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1ー5 宣誓

もう直ぐ秋ですね。

私のいる地域は風が強くて敵わんです

私の腹の底の思いは決まっていた。

正しいとか過ちとかそんな事はどうでもよかった。

ただ単に、守りたちものがあるということだけで気持ちは固まっていた。


そういう表情で医務室の前を歩いていたからか

そこにいた自衛官の人たちがそうかと言いたげに私を見ている。

不思議とその目線からは侮蔑のような感情は見えない。

病室に戻った時、後ろからついてきていた田中さんが眉をひそめてため息をつく。





「本当にこの道に来るんだね?」






なんとなくこの言葉で察しがついた。

田中さんはこの世界、つまり自衛官という道に来て欲しくないと言いたいのだって






「神前さん、この世界はいい事だらけではない。

疎まれ、忌み嫌われ、そして除け者にされる。

日の光を浴びることなく、そして茨の道を歩くことになる。それでもいいかな?」




引き返すなら今だよと言っているようで。

理想と現実はどの世界でも違う。

自衛官というならそれ以上かもしれない。

それでも私の中の踏ん切りは付いている。

誰かを守りたいという思いも。



「どんなことがあっても私は…引きません!

負けたくないです!!」


「それが…その言葉が仇となってもかい?」


「もう私の中で決めました。弱く守られる自分と戦います!」


「あいわかった! なら私もその覚悟の元で神前さんを指導しよう。だかその前に我々の前で誓約を立ててほしい」




誓約?

一体何をするんだ?

働くという経験をした事がない。

何か紙にハンコを押すとかそんな事かな?

だとしたら富にぃからハンコ借り…

隣にいる富にぃの顔が少し硬い。





「神前さん。君にはこいつを読んでもらうよ」




紙に書いてあったのは難しい文章で、しかも誓約書と言うには田中さんの言うように強すぎる覚悟がいる様な中身に見える







『私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。』







「田中さん、これはなんですか?」


「こいつは、自衛官になると言う宣誓だよ。会社でいるところの契約書みたいなもんだな。」




ことに臨んでは命を顧みず



私の中で覚悟はついたのにこの言葉に対して

少し恐怖が体の中を駆け巡る

少し甘く捉えていた自分がバカだと感じる

それくらいに重たい…

だからこそ自分も誰かを守ることができる





「その文章を読めるかい?神前さんは本当に出来るか?」


「できます。やります!」


「…ふふ。まるで昔の儂をみているかのようだ。

苦楽を共にしよう。よろしく頼むぞ神前さん」




書面の下に小さく名前を書き印鑑を押した。

周りから見たら軽はずみだと怒られるかもしれない。

いや、きっと怒られる。

特におばあちゃんにはとてつもなく怒られるだろうな。

でも関係ない。

後でごめんなさいって言わないとな。

お母さんの、仏壇にも……




「書けました。」


「よし…正式に神前さんがこっちに来るには少し時間がかかる。まぁ少しずつ個々の生活に慣れていってほしい…。無理はするな」



よくテレビで訓練の風景の特集を、時々見ていた。

この時の印象はただただすごいとしか言えなくて。

今から少しずつそんな世界に入るんだ。





頑張ろう。

もしかしたら、ここに入れば空を飛ぶって言う夢が叶うかな

なーんてね。


















「瑠香に、おれは少し嘘をついた。

つかざるを得なかった。

今から少しずつ、過去の何もかもを溶かしていこう。

だから、もう少しだけ待っていてくれ。」


宣誓の部分はウィキ頼って引用しました。

此処から本編に入っていきます。

漫画やテレビ特集、雑誌といった内容から今から始まる瑠香の訓練状況

田中3佐や大島1曹(財前陸将)が織りなす環境を見てください

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