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6-6 命知らずの障害走(デスゲーム)

今回は二回連続の投稿です!



とうとう来てしまった。

いや予定通りやるとは聞いていたけどさ。

いろいろおかしくない?

聞いてくれよ…。

私が所属させていただいている即応強襲部隊のみんなで、ワイワイガヤガヤしながら死に物狂いで障害走やろうぜ?ってなったんだよ。



「走るからな、準備しさんしょ

本気にならんと儂が後でつけ回すからな?

嘘だけどさ」



その後にみんなで、私の歓迎会も兼ねたお疲れさん会をやろうってなってたのよ。

0次会はスタ○行っても良しってなってた。

みんな聞いてた、私も聞いてた!

なんなら、2中隊から用事で来ていたお兄ちゃんも聞いてた。



「なんだか楽しそうだべな

田中連隊長ってかっこいいわな」



って言ってたよ。

田中3佐…第一普通科連隊長なんよ。

イケオジで優しくてかっこよくて連隊長。

奥さんすごいですよ!

じゃなくて!

そこになんで司令部がカチコンで来たのよ?

おかしくない?

関係ないじゃん!



「おめぇの親父がおらほになぁ

こったらもう…司令部(ほんけ)との大抗争だべ!

考えらんにぃ」


「なーして司令部はー喧嘩だっきゃぁやるんだべな?」


「わがるわけねぇべな!

おめ、その言葉どうした?

道産子の言葉さでてるどぉ!?」


「ねぇおじいちゃん、瑠香

お母さんは東北訛りがわからないから…

なんとなく言いたい事はわかるけど、つまりどう言う事?」




司令部(ほんけ)即応強襲(ぶんけ)との喧嘩。

喧嘩じゃなくて大抗争の勝敗を体力勝負というなの、障害走で決めようと言う事。

陸自らしいことで決めようぞってなったらしいんですよ!

そう、その決行日が今日なのです。




《抗争の地、第二グラウンド》




「今日は忙しい中来てくれてありがとうよ

田中の大親父さんよぉ?」


「今日はやり返すぞ全部

オメェの子分どもぶっ潰してやんよ

財前陸将、かかってこいや!?」


「上等や…喧嘩祭りやでぇ

本気出せよお前らぁぁ!」



ウオォォォォォァァァ!!



「やってやるよ、南東北の意地見せてやるよ」








「なんで、瑠香のお父さんとうちのじいちゃん…

ヤンキー座りしてお互いにメンチ切ってるの?」


「千春ねぇ…いえ、村上3曹

私にもわからないです」


「どうにかしろよ?

完全に血で血を洗うフルファイト始まるぞ

なんでお互い顎しゃくれてんだよ?」


「小野士長…私がどうにかできると思いますか?」


「あの関西弁腹立つわー!

なんとかなさいよ、佐藤のわたる!」


「俺でも無理があるだ!

室戸3曹…どうにかできないですか」


「無理無理!

それに源一郎じぃちゃんもあれ乗せられてるよ?

嫌な予感しかしないだろ?

見ろよ、飯島なんかそこの側溝にゲロ吐いてるぜ?」




『しっかりなさい衛生兵!

あなたがやらなきゃ誰がやるのよ…計測者!』



えっ、そっちですか?



『むり…だって財前陸将だよ?

むりだって……!』



キラキラキラキラキラキラキラキラ




向井一尉の大声も虚しくだな。

飯島3曹、物凄いプレッシャーに負けて吐いてたのね。

もうダメかもしれない。

なんかわからないけど、ダメかもしれない。

よくわからない恐怖が迫ってきてる!

あのテスト始まる五分前のあの感じだわ。

何故か悟り開いてしまうアレと同じ。




(障害走

走者は鉄帽を被り89式小銃を担ぎ、生垣・高さ180センチの囲壁

鉄条網飛び越し・ジグザグ丸太などの障害物の置かれているコースを走り抜ける事。

陸士が陸曹に上るためのテストでもあり…又の名を伝統走とも言う)




「瑠香…オメェの親父、障害走で殺すからよろしくな」


「田中…3佐…レンジャ!」


「喜ぶなよ?

皆、俺のもとに来てくれ」



一体何を話すんだろ。

話す内容云々よりも、相手が怖いんだよな。

もう何もかもが嫌だわ!



「いいか

今回の勝負は司令部と即応強襲の喧嘩だが、向こうの陸曹士を恨んではならんぞ

それに俺たちが勝てば、どこぞのバ幹部が飲み屋代を出すそうだ」


「負けたらどうなるのですか?」



お母さん、ううん向井一尉の言葉に不安が…。

これもただの喧嘩じゃない。

何か目的があってこんなことやってるんだよ。

じゃないと向こうも本気出そうとしないはず。

向こうのwacも可愛そうだな、泣きそうじゃん。



「負ければ…神前は司令部移動

小野・佐藤は、長野県は松本の普通科に送られ

向井と室戸は朝霞に突っ込まれ

村上は練馬の通信部隊に、飯島は武山の衛生に

沖田は大阪府信太山で自候生の班長

儂は…福島駐屯地で連隊長……」

 



おめぇら、絶対ぇ司令部(ザイゼン)さ、(酒で)ぶっ潰して殺すぞ!




ヴォォォォォォォォァァァァァァ!!



『ということで、やって参りました!

第一回、司令部vs即応強襲部隊の伝統の一戦

障害走が始まります!

実況は私、牧野えみりと!』


『解説は第二中隊所属の財前修がお送りいたします

牧野さん、いつもうちの妹…瑠香がお世話になってます』


『るかちゃんのお兄さん!?

…気を取り直して、この戦いはどう見てますか?」


『陸曹士は気楽にやれば良いと思います

親父が変なバトルぶっかけたのが悪いので

悔い改めて親父が飲み屋代の全額払わせれば全て丸く収まります!』


『これ本当にいいの?!

では第一走者…司令部は天城春菜2士と

即応強襲は、るかちゃんです!』




位置について、ヨーイ…てぇ!!




『さー、スタートしました。

練馬第一ステークス、両者ともにゆっくりとした走り出しです!

第一障害の生垣を難なく飛び越えた!』


『大変いい滑り出しです

無理に力を入れれば後々バテてきますから、これで十分です!

どこで本気を出すかが問題ですね』


『少し神前選手が、リード!

囲い壁の手前でジャンプして…届いた!

天城選手も追い付いてジャンプするがあと一歩!』


『wacのみならず背丈の低い自衛官にとってはここはきついですね

背のある隊員でもきついです!』



なんか解説してるけど…お兄ちゃん馬鹿だな。

えみりちゃんいつの間にきてたんだよ、面白ぇ!

……天城さんだっけ、あとちょっとだぞ

敵だけど…やっぱり



「天城さん、捕まれ引っ張るからよ!」


「神前さぁぁぁん!!」



『神前選手…敵に情けをかけたか!?

これはどう解析しますか!

って修さん!』


『レンジャーは消して仲間を見捨てない

いくら今は敵同士とはいえ、彼女の中のレンジャー魂が勝負より勝ったんだよ』



「なんで助けたの?!

今は勝負だよ?」


「見捨てていかないよ…今は敵であっても」




「「「瑠香はいいレンジャーになっタァァ!!」」」




『教官たちは泣いています!

そんな2人はてい鉄条網付近に到着!

匍匐前進で進んでいきます!』


『2人ともとても早いですが若干、瑠香の方が早いな』


『レンジャーでしごかれた神前が先に出た!

次に向かうはジグザグ丸太!

難なく通過した、これは2人とも早い!』


『若干ペース上げてきたがいい配分だな

鉄条網飛び越しも2人とも安定して走り抜けたし

なかなかいいぞ!』



「なんで解説してんのさ!?」


「財前3曹…ハァハァ…面白いよね」


「ごめんなさい、うちの兄が馬鹿で」


「…お兄さんだったの?」



『2人は綱登りに到達!

やっぱりここは神前選手が早い!

天辺まで到着して素早く降りて次に向かう!

ここで天城選手も降りて次に行きます!』



「その調子だ神前

それにしても、さっきの助け合い…いいレンジャーになった

そう思わないか、向井?」


「田中3佐、これも沖田やオノサトの教えあってです

いい子に育ってくれました…」





窓枠障害も飛び越えたり何とかしてくぐり抜けれた!

平均台だって難なくいける。

飛び越え豪なんて…余裕ですわぁ!

すごいなぁ天城さん早いや…追いつかれそうだ。

障害走…こんなにきついと思ってなかったけど。

人がいるとなんか違う。




『最終局面迎えます

神前選手、網の上り下りです!

天城選手も、上り下りの手前まで来た!』


『これは面白い展開ですが天城は少しバテてきているな

瑠香は、レンジャーでしばかれてるから難なく言ってそうだが?』



「天城…その調子でいい

陸曹に後は託すさ、にしても2人とも優秀な隊員じゃないか」



財前陸将の思いに応えなきゃ!

こんな私を拾ってここまで強くしてくれたんだ。

落ちこぼれの私を…見捨てずにいてくれる!

天城春菜2士…頑張ります!

神前さん、とっても早いや…さすがレンジャーだ!



『低い柵と、高い柵のダブルコンボもクリア!

これはいいタイム出せますよ!』


『だが次の斜め囲壁がネックだな…』



「「うぉぉぉぁぁぁぁ!!」」



『一気にペースを上げて斜め囲い壁も今着地!

他の障害物も…驚異のペースでクリアしてます!

さぁ2人の勝負も残りの直線で終わります!』


『3曹承認資格のペース

三周で15分で、一周5分と規定になってますが

今のタイムで瑠香は一周2分15秒、天城も一周2分20秒

2人とも早く3曹なれ!』




負けらんねぇ…負けらんねぇ!

ここで負けたら田中中隊解散だべ?

だば、みんなとお別れ?

んなことさせねぇよぉぉ!!



ようやく、ここで頑張ろうと思った!

前の部隊で落ちこぼれって言われたけど。

今はみんなが認めてくれる!

みんなの思いに応えたい!




『一気に並んだ!!!!』



ここで負けらんネェェェェエ!!!



『バトンを…今…神前が二走の小野に渡した!

小野も足は早いぞ!

そして間髪入れず、天城も二走の大田に渡した!』




「神前ナイスファイト、後は任せろ!」


「天城もよく頑張った、ゆっくり休んでくれ!」



1着

神前瑠香、タイム2分30秒

2着

天城春菜、タイム2分35秒




「「めちゃくちゃ速ぇ!!

さすがうちの妹……あぁん?」」




息が苦しい…

地面に寝っ転がってるけど余計しんどいわ…。

キツイっていうか、競争は嫌いだー。

ん?

誰かきた?



「…あっ天城さん」


「お疲れ様……神前さん…すごいね

負けちゃった…」


「私も負けそうでした…また、よろしくお願いします」


「私も…次は負けない…またよろしくね」.





『友情の芽生…それは恋の予感!』


『牧野さん、百合展開求めてるの?

小野も大田も、窓枠障害のところまで…ん?』


『あそこには佐藤さんと、計測員の飯島さんがいますが…速報入ってきました!

私たちが目を離した隙に、2人とも同じところで…

捻挫、捻挫をしたため棄権となります』



「痛いたいたい!

じいちゃぁー、許してぇぇ!!」


「陸将ぉ、すいませんでしたぁぁぁ!」




「小野、大丈夫か!

許すも何もいうな、怪我の治療が先だ!

佐藤は小野と大田の補助を頼む!

飯島、応急処置を頼むぞ!」


「がってんでい!」





「大田ぁぁぁ馬鹿やろー!」




『2人が棄権したため3走目に自動的に移行します!

えーっと…村上3曹と、武田3曹のwac対決です!』


『田中連隊長の人格の良さ…

親父のクズっぷりがここで見分けられましたね!

クソほど面白ぇ!!』




「すみれ、これ本当に勝負つくの?」


「ちーちゃん、多分無理だと思うよ」



……えーー?




どうも皆さんお疲れ様です、村上千春3曹です。

私の隣で不安そうにしているのは、ボーイッシュでカッコいい同じ通信で同期の武田すみれ3曹。

不安にしているのは勝負よりも、うちの小野が捻挫してなんか無理じゃねって謎の不安が襲ってくるから。



「すみれ、どうしたの?」


「この前きたチーちゃん所の、破壊神るっちゃんっているじゃん?」


「ウチの妹のことか、それがどうしたの?」


「あの子のそばにいる男の人誰?

なんか全身、白っぽい服着てる人」




すみれは何を言ってる…嘘?

あの人誰よ?

なんでみんな気が付かないの?

なんですごい笑顔で瑠香を見てるの?

なんか頭撫でられてるよ瑠香。

…子猫扱いされてない?

すごいゴロゴロ言ってる子猫扱いされて…鰹節出してるよ!?!?



『まもなく練馬第3ステークス始まります!

ですがファンファーレはなりません!

中央音楽隊の要請を願います!』


『3等陸曹、財前修…ラッパ吹きます!』


「修、ラッパ吹いたら殺すからな!」


『親父に言われる筋合いねぇだろ』



すっげー、乱闘騒ぎしそうな予感する。

まぁ、この神前瑠香は乱闘騒ぎがあったとしても修お兄ちゃんの味方になります!

ばちばちしてるの見てると富にぃとの喧嘩を思い出します…あの日も入道雲が高かったなぁ。

富にぃ…うん。

なんだか鰹節の匂いがするにゃあ。

ゴロゴロゴロゴロ…にゃぁん。



『えーっと!

練馬第3ステークス開始します!』


位置についてヨーイ…てぇ!



『一斉にスタートしました練馬第3ステークス

武田3曹がまずまずのリード、しかしながら村上3曹も距離を詰めているようです』


『第一の障害…生垣は飛び越えているようだべな

いいんでねぇの?』


『あの……どちら様ですか?

なんでおでんを持ってるんですか?』


『俺は、田中正明…ってここ東京競○場じゃないの?』




あれ、解説員って確か修さんって聞いてたんだけど?

なんで日本兵がいるのかしら?

名前は田中正明さんっと、おぼえた!

…るかちゃんの上司の田中源一郎さんに似てる気がするんだけどなぁ?

まぁ、怖くないからいいかな?

あっ2人とも囲壁まで到達してる!



『なかなか良い結果になるんじゃねぇ?

……若手たちの走りを見るとジジイも頑張らねぇとな』


『おっとここで村上3曹が武田3曹をぬいた!

2人は今、低鉄条網を匍匐前進で抜けていく!』


『やはり3曹上がりの2人は早いのだな

…後半に続くぜ!』

障害走については、陸上中部方面隊の広報動画から参考にしました。

なおワイは撮影場所である大○駐屯地に行ったこry



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