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8-5 あの日の出来事

しまったそろそろストックが切れる!

くそー!



だがそんな幸せも長く続かなかった。

俺が3佐になりたてで瑠香が小学一年になる前の秋ぐらいだったか、あの事件が起きたのは。

あの日本当は休みだったんだが、急に呼ばれてな。

くだらない内容かと思えば、訓練生がバイクで単独事故を起こしたとかなんとかで行かざるを得なくてね。

3人で玄関まで見送りに来てくれたんだよ。





「父さんどこ行くの?

 るっちゃんも一緒行きたい!」


「ごめんな、父さん今から仕事さ行かねばねぇ

家でみんなで待っていてくれる?」


「…じゃぁ、出来るだけ帰ってきてね!」


「瑠香だめだべ…お父さん困らせたら

お父さん…お土産買ってきて、俺チョコモナカがいい!」


「るっちゃんはバニラモナカ!」


「じゃあお母さんは、チョコとバニラの両方かな?」


「ま…真奈美…あの、遠慮って言葉知ってる?」


「ん?

バイオハザードやりたいって?

夜中になったらやってね、二人に悪影響だからね」


「この前しれっと二人が起きてるのにバイオハザードやってたのは誰?

怖くて俺に飛びついてきたのは誰?」


「…誰のこと言ってるの?

えっ、私の後ろにお化けいるの…やめてよー!」


「「お父さん…やめてよ…うぅえーー!!」」


「いないってば!

わかった…わがったから!

すぐ帰ってくるし、アイス買ってくるから待っていて!」






3人とも今流行りのぴえんって顔して俺の方を見てたからな、謝り倒してそれから家を出たんだ。

駐屯地について部下の様子を見に行ったらけろっとしていて、単独事故ではなくただのガス欠だったんだ。

怪我もしてなくてな、若い陸士のバカがやった事で軽く説教してアイスを買って家に帰ってきた。

だが何かがおかしいと思ったんだ。

いつも静かなはずの家がなんだか騒がしく感じたというかな。

家の前のドアを開けようとしてドアノブに触れた時、ドアが空いたんだ。

行く前に鍵をかけたのは確認していたからこそ、嫌な予感がしたんだ。

空いたドアの隙間から臭いがしたんだよ、間違いなくあの臭いだって感じた。





「血の匂い…まさか!」



玄関を抜けてすぐにリビングがあって右手には寝室があっただろ?

ふすまの所から真奈美の足が見えた時、身体中の血の気が引いたんだ。

真奈美に駆け寄って止血をしたが出血した量が多すぎて…あとは何が言いたいかわかるね。





『…想定訓練の時に色々と夢を見たんだ

お父さんがお母さんの止血をしていた所も叫んでいたところも』


『俺も覚えているよ、親父が必死になってお母さんを助けようとしたことも何もかも』






そうだな、絶対に助けようとしたが結果は叶わなかった。

いつも悔やんでも時間は帰ってこないとわかっていてもずっとどこか心の中で否定している自分が今もいる。

あの時、もう一人の…翼者としての俺を家に残しておけば何か結果は変わったのではないかと。

そして俺は決意したんだ、己の心の中の澱んだ何かがそうしろと、やってやれと叫んでいた。


  



「なぁ…もう1人の俺、力を貸してくれないか?」


「わかってる…なにをしたいのか

どうしたいのかも、俺も協力する…絶対に!」


「俺たちの中で決めた契約を更新しよう…

俺の命と引き換えだ…あいつらに復讐する力をくれ!」


「命はいい…俺が欲しいのは誠…お前と共に生きていくこと

復讐しよう、あいつらの全てを潰してやろう!」




その後すぐにか、お前たちがふすまの中で泣いていたのを見つけたのは…。

そして警察がきて色々と慌ただしくうごいて、葬式が終わってお前たち2人を千葉のおばあちゃんの家に預けたんだ。

休みの日は一緒にいてあげれたが、俺たちの周りにあいつらの影が…光の楽園の魔の手が彷徨き始めた。

真奈美の次は俺を狙うかと思ってあえて俺は2人から離れたが、それも後悔している。

大事な時にいてやれなかった最低な父親だよ。




「そして修は中学を卒業したと同時に工科学校に行ったんだよな!

驚いたよ…でもなんで防大に行かなかったんだ?」


「……えっお兄ちゃん、工科学校ってまさか」


「そうだよ、親父と同じように工科学校に行った

防大まで行く気になれなかったんだけど、次の幹部の試験受けようと思ってるし」


「「…………えっ?」」


「えっ、ダメなの?」


「幹部なるのか修?

……よし、お父さん職権濫用し


『職権濫用って最低!』


るっちゃん、大丈夫…しないから!」


「でも親父も色々とあったのは知ってるよ

守ろうとしてくれてありがとう」


「本当はずっと寂しかったけど、もう大丈夫だよお父さん

もう大丈夫だからね、ありがとうお父さん」





だけど私、神前瑠香改めて財前瑠香は気づいてしまった。

お父さんは翼者の方の父を発現させることができると言うことは実の所、幽○紋…つまりスタン○使えるんじゃないかと!

実際そうだ、こうやって翼者のお父さんはさっきまで靴磨いてたけど今はお湯を沸かしているし、この前のお墓参りの時もみかん食べてたし。

つまり私の父、財前誠はスタン○が使える。

聞きたいけど、聞きたいけど!





「なぁ親父、いつからスタン○使えるようになったんだ?」


「おっ、お兄ちゃん!」


「ふふふ、2人とも気が付いていのかな?

…そうか、勘のいい子供は、大好きだ」


「しまった…瑠香にげるz」



この日私は気が付いてしまった。

そして逃げようとした時にはモフモフの高級羽毛布団のような羽根に包まれて逃げられなくなっていた。

その後私たちがどうなったかを知っている人はいない。





あの日の出来事、つまり誠視点で見た時間のことです。

自分が離れた隙に…という事です。

一番残酷な話です

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