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6-0 部隊配置前の儀式

新章突入します!


小設定わからない民なのでサブタイトルの最初の桁で何章になっているのかやってます

「うぅんぬぅぅうーーーー!!!!」


「久しぶりにお母さんの警戒音聞いたなサト」


「警戒音って小野ぉ、お袋が王蟲な訳ないだろう」




みなさんこんにちは、向井和子一等陸尉です。

今日はとても大事な日だから、あん畜生こと財前陸将が来ない様にドアの前で唸っています。

そう、今日は私達の可愛い末っ子こと神前瑠香2士が私達の部隊に正式に配属される日なのです。

それを邪魔しようものなら…90式誘導弾でぶっ殺すわ!

あの野郎許さない…やろぅぶっ殺してやる!




「二等陸士神前瑠香、入ります!」


「入りなさい、我ら即応の末っ子よ」


執務室の中にあるソファでまったりと梅昆布茶を飲む田中じいじが、いつも以上に顔を綻ばせてドアの先を見ています。

部隊配属の挨拶をと、しっかりアイロンでプレスされた制服に身を包み左胸のレンジャーバッチを輝かせ彼女は私達のもとにきました。

お母さん嬉しいわ、涙出そう。




「本日付けで即応強襲部隊に配属となりました

神前瑠香二等陸士です!

これからも精進し立派な陸上自衛官になれる様頑張りますのでご指導のほどお願いします!」


「堅っ苦しい挨拶はいらぬ

皆の衆よく聞け、今日から我ら即応に末っ子が来た!

存分に指導し、甘やかすこと!」



みんなケラケラと笑いながら口々にマジかよーっ言っています。

緊張している瑠香の顔にもいつもの可愛い笑顔が戻ってきました。

なんて素敵な日なのでしょう。

可愛い末っ子であり妹である瑠香が私達の部隊に正式に仲間入りをしたのです。

でも瑠香、今からが大事なのよ。

ここはスタート台でもあるの、頑張ってほしいわ。

まぁ、あの子の目の縁が赤くなっているのは…儀式というか洗礼を受けたからね。

財前陸将ざまぁ!

私も…あの儀式には(こた)えたわ。





配属前日


「二等陸士 神前瑠香入ります」


課業が終わり、さぁゆっくりしようとしたときに、筋トレ終わりの室戸3曹に呼ばれて即応強襲部隊の執務室に入りました。



「田中3佐が呼んでたぞ

なんか大切な話があるんだってよ」


「大切な話ですか?」


「神前が即応に正式に入る前の儀式をやるみたいだぞ

俺も儀式を受けたけど…あれはキツいなぁ」



しみじみと明後日の方向を見る室戸3曹の目線の先になにがあるのか同じ方を見たのです。

そこにいたのは我が練馬駐屯地で飼われているチャボっていう鶏のピヨスケ君が



        『おっ俺か?』



って言いたげに首を動かして私達を見ています。

しばらくして、俺じゃないのねと言わんばかりに田中3佐の執務室に入っていきました。

夜になると執務室に帰るのがピヨスケ君の日課です。

ピヨスケ君を遠目に見ながら、即応強襲部隊のたまり…じゃなくて執務室に行ったんだよ。



「二等陸士、神前瑠香入ります!」


「呼び出してすまないな

急に決まったのだが、明日付けでお前は我が即応に部隊配属される事が決まったのだ」



「本当ですか!

私…正式に部隊配属されるんですか!」



入り口入ってすぐのソファに昆布茶を飲む田中3佐と、書類を読む向井一尉がニコニコ微え…いやによによしてますね。

ニコニコ通り越えてニヨニヨしてますね。



「ニコニコもニヨニヨも一緒よ、ねぇ田中3佐?」


「んだっばい!」


うん、田中3佐の方言がわからん!

多分東北の人なだろうけど訛りがすごいし、意味が分かりにくいし。

…ずっと思っていたんだけどテーブルに置いてあるメモ帳みたいなの何?



「…気が付いたかい?

即応強襲部隊に入る前…もとい陸自で戦うという思いがあるなら…儂等は地獄を前にして走らねばならん

その手帳に地獄絵図が書かれているんだよ」


「ねぇ瑠香、この手帳に書いている中身を見てあなたの意思を私達に再度教えて頂戴

屋上の鍵は開けてるから見ておいで」


「レンジャ…」




言われるがまま私は、手帳を手に取り執務室から庁舎の階段を登って屋上に出た。

まだ外は明るく長時間いると汗ばみそうなほど湿気と熱気で暑いし、空調機の熱もあって汗ばむを通り越えて本当に汗かいてきちゃった。




「地獄絵図ね…気は引けるけど読んでみるかな

えーっとどれどれ…漢字とカタカナ混じってるし…

黒っぽいシミって…まさか…血液?」








1939年某月

起こって欲しくないことが起きた。

とうとう始まってしまったか…歩兵少尉として拝命して

平和な日々を過ごしていたというのに。

この文面が、憲兵隊に見られれば俺は消されよう。

逃げれば生き恥か。



某月

とうとう俺のもとにも出兵命令がでた。

街の人々は俺たちをみて万歳万歳と手をあげる。

行進の見物に来ていた妻が俺の方を見て悲しい顔をする。

やめてくれ、俺だって本当は行きたくない。

他の奴らはいいもんだな。

お前たちの子が戦争に駆り出されるとなれば、嫌だなんだと言うのに軍人となればやれ英雄やらか。

馬鹿馬鹿しいな。



某月

中国にきて数日がたった。

ここでの激闘も何度目だろうか…また一人また一人と友が部下が死んでいく。

どうか安らかに眠ってくれ。



1940年某月

どうやら…俺は人を殺しすぎた。

同胞のためと弔い合戦のつもりがそれも意味をなさないただの作業だ。

俺のことを聞いた敵兵が死体メーカーと揶揄していると捕虜から聞いた。

お前らにも似たようなものはいるだろう?




某月

行く道の端の方に死体が転がっているように見える。

呪われたようだな、ざまぁない。

嫌な事が続くが嬉しい話も聞いた。

内地にいる妻から、子供が生まれたとの話だ。

一度日本に帰って、我が子を抱きしめてあげよう。

だが、返り血と仲間の血飛沫を浴びた俺にそんな資格はあるだろうか。


某月

日本に帰ってきた。

久しぶりに帰る我が家はとてもいい。

家に入って早々、お父様お帰りなさいと俺の胸に梅子が飛びついてきた。

めんこい。

いかん、田舎の言葉が出てしまった。

梅子に連れられて今に行くとすやすやと眠る男の赤子がいた。

名前は、俺の名前から一文字とって源太という。

なして、こんなにめんこたんなんだべ。

いかん、また田舎の言葉が出た。



某日

この日が来てしまった。

再び地獄に帰らねばならぬ。

泣きながら笑う梅子になんと声をかければいいか。

腕を一本もがれても良い。

片足が爆風で飛んでも良い、眼球一個潰れても良い。

二人のそばから離れたくない。




「まだまだぎっしりある

こんな内容まだ序の口なんですよね田中…3佐」




某月

俺の今度の部隊は南方の島のようだ。

俺のもといた部隊は俺が日本に戻った時にやられてしまったようだ。

そういえば、不思議な兵隊を見た。

敵味方関係なく作った焼き場の前で念仏を唱える奴がいた。

見る格好は挺進兵のようだが目の色が…蒼い空の色と同じだ。

近づいてやつの目を見れば六芒星の模様が映っている。

名前は………と言うらしい。

こいつも本当は優しい心のものなんだろうな




「血で名前が消えてる…空の神様…あなたは一体

この先は…うぅぇ!」



その先の数ページは真っ赤に染まっていて読めない部分が多すぎた。

でも時々見れる部分からは殺すや死亡と言う文字に、敵の兵の腹を裂く、今日は何人の敵兵の首をはねたと殴り書きのように書かれていた。

そして戦争の生々しい部分がずっと書き(つづ)られていて嫌だ、ごめんなさいと続け様に書いてある。

読めるような代物じゃない。



「これが…これが戦争…すごい憎悪の塊みたいだな」






×月 敵の攻撃を受けて我負傷する。仲間を友を逃さんがため敵に突き進むが捕虜となる

 自殺しようとも敵が私の獲物を取られて捕虜

しかしその3日後に脱走



1944年

ゲリラ戦にもつれ込むが死傷者多数。

辛い生き残った仲間とともに密林を駆け巡る。

飢えが乾きが私を襲い始める。

苦しそうな仲間のために食料を少し分けたが衛生面が・・・



 ×月だと思う歩き疲れた向こうから敵国の兵が見えるはぐれたのだろうかわいそうに。

なんとか私の英語で説得をし敵意がないことを確認し歩き続ける


×月 こんな風にのんびりするのも悪くはない、敵味方関係なくこの村の民とともにここで過ごしていくのも悪くはない。

だがどうしても国にいる妻と子供が気になってしまう



会いたい




×月 うむ。少し暑さがマシになったか、ここで過ぎる時間がゆっくりとしていてまるで楽園に来ているようだ、

かつて敵国の兵としてなかなかつるまなかった仲間たちもいつのまにか英語を話すようになり相手も日本語を話すようになりそして皆この民の話す言葉を話すようになり本当に楽しい。



×日 この村の者が海を見て何やら叫び出した。

見ると何隻か船がこちらに向かってやって来ている。

嫌な予感がするが、馬鹿なあれは祖国の者か!

どこかできるだけ遠くに森の中に壕を作り民を逃がさねば!

同じ国のものとは戦いたくはないが・・致し方あるまい。

もう一人で戦い抜くしかあるまい。

皆よく戦ったありがとう行くぞ!!!!!



どうか、梅子よ源太よ未来の我が子たちよ、幸せであれ…

あの挺進兵が言った言葉を使おうか…平和を君へ


サクラサクラ





「う…ぐぅ…あぁ…ひっぐ…わぁぁぁぁ!!!」





ダメだよ…こんな結末…。

大切な人に会えない苦しさ、守るために殺す矛盾。

何でこんなことが…こんなことが!

田中3佐…苦しいです、つらいです!

胸が張り裂けそうです!




「全部見たんだな…俺の馬鹿弟の過去を…」


「田中…大尉さん!」


「隣に座っていいかな?」



そう言って彼は口にタバコを加えながら、私の隣に座った。

私の手の中にある手帳を睨んで何もない薄暗い空に向かってふぅっと煙を吐いた。

と思えばひんやりと冷たくてゴツゴツした手が私の頭の上に置かれて、わしわしと動いている。



「瑠香…いいか戦争ってのはこういう事だ

被害者も加害者もいない、諸刃なんだよ

被害者であり、加害者にもなり得る

銃を向ける事、手榴弾を投げる事、数多の武器を違う事は人を殺す事だ」


「う……ん」


「誰もが戦争となれば狂う

優しい者も強き心も皆全部過ちに走る

銃を持った人間はこいつにも家族がいるはずだからうちたくないはずだ、けどこいつをやらないと俺が死ぬ

やがて一斉にこんなはずじゃなかったと言う」


「はい…」


「それを…俺や源一郎や富治は見てきた

今の平和は当たり前じゃない、守られているものなんだ

だから瑠香…例えこの自衛隊を辞めようが続けようが俺と…源一郎と…皆と約束してくれるか?」


「何と…約束をすればいいですか?」


「惑う事なく歩むことを止めない事を、そして誰かを守りたいなら決して間違えたやり方をしないと」


「もちろんです…もち…ろん…です」


「…齢16の娘にこの話はきついな

今は俺がいる、名一杯泣いてしまえ」




そこから私の記憶はプツンと消えた。

それくらいになきさけんでいたのはおぼえている。

もうこんなことを繰り返させない。

この世界は…大きな犠牲の中で生まれた。

小さな幸せを…やっぱり私は陰ながらでいいから大切に守りたい。

みんな…ありがとう。




翌日




儀式は終えた…私は今日から即応(ここ)で戦うんだ!



「二等陸士 神前瑠香入ります!」


「入れ!」


即応強襲部隊の執務室のドアの開けて私は一歩中に入った。

これから起こること…見つめる現実。

全部と戦って自分が守りたい人を守るんだ。



「本日付けで即応強襲部隊に配属となりました

神前瑠香二等陸士です!

これからも精進し立派な陸上自衛官になれる様頑張りますのでご指導のほどお願いします!」


「堅っ苦しい挨拶はいらぬ

皆の衆よく聞け、今日から我ら即応に末っ子が来た!

存分に指導し、甘やかすこと!」



『『『『『『おーーーーす!』』』』』



やっぱり私は…みんながいるここがこの場所が好きだ!

前を向いて歩いて行こう。

どんな苦境があっても逃げるものか!

だから見ていてください田中3佐!

絶対に成し遂げて見せます…財前陸将!


今回はここまでです。

瑠香にとってはきついと思います。

多分私もきついです

サクラサクラは実際にあった日本軍の暗号です

意味は…察してください



残念だけど平和な気分は終わりですよ

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