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6-7 障害走(デスゲーム)の後半戦、からの汚い宴

2話連続投稿の2回目です!

思ったより執筆がはかどったからできたことと自分の中で合点がつきます!


知らんけど




「神前や、少し話がある…」


「なんですか田中3佐?」



2人の応援をしている時に、田中3佐は私のそばに来て少し寂しそうな笑顔を見せている。

なんだろう。

何か私やったかな、覚えが全くないんだけどね?



「お前に移動の話が来た…早ければ12月だそうだ

おめでとう、俺の可愛い孫娘よ」


「移動…移動ってどこですか!?」


「仮決定だがな、お前の父親…そして兄貴の古巣

お前のその目と力を教えた…挺進兵の後継者

陸上自衛隊…第一空挺団の本部」



      習志野駐屯地への移動だ



いきなり何言ってるのかわからない。

空挺団に移動…ってまさか!

本気で言ってるのか!?

……私、夢を叶えられるけどみんなとお別れするの?

心臓の鼓動がすこぶる早くなってる。

嬉しいのか、寂しいのか…両方が!



「本来であれば、空挺隊員になるには3曹以上と規定があるのだが

向こうがお前の姿を見て、直々にオファーをな

最終決定はお前だ、この話…蹴ってもいいぞ」



ここから離れるのは嫌だけど、自分の夢が叶うなら。

せっかくこうやって機会が巡って来たんだ。

私の答えは…だめだ迷ってる。

私は…強くなりたい。

もう沖田2曹のように誰かが傷つくところを見たくない。

みんなに守られてばかりなのは嫌だ!

えみりちゃんを化け物から守った時のように…。

私は力をつけてみんなを守りたい!



「田中3佐、時期尚早かもしれませんが

空挺団への切符…つかんでもいいですか?」


「お前がそう望むなら…それもよかろう

ならば、儂も本気で財前を殺さなくてな」


「え!?」



      (二時間前 師団長執務室)



「あぶぉごぬぐぶでぶべぶふはぁ!?

(訳:あの子が空挺にいくってま!?)」


「汚い…珈琲飛ばしながら話すな」



師団長に呼ばれて儂は執務室に行った。

聞かれることはそう、我が孫娘の事。

つまり、目の前にいる親父の娘…瑠香のことになる。

翼者の襲撃前のある日に、空挺団長…習志野駐屯地司令から儂宛に直々に電話が来た。



『田中3佐の所の神前瑠香2士をぜひうちへ!』



空挺隊員になる前の試験、体力考査も終わり本来ならあり得るはずのない空挺への切符。

ましてや2等陸士では空挺隊員になれないと室戸から聞いている。

それでも空挺団が瑠香を欲するというのはいささか変わった話だ。

よもや、あの親父の差し金と思ったが知らぬようだな。

椅子に座って珈琲飲みがてら、書類に目を通していた手が止まっている。

おまけに鳩が豆鉄砲食らったような顔してらぁ。



「この前、私宛に空挺団長殿から連絡が…財前陸将?」


「ゴホッゴホ…る…か…が空挺に?」


「ええ、そうです

そのことに関してですが」


「嫌だ…いやだ!

俺はあの子にまだ何も教えてあげていない!

誰の差し金だ…かくなる上は俺が殺す!」


「財前陸将…お言葉ですが、神前の夢は空挺隊員になると言うものです

それに彼女の能力が向上するなら行かせてあげればよろしいのでは?」


「嫌だ…あんなむさ苦しい奴らに可愛く無垢な子猫(るか)を入れてみろ…

食われる…男どもに無垢な心を喰われる!」


「彼女は彼女なりに腹を括ってここにいます

私も最初は反対していましたが…根負けしてしまいました…って聞いてます?」


「誰だ…今の空挺団長は?

あぁ、こいつね…坂口ね…俺の後輩じゃないか

本決定する前にMINIMI持って突撃してやる!」




人の話を聞け…




「…貴様さっきから聞いていれば

自分の娘が可愛いのは分かるが、少し過干渉がすぎるぞ?」


「……!

田中3佐、その手に持っているものをしまって!」


「応援してやれぬというのか?

それとも…自分の欲求を満たすためだけに成長を止めると?」


「だからしまって…軍刀納めて!」


「貴様は司令官にしては覚悟が足りぬ…天誅!!」





「とゆうことがあったのだ」


「…」


「むっ、千春が帰ってくるな…最終走者は儂だ

行ってくるぞ…そして財前を殺そうな?」


「……はい」



田中3佐…普段はとても優しいけど。

もしかしたら、お父さん以上に怖い人の可能性が微レ存。



『2人は直線に入った!

最終走者…田中3佐対財前陸将の一騎打ち!

ここからは飲み代がかかってくるため、2人とも本気です!』


『この戦い…すこぶる馬鹿げているがいいな

田中大尉は気に入った!』


『今、2人のバトンは…アンカーに渡ったー!!』




おおおおおおおおおお!!!!



『なんという事でしょう!!

2人の殺気がメタモ○フォー○して、体から黄色い閃光が飛び出しています!!』


『これまずいぞ?

皆を避難させねば…練馬が吹っ飛ぶぞ!』



どうなってんのこれ?

障害物たちが2人を怖がって避けてるぅ!?

生垣の草が一気に枯れて朽ちてるし、ジグザグ丸太が地面に飲み込まれてるし!

こんなことってあるわけない!



「神前逃げるぞ!

これはどうにも止められない!」


「飯島3曹、でも止めないと…練馬が吹っ飛びます!」


「だめだ…逃げるぞ!!」


あっ空が青色から赤色に変わった…縁を描くように虹がかかってる。

これってまさか…冥府(ガフ)の扉?

人類補完計画は成し遂げられたのか…。

ではみなさま…また次の世界でお会いしましょう。

じゃなくて…えみりちゃん!




「やばい…身体が…吹き飛びそう!」


「大丈夫?!

私の手に捕まって…!」


「どうしたらいいの?!

もう…試合とかそんな域じゃないよ!」


「あの2人はどうしようもない場所にいる!

体に纏っているのは赤いのは血の蒸気だ!

あの2人は何かとてつもない何かをかけてるんだ!」




ん…?

何か心の声が聞こえてくるような?

なんだ…なんのことを?



儂は絶対に…白○屋がええんじゃ。

白○屋の一択以外にないのだ…。

あそこはいつも儂らのことをひいきにしてくれる。

大宴会をしたいとゆえば、広間を用意してくれる。

この思いを白○屋に届けねば!



俺は…絶対に魚○だ。

あそこ飯はうまいし一品いつもまけてくれる。

司令部の宴会はいつも魚○と決めているべ。

負けはしない…今回も魚○で一杯やるっぺ。




この戦い…負けるわけにはいかねぇんだョォぉぉ!!!





「すごく馬鹿げてるわ」


「えっ、どうゆうこと?」


「神前さん、どうゆう状況?!」


「天城さん、えみりちゃんよく聞いてほしい

私さっき心の中を覗いた…間違えた竹輪の中を覗いたの?」


「「……え?」」


「そしたらさ、あの2人はどっちの居酒屋に行くかでバトルしてた」




白○屋か…魚○…か。




「あの…るかちゃん、天城さんお願いがあるんです」


「「……何?」」


「狙撃手って頼めますか?」


「任せて…天城は狙撃が得意だから」




血の蒸気を纏う2人の目の前を掠めるように、89式のモデルガンから放たれたBB弾は放たれた。

正気を取り戻した田中3佐は何を思ったのか、荒ぶる財前陸将をぶっちぎり丁寧かつ迅速に障害物を超えてゴールにたどり着いた。



「すまなかった…ついカッとなってああなってしまった

許してくださんしょ」


「でも勝負には勝ちましたよ、田中連隊長」


「すまんなぁカワチ、すまない皆の衆」


「ですけどあの暴れ牛…いやヒグマはどうしますか?」



冬眠前のヒグマのように暴れ回るうちの父。

死んだような魚の目をして冷たく見つめる修お兄ちゃんは、ほっとけとばかりにいいたげだ。

そしてヒグマはひとしきり暴れたあと、私たちを見てこちらを見つめていた。

死んだ魚のような目で。



「俺の負けだ、田中連隊長

白○屋に行こう、俺の奢りだよ

食べ飲み放題プランにしよう」





       (夜7時  某居酒屋)




「…皆よくぞこの場に来てくれた

思う存分飲み食い、そして楽しんでくれ!

えりみさんもすまないな

これは我々からのお礼だ…」


「いえ…むしろ私のような部外者がすいません

田中さん、本当にありがとうございます」


「…かまわぬよ

さぁて神前や、我が家に初めて来たものはある音頭を取るのがしきたりだ

覚えてきたかな」


「はい!

ではみなさま、グラスを持ちまして復唱願います

脱がない、筋トレしない、未成年の飲酒喫煙はだめ絶対!」




脱がない、筋トレしない、未成年の飲酒喫煙はだめ絶対!



かんぱーーーい!!



「〜っかー!!

うまいで、この一杯目が最高に喉に染みるで!」


「沖田2曹、おっさんくさいっすよ!」


「なんやと室戸、深酒させたろかー!!」




すごい…体育会系のノリというか…。

なんかさ、すごく汚いよね?

分かる人いますかー?

えみりちゃんは笑ってるだけだし。

これでいいのか、陸上自衛隊!



「離れていてさ、正解だと思うよ

連隊長さんはそこまで計算して飲みの場を作ってくれたんだ」


「武田さん…どうしてこっちに?」


「私もあまりお酒が得意じゃないからね

それに、えみりさんや神前のそばでいる方が落ち着くの」



私がいるのは幹部の近く。

お酒の席とは言っても未成年に飲ませないための、絶対領域の圏内にいる。

だから事故は起きないということ。



「えみりさん、実況上手でしたね

録画していたビデオ見ながら笑いました!」


「競馬中継見て勉強しました

将来はアナウンサーになりたくて…競馬中継の!」


「競馬!

…いかん大昔の癖のように出てしまったか

だがえみり殿、競馬中継のアナウンサーとは…

これは参ったな!」


「競馬で何か思い出したみたいだけど…お母さんは聞かないでおくわ

だめだ…私も笑いがこみ上げてきた!」



「面白い夢だよえみりちゃん!

最高にうけるぅ!」


「私、牧野えみりは本気だよ!

そういう瑠香ちゃんの夢は何?」


「私!?

私は…私は、やっぱり空挺隊員になることかなー」


「空挺…空挺

許さない、許さない、習志野を俺は許さない!」



何かに感化されたうちの父、誠が再び陸別のヒグマになる前に修お兄ちゃんが瓶ビールを一気飲みさせて転がしました。

その光景を見て笑っていた負傷隊員、小野士長は大ジョッキ片手に飲み始め、佐藤士長は捻挫した足を殴るという暴挙に出ています。

汚くて面白い光景を、場の雰囲気に酔った天城2士が動画に収めますが頭のネジが外れ、ダブルピースをしている飯島3曹とテヘペロ顔をしている村上3曹に阻まれます。



「きったねー、おもしれぇぇぇ!!

…ごめんな、えみりちゃんこんな……え!

また空の上って、空の神様何やってんすか?」




さっきまで私は宴会場にいたのに!

こんな夕暮れの空の中にいるだなんて!

綺麗だけど、今はここにいる場合じゃない!

なんで、抱きしめられてるんだ?



『おめでとう瑠香…やっぱり君が空の子だったんだ

俺の目に…俺の転輪眼に狂いはなかった

ようやく、俺のそばに来てくれる

その目と力をもって、早く習志野においで

瑠香…俺の大切な我が子、愛しているよ』



「かぁみ…やばい、寝てた?」


「急に机に突っ伏すからびっくりした!

どうしたの…まさか飲み物にお酒が!」


「違うよ、えみりちゃん

場の雰囲気によって寝ただげだよ!

たっ、田中3佐大丈夫ですから!」


「……バァカこの!

あとでお説教だからな!」




なんていう田中3佐だけど、うちのヒグマと目配せして一瞬考え込んでいた。

なんかまずいことしたのか…な?



「俺の財布が大破した…くっころせぇ!

俺を殺すんだ、しゅううううう!!!」


「うちの親父…本当にキモいよ

障害走

動画を見る限りものすごく辛いなと思いました。

私にはできない!

私が昔お世話になった陸自の方もこんなのやったのかと思うと頭が上がりません!



次からは主人公、学校に行きます!

空の神様は何者なのか…そこも追々。

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