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7-5 力をコントロールせよ!

もうすぐ十二月です

なんか寒いし、雪ちらつくなーって思ったら寒かった。


今年も北の大地に雪が降りそうです。


「これから田中3佐が神前を特訓する!

昨日の夜に翼者に襲われたと聞き、今後襲われた場合はお前の雷で迎撃する!」


「レンジャ!!」



「レンジャーの事は今だけ忘れていいぞ?

今回皆の協力で特訓ができるから、専念するように!

あの…財前陸将なんできてるんですか?」


「娘が頑張っているのに父親が来ないでどうする!

俺は特訓が終わるまで筋トレするからな!」




冬が始まる前に、私は体育館で即応のみんなと特訓を始めるんだ。

今回の特訓は、座っている私の周りに複数の携帯を充電させること。

出来れば体から雷を発生させてコントロールする。

のはずなのにいるのよ…財前誠(オッパッピー)

仕事があるはずなのにほったらかして来たかな?




「して、財前閣下…なして上半身裸で迷彩の細袴(ほそはかま)、いやズボンを履いてるのですか?」


「よく聞いてくれた!

空挺レンジャーは己の肉体を曝け出す事で強くなる!

つまり我が体を覆う筋肉をさらけ出すことこそ、真のレンジャーへの近道となる!

下まで脱いだらセクハラになるから上だけ脱いだ!」


「おめぇの父ちゃんどうしたんだ瑠香」


「ほっとくか、修3曹よんで仕留めてもらうといいです」


「るっちゃん、後で師団長執務室に来ようか?」





絶対行かないし、連行されようものなら逃げる。

なにこの過保護な父親って。

そもそも季節が冬になるのに、上半身裸で見ていて寒いし痛いんだけど?

それに仕事サボってこっち来ましたドヤァって顔に堂々と書いて腹立つな。




「じゃあ神前、まずはこの前の課題をここでやってみろ…

皆、携帯を充電器につないで神前の周りにおけ!」



コンセント部分を渡されて、携帯が刺さってあることを確認してよっしゃ電気を流すか!

まずは深呼吸して、体から電気を発生させるイメージを持つ。

最後にゆっくりと電気を携帯のコンセントに集中させて…。




「充電しはじめたなー…やべぇ彼女からL○NEきてたし!」


「小野…お前佐藤という男がいながら、彼女だって!?」


「お前キモいんだけど、彼女くらいいいだろ?」


「うらやま、あっ俺もAma○○からメールきてた」


「あんた達、前もってメールを確認なさい!

私なんか子供からメール来て、お父さん嬉しいわ!」




「私の特訓の意味ってこれあったの?」


「瑠香、特訓とか訓練って何か意味あるのこれ?

っていうもので成り立つから仕方ないのよ」


「千春ねぇ…悲しいね」


「猫動画…猫の動画

ダウンロードしてる途中で電池切れそうだからよかった」


「健太にぃ…ではなく飯島3曹は本当に猫好きですね」


「ニャンコのツンデレ具合が好きなんだよ」





特訓の意味は実はないというか、みんなの携帯の充電スポットになってるというか。

これも平和的な利用でいいな。

自衛隊限定で充電スポットになるっていいな。

そういや和子ママの携帯…最新のiPhon○じゃないですかー。

和子ママもご家族さんからメールきてる。





「あら琴音からLIN○…今日はバイトだから夜遅いのね

…夜道は危ないから気をつけてね…っと

あっ、声に出てたかしら?

向井一尉はね、本業はお母さんで副業が自衛官よ」


「お母さんが、本業ってうける!」


「おや花世(かよ)から…

どれ、福島(ふぐしま)に行ったべな?

いがったなー」


「カヨさんって誰ですか?」


「オラのめんこい3人のひ孫の長女だんべ」





みんな、なんか家族がいていいな。

うちもいるけどさ…目の前にヒグマがこっち観てニヨニヨしてるし。

ヒグマ、いい加減仕事しないと怒られるよ?

でも、見てもらえるとなんだか嬉しい様な照れくさいような…。

でもずっと腕立て伏せしながらこっち見るのやめてほしい。





「よく頑張った、ご褒美にアイス買うべ!」


「うっつぁし、少し静かにしさんしょ!

…さて神前この前、暴走の原因は何かわかるか?」




あの日、翼者に練馬が襲われた日。

私は沖田2曹や襲われた人たちを守らなきゃ・守らなきゃって思い込んで、いつの間にか孤独になるんじゃないかって不安になって暴走したんだ。

それに、この力がとてつもなく怖かった。

本気で誰かを殺すくらいの力を持っていたって…。






「悪いが今から行う訓練は、暴走した原因をもう一度蘇らせる

お前を幻覚の中に落とし込むぞ

辛くなったら言え、無理強いをする訓練ではないからな」


「…レンジャ!」


「携帯は退避させたな?

行くぞ、浄化炎…円形陣 火鏡(ひかがみ)




すごい、私と田中3佐を中心にして半径2メートルの円柱の青い炎が上がってるけど、熱気はないし怖くない。



「皆、俺の目を見るなよ!

お前達まで幻覚に飲み込まれるぞ!

さぁて、可愛い我が瑠香よ…いいか?」




無限…睡夢




田中ジィジの左目がなんか綺麗だな〜。

月みたいに薄白くて菱形の模様が瞳孔の周りをぐるっと囲むように、1、2…16個あ…。




「えっあぅ、あ…ぐ!」



なんだこれ、体の感覚がおかしい!

どこが前か後ろかわからない!

今は私はどぅなって…今あの日にいる。

目の前で沖田2曹がやられて、みんなが泣き叫んでる!

助けなきゃ…助けなきゃ!





「あぅ…あっあぁぁぁ!

がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」





ゴォォォォォゥ!!





「田中3佐…今どういう状況だ!」


「神前は翼者強襲事件の沖田宏人や練馬が傷ついた日を幻覚上で見てます

その時に雷を発生させて敵に攻撃しようとしてるのです

下手に近づくと財前陸将もやられますよ?」




助けなきゃ…みんなを助けなきゃ…。

でもここはあの日じゃない、みんなと特訓をしている練馬駐屯地でここに翼者はいない。

そうだよ、こんな所で暴走したらダメだ!

私は、みんなを守ったんだ!

負けてたまるか、体に雷をまとわせてやんよ!




「がぁぁ…ゔゔぁぁぁ」


「なんと、自分の意思で抑えているのか!?

小さな特訓の成果か、少し成長できたようだ

……貴様、いつから瑠香のそばにいた!」




『本当にそれで満足しているの、瑠香にゃん?

それはただ力を抑えているだけだ

俺が止めてあげるから、もっと出してみて?』



「ゔゔゔゔぁぁぁぁ、がぁぁぁぁあぁ!!!!」



「お前…お前が空の神と言われているやつか…

お前、空挺隊員の前身の挺進兵!

そんなお前が我が娘に何をやった!」

 


『あんたらじゃ、この子の力を押さえつけるだけだ…

それじゃあ意味がない…さぁ解き放ってごらん

相手は瑠香のお父さんと、田中少佐がしてくれる!』




かみさま…力、解放する?

いやだ、みんなを傷つけたくない。

でもこのままだと、またあばれちゃう。

力がワキアフレテトメレナイ!

たすけて、たすけて3佐…たすけてお父さん!




「気をしっかり持て瑠香!

あの日、お前が助けた仲間を傷つけるな!

ここで踏ん張れ、潰れたらダメだ!

即応のみんなの声が聞こえないか!」


「挺進兵ぇそこにいろ、貴様の根腐った根性を叩き直してやる!」


『くふふふふはははは!

これでいい…空の子の力は誰にも止められない!

やはり、修以上の力じゃないか!

さぁもっと俺の与えた力を解き放て!

…あれ、瑠香にゃん?』




ワタシハ…ミンナを守った。

守れたからエミリチャンニ会えた。

ここで暴れたら…ここでノミコマレタラ私は。

わたしは…元に戻れなくなる!

そうなったら…誰も助けられない!

夢にまで見た空挺隊員になる事も叶えられない!

飲まれてたまるか…やられてたまるか!






「ゔぅぅぅぅ…わたしは…負けない!

まけない…まけてたまるがぁぁ!!」


「瑠香…負けないで!

あんたは強い、そんな力に屈服されない!

そうじゃなきゃ沖田さんを守れなかった!」


「瑠香が負けたら、健太にぃは許さんからな!

鎮静剤じゃなくて、筋弛緩剤うつぞ!

お前のレンジャーとしての想いはそれだけなのか!」





みんなの声が聞こえる、やっぱりわたしはひとりじゃない!

何悩んで、怖がってんだよ

またみんなと訓練して、笑っていたい!

えみりちゃんからもらったお守りの手紙を読んで思ったろ?

いつもありがとうって言われて嬉しかったろ?

訓練がんばろうって思ってたんじゃねぇか!

学校に行って先生にボロカス言われた時、味方になってくれた紗香になんて言うんだよ!

紗香も似たように悩んで一緒に笑い合っただろ?

今暴走すれば全部破綻して、本当に一人になる!

この力は優しいことのために使いたいんだ!





「えみりちゃん…わたし負ける所だった

紗香…挫けるところだった

まけて…挫けて、たまるかってんだぁぁ!!」




ゴゥゥゥゥゥゥ…




『瑠香にゃん…力を制御しはじめている

溢れかけていた空の力が一つにまとまっていく

最高だよ真奈美、見ているかい?

瑠香は確実に強くなっているぞ』



「挺進兵ぇ貴様そこにいろ

切磋琢磨してから叩っ斬ってやる!」



「なぜ真奈美を…亡くなった俺の嫁を知ってんだ!

勝手に消えんなよ…洗いざらい吐いてもらうからな!

…瑠香、その姿はなんだ?」






すごく心が静かだ、雷も暴れていくこともない。

それにこの前以上に、視界が快晴の空の色と同じくらいに綺麗だし体が軽くて気持ちがいい。

そうか、原因は暴走してまた一人になると思い込んで怖かったからか…。

でも違う、私は一人じゃない。

力を使ってもみんな怖がって拒絶なんてしなかった。

そうだよ、なんで気がつかなかったんだ!

今ようやく、克服できた気がする。




「私、私やりました

力を抑制することができました!」


「…お前は力の抑制するのではなく、順応させる方法を土壇場で覚えた

だから暴走することなく適応し雷を体に纏わせていられる

さすが儂の孫娘だ」


「やった…んだ」




意識が遠のいていく。

でも怖いとかそんなことないや。

みんなの声が聞こえるけどだんだん遠くなってきた。

何かがまた、空に登っていく感じがする。

ごめん、おやすみなさい。




「よく頑張ったね瑠香

今はゆっくり休んでくれ

挺進兵…お前のことを洗いざらい聞かねばな」

主人公は力を本当にコントロールできたのでしょうかね?

そこは追々見ていきましょ!



ちょこちょこと東北や北海道?の方言を出しています。


田中の言う、うっつぁしはうるさいと言う福島の方言らしいです。

○○しさんしょは○○しなさいと言う意味になります。

いがったなも、よかったねという感じです。

ちなみに切磋琢磨と小説中にでますが、これは旧陸軍の用語でしばきです。

暴力的な…。

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