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8-2 もう一人の父と再会からのお墓参り

お久しぶりです

通信制限かかりました!


さいあくだぁ!

今午前4時半、私神前瑠香は起きていた。

後一週間もしないほどで私の苗字は母の姓から父の姓に切り替わる。

そんな事はよしとして、この悶々とした時間帯を切り抜けるべく私は早起きをしたのである。

兄の財前修は昨日の夜に帰ってきて、風呂に入ってとんでもないものを見つけたと私に告発してきた。

告発したい内容は教えてもらえなかったが、母の墓前の前で暴露すると息巻いていた。

そんな事を何も知らない我が父である財前誠は、私たちが家に帰ってきたと喜んで夜6時から12時まで深酒をし潰れている。

そんなバカな父の姿を見ている兄妹に亡くなった母からミッションを受信した気がした。





『財前誠を起こしてほしい』





思えばつい先日、母のお墓参りに行こうと父が私たちに話をしていたのだが母が眠る霊園は千葉まで行かないと行けない。

いくら東京の交通状況が良くても渋滞をすれば意味などなく、祖母の家に行こうと言ったのは父である誠である。

早めに支度するぞと言った張本人であったはずのこの男は酒のせいでずっとヒグマの如くいびきをずっとかいている。

そんな男に我々はついに天罰を下す事にした。

私は父の枕元に正座をして座り、兄は寝室前の廊下の電気をつけ仁王立ち。

二人揃って洗い立て且つアイロンかけたての迷彩服を着込みさぁ準備は整った。

レンジャーはラッパよりも号笛の音で目を覚ます…。

久しぶりに聞かせてやろうじゃないか、幹部レンジャー課程での記憶を呼び起こすといい!



ビィィィィィィイ!!




「起床、起床ぉぉぉぉ!」


「うわっ、うわ…あっぅゔあぁぁあ…は?」


「ちゃっちゃっとやれよオメェよ!

1分で準備しやがれ!」


「レンジャァ!

……もう二人とも起こし方…もー

二人が…子供の時に…同じこと…したの思い出した………」



「あれ、寝たの親父?」


「二度寝したっぽい」




この結果から、例え号笛を鳴らしたところで父は起きず、二度寝を決行するという暴挙に出た。

次に考えた作戦は兄の提案だ。

だがこの作戦には大きな代償を払いかねない。

ここは父の家といえども借家d





「もう起きたよ、二人とも

本当に、子供の頃から変わっていなくてよかったよ

……俺酒臭いから、風呂入ってくる」



そういうとスタスタと風呂場の方に歩いて寝室から出て行った。

そんな父の後を追うかのように、アルコール特有の匂いがツンと鼻をかすめていく。

アルコール特有の匂いが昔からあまり好きじゃないけどこんなにキツく感じるのもいかがなものかな。




「証拠…隠滅されかねないかも」



「しょっ…証拠って何?」


「見たんだよ、風呂の排水溝の蓋を開けた先にあったものを

まさかって思ったけどさ、風呂の中に四角い鏡があるっしょ?

あれずらしたらさ、母さんの写真があってそれで確信した」


「まさかって、まさか?」


「きっと風呂で、父さんは迫撃砲を撃ったんだべ」



その真実を聞いた私たちは、千葉のおばあちゃんの家にいる。

久しぶりにおばあちゃんの家に来たのはいいけど何か落ち着かないのは、そこに迫撃砲を撃った父親がいるからだな。

どこか落ち着かない気持ちで、おばあちゃんと一緒にこたつの中にみんなでだべっている。



「それにしても修も瑠香もすっかり凛々しくなって嬉しいわ

誠君も元気そうで良かったわ

真奈美も見ていたら…きっと…」


「いきなり押しかけてすいませんお義母さん」


「いいのよ、こうやってみんながいる方が嬉しいもの

そういえば、あっちの誠君も元気なの?

しばらく会ってなかったからねー」



「あっちの誠君?

おばあちゃん…あっちの誠君って誰?」


「そうねぇあなた達2人は小さい頃にしか会ってないからわからないかしらね?」


『俺のことだよ、るっちゃん』



声がした方を見ると顔つきはどこかお父さんだけど、少し目がつり上がっていて、虹彩の色が赤く爬虫類のような鋭い瞳孔がチラリと見える男の人がいた…。

わたしの記憶が間違いじゃなかったら大きな翼が生えてましてですねぇ…あっ小さくなっておりますねぇ。

全身は黒い羽で覆われ…髪も右目が隠れて左目だけこんちはして……。

やっぱりお父さんみたいな顔してる。




『いやー寒くなってきたね

お義母さん、ご無沙汰しています』


「そうねぇ、真奈美の葬儀の時からあってなかったものね

あなたも元気そうなら良かった」


「ばぁちゃん、翼者(こっち)の父さんいつから面識があったんだよ」


「2人が結婚する時からよ修君

その時、貴方達のおじいちゃんもいてね

事情は色々と知ったから信じざるを得ないっていうのかしら

今でも思うわ、真奈美の結婚相手が誠君で良かったって」


「『いやー…それほどでも…ふへへへ」』



2人同時に反応すなし!

なんて思いながら私はこたつの上にあるカゴの中のみかんに手をつけていた。

みんな1人一個ずつ食べてるのに、私はとうとう10個目に突入しようとしている。

翼者の方のお父さんに食べ過ぎだべって顔で言われてるけど気にしない。

そんなこたつのある部屋の隅に小さな仏壇があって

お兄ちゃんに冷ややかな目線で見られつつも手を合わせた。 



「さてそろそろお墓参りに行きましょうか

…瑠香、みかん15個は食べすぎよ

手が黄色くなってるわ」


「みかん中毒だぞ〜」


「墓参り…置いてくぞ

いいのかな…るっちゃん?」


「あっはい、すいませんでした」



おばあちゃんの家から車で30分ほどに、こじんまりとしたお寺さんがありそこにお母さんは眠っている。

お墓の周りや墓石を綺麗にして、最後はみんなで手を合わせて家族がようやく揃った事を心の中で報告した。

長くお墓参りには来れなかったし、こうやって家族で来るのもなかなか時間などなかった。



「みんなで来れて良かった…

次はいつ来れるかな、またみんなで行きたいね

お母さんに会いに…」


「お母さんだけじゃなくてひいおばあちゃんもここに入るけどね

みんなで来れたからいい挨拶になったんじゃないか?」



「また休みが被れば絶対に来よう

さて帰るべ…もうすっかり冬だ

久々にみんなで昼飯食いに行くぞ

なんでも好きなもの行っていいぞ」


「回らない回転寿司に行きたいです」


「修は、まず日本語なんとかしろよ?」


「じゃあ回らない回転寿司に行きたい」


「人の話聞いてたか?」


「本当に変わらないわね…おばあちゃん安心したわ

あらやだ、そんなにお墓を眺めて瑠香どうしたの?」


「ねぇおばあちゃん、お墓の横に名前書いてるとこあるっしょ?

この…神前忍って誰?」


「この人はね…おばあちゃんのお父さん

瑠香のひいおじいちゃんよ…」


「へぇ…ひいおじいちゃん」



墓石の横に刻まれた数字は昭和20年と書かれていたって事はこの人まさか。

墓石に記された年代は大体にして戦争のあった時代だし、田中3佐や富にぃが現役で戦争に行っていた年代の後半ってことになるのか?

その時に死んだって事は…。



「おばあちゃんのお父さんはね、戦争に行って亡くなったのよ

戦争が終わってから、おばあちゃんのお母さんに聞いたのすごい兵隊さんで、特別な部隊で頑張っていたんだって」




すごい部隊か…どんなところなんだろうな。

そういう歴史を知れば空の神様のこともわかるのかも知れないな。

遠くからお父さんの声が聞こえる。

声の方にはお兄ちゃんとお父さんが車を駐車場から出してきて私たちのいる少し高台の道から見下ろしている気がするけど知らん!

今日は回らない回転寿司に行ってお父さんの財布大破させてやる!

さっきから歩いてるけどおばあちゃんがついてきてな



「おばあちゃん…どうしたの?」


「…今ねお墓の方を振り返ってみたのよ

そしたらねお墓の後ろにお父さんが…瑠香のひいおじいちゃんが立ってる気がしたのよ

きっと、見間違いね…さぁ回らない回転寿司に行きましょう」


「お…おう」



さぁぁぁと音を立てて木々が冬の風に揺れている中に私も聴こえてお墓の方を見てしまった。

風の中に混じってどこか聞き覚えのある声でトメ子と聞こえた気がした。

声の方に目線向けるとお母さんの眠るお墓のすぐそば立っていたのは、白装束とは違う白っぽい服を着た男の人だった。

にこりと彼は微笑んでまた風と共にすうっと消えて行った。

お墓参りに来た私たちを見送ってくれたのかも知れないけどまぁいいや。




『トメ子…来てくれてありがとう、お父さんは嬉しいよ

修も瑠香も、昔と比べて大きくなったね

瑠香…次は習志野で待ってるよ

でもその前に最悪が降り掛かろうとしてる…

我が身を持って守らねばなるまい』


お母さんのお墓参りができてよかったね

最後に出てきた男の人は誰でしょうか?


ではまたよろしくお願いします

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