証はカバンの奥底に入れて無事だったから良しとしよう!
「気に入ってくれましたかカンザキルカさん?
貧乏人のくせにでしゃばらないでよね?」
「田嶋…楓さん…でしたっけ?」
「あら、私の名前覚えてくれたのね?
まぁいいけど、そんな事より貴方を此処から追い出す事が決まりそうなのよねー
それが嫌なら、萌さんにこれ以上近づかないでくれる?」
「ちょっ…瑠香ちゃんが何したの!?
この前、ちょっと話をしただけじゃんか!
変なこと言わないでよ楓ちゃん!」
「いつから、貧乏人と仲良くなったのえみり
貴女も元は萌さんのおかげでこうやって学校生活を送れたのよ?
それなのに…こんなのと」
「そんな!」
「まぁいいわ…アイザワサヤカだっけ?
こいつを追い出すから手伝ってくれる?
二流なら私たちに尽くしなさい」
「なんですって!」
教室の外から私のクラスメイト以外の人たちが楓さんと同じように出ていけだの、バイ菌だのなんだのと言ってくるなー。
そんな暇があるなら、家帰ってクソして寝ろよ。
ここでうるせえって言ったら、火に油注ぐし父にも怒られるし、めんどくせ。
本当にギャーギャーうるせぇなぁ、空港で俳優の出待ち待ってるファンですかってこのヤロー。
本当にうるさすぎて草超えて森。
田島さんもなんかずっとニヤニヤ笑うし、なんかもうこっちも面白くなって来たよね。
「やめるって言うなら、喜んで辞めさせてあげるけどどう?」
「えっ?
ごめん、周りがうるさくて聞こえなかったんだけど?
私が学校辞める話だっけ?
私辞めないから、三年間ここの高校で頑張るから」
何こいつみたいな顔してるけど、こっちが何こいつだよ!
さっきからずっとモヤモヤするな。
なんだこの嫌なモヤモヤした感じ、誰かがこっちに向かってきているような。
人間じゃないという言い方はおかしいけどこの感じはひとじゃねぇ。
翼者とはまた違う感じがするというか…まさしく翼者と人間の間のような感じがすごくする。
ここから離れさせないと、まずい…なんて言えばどいてくれる?
いやその前に、逃げろと言ったところで田嶋さんは動くわけねぇよな…。
「盛り上がってるところ悪いけど、お前ら金持ちなんだろ?
ちょっと人質になってくれないか?」
こいつがそうだったのか。
だらしなく着た黒い学ランの金髪ヘア。
目つきはやけにつり上がっていて、筋肉質だけどとってつけられたような人の持ち合わせている筋肉質とはどこか違う雰囲気。
武装した学ランのお仲間の、二・三人とは違う。
こいつもしかして、翼者なのか?
「…あれ、楓じゃん!
久しぶり、そういやお前も金持ちだったよな!
すげぇな、こんな所でお嬢様かよ!
まぁいいや、お前も今は人質だな」
「りょう…ま…なの?」
「そんな顔すんなって!
まぁ、せんこー来るまで楽しもうぜ
こいつらお嬢様とか息子様とかがびびる姿見てみたいしな!」
(午後13時 練馬駐屯地 正門)
「なんでうちの娘は遅いねんな!
今日は早よ帰るって言ってたやんか!
もうすぐ俺交代してまうやん!
帰ってきた瑠香見られへんとか沖ちゃん泣いちゃうわ!」
「なんでだよ!
別に泣かないでしょうよ!
と言うかいつの間に娘になってたんですか!」
「だって考えてみぃや、佐藤渉ぅ!
田中3佐はおじいちゃんやろー
向井一尉はお母さん…お父さん枠俺やで?」
「なんでそう言う事が導き出せるんですか!
…それにしてもやたら遅いですね?
財前師団長がずっと正門の詰所にいるので…なんかな」
「師団長を睨むようにうちのおじいちゃんが詰所に来とるやんか
ほんまになんかあったんとちゃうか?」
門番をしている沖田2曹と、佐藤士長が俺を怪訝な顔で見てくるのはわかる。
心配しすぎたと、田中3佐が言うのもわかる。
だが俺の胸騒ぎが度を超えて高くなっている。
何か嫌な事がもうすでに起こっているのではないかと不安で仕方がない。
瑠香…無事で…!
「るっちゃんから電話だべぇぇぇ!!
もしもしるっちゃん、お父さんだべ!」
『おっお父さん…ごめん私、帰り遅くなるかも…
いや、なんか人質になってしまった』
「……え、ヒトジチニナッタ?」
『身代金…要求されてるんだけど』
どうしたらいい?
ファーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
瑠香の空挺行きの話が正式的に出ました。
辞令は突然に…
しかしなんかまずいことも起きました!
さてどう倒していくのか見ていてください!




